Q-253:最近また頭痛がひどくなりました <vol.2;スコトーマ外しの心得>
御質問をいただきました。ありがとうございます。
その一部に回答いたします。
(変更を加えています)
Q:私は若い頃から頭痛もちです。「頭痛と認知的不協和」を読ませていただき心を整えることで頭痛が良くなっていくことを実感していましたが、最近また頭痛がひどくなりました。バランスホイールを意識しながらゴールを見直しています。ぜひアドバイスをよろしくお願いいたします。
vol.1;コーチは指示やアドバイスを行わない
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28603601.html
vol.2;スコトーマ外しの心得
A:コーチはクライアントに指示やアドバイスを出してはいけない
=コンテンツには関わらない
…では、ゴールにも、現在のブリーフシステム(BS)にもかかわらないコーチは、一体何を行うのでしょうか?
指示やアドバイスなしで行うこととは?
直接的なアドバイスをせずに「最近また頭痛がひどくなりました」を解決するためにはどうすればよいのでしょう?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
…答えは「スコトーマ外し」。スコトーマを外し、自ら解決できるように導くことです。
回答そのものを与える(授ける)のではなく、クライアントさん自ら見つけられるようにサポートするのがコーチの役目。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
もちろん、それは簡単なことではありません。クリアしなければならない3つの課題(case)があります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html
1つ目は「知識」。
そもそも知識がなければ、理解どころか、認識することさえできません。さらに厳しいのは、経験(とくに成功体験)を重ねるほど知識(認識)不足を自覚できなくなる点。そのような状態が「無明」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24963004.html
ゴールを意識に上げながらしっかり知識を得ることができると、そのたびにスコトーマが外れる可能性が高まります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html
知識とは「現状のwからゴール側のw1への到達可能性関数」のこと。知識により、ゴール(w1)を実現するチャンスがひろがります。
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html
余談ですが、知識を得る学習とは、「ゴールの世界(w1)を現実化しようするホメオスタシス活動」のことです。
PMⅠ-05-06~08:そもそも教育とは?-3-1~3)学習を促進する
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9367702.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533528.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533623.html
*ホメオスタシスはこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
2つ目の課題は「重要度(重要性)」。
コーチングを受ける前の「重要度」は、過去の記憶でつくられたブリーフシステムが生みだしています。そのことに無自覚なままであれば、いつまで経っても人生は「無人運転」「自動運転」のまま。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html
他人や社会に埋め込まれたアルゴリズムからの脱却は、“現状の外”へのゴール設定からはじまります。「Goal comes 1st./ゴールが先」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8583393.html
3つ目の課題は「役割」、あるいは「責任」。
知識があり、重要度が高くても、「自分には責任がない」と思った途端に認識しづらくなります。だから責任の自覚、すなわち「自責」が大事。
「自責」とは、自分の自由意思でこの世界を生き抜くという決意のことです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22669112.html
…以上が「スコトーマ外し」のための3つの課題。それらの課題をクリアしながらゴールを再設定するたびに(case&plan)、心は自由になっていきます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html
抽象度が上がる(上がりやすくなる)からです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
コーチはクライアントに指示やアドバイスを出してはいけない
=コンテンツには関わらない
…たいていの指示やアドバイスは、自由を奪い、むしろスコトーマを強化してしまいがち。
なぜなら、それはより抽象度が低い次元でのマネジメントの話だから。実際、情報量が多く具体的であるほど、素晴らしい指示やアドバイスであると評されるはずです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526054.html
では、一方でスコトーマを外すために多量の(それも具体的な)情報を提供しつつ、その一方で新たなスコトーマが生じてしまうのを防ぐために、どうすればよいでしょうか?
…その答えが「スコトーマ外しの心得」。それは…
冒頭で「仕掛け」て、中盤で「仕掛けに意味を持たせ」、最後は「冒頭に意図的に仕掛けたアンバランスを、話全体としてのゲシュタルトをつくって解決する」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html
以下、認知科学者 苫米地英人博士の著書「人を動かす[超]話し方トレーニング」(ソフトバンククリエイティブ、開拓社より復刊)より引用します。
スコトーマのジレンマを解消する書き方とは?
第一章で読者の「スコトーマの話をしました。人間の脳は知っていることしか認識できないが、知っていると思った瞬間からスコトーマの原理が働いて認識できなくなるというジレンマがある、ということでした。
このジレンマを解消する方法こそが、書き手が常に意識しなければならないことなのですが、ジレンマというくらいでなかなか一筋縄ではいきません。ここでは、この絡んだ縄を一つ一つ解いていきながら、相手に伝わる書き方の基本を学んでいきたいと思います。
まず、書き手が相手(読み手)に伝えたい事柄があります。これが大前提で、なければなにも書けません。しかも、読み手が知らないような圧倒的な知識量の中から厳選された内容でなければなりません。
多くの人が誤ってしまうのは(ある意味、やむを得ないことなのですが)、この圧倒的知識量に裏打ちされて、書き手としては臨場感たっぷりの内容を、書き手の臨場感そのままの状態で書いてしまうことです。つまり、「A」という内容を伝えたいとき、「A」と書くのが当たり前だと思っている人が圧倒的に多いのです。
もちろん、それで伝わるケースもあります。読者が「A」に興味を抱いている場合、かつ「A」という内容を初めて知った場合などです。興味のあることで、なおかつ初めて知る内容ならば、読者は自然と食いついてきてくれます。当然、しっかりと読んでくれますから、しっかりと伝わる確率も断然高まります。
しかし、不特定多数に向けて発信する場合(ブログのような媒体もここに入ります)、そういう読者ばかりではありません。あるいは不特定多数ではなく、プレゼン資料のような場合でも同様です。
「A」という内容に興味がないと思われてしまった瞬間に読者はその内容を認識しなくなり、読んでくれるかどうかすら怪しくなります。ビジネスにおける企画書やプレゼン資料でも、読み手が興味、関心を示さないような内容であれば、たとえ読んでもらえたとしても認識には上がりません。
読者には必ずスコトーマがあることを見越して、そのスコトーマに対するなんらかの手立て、工夫が必要になってきます。
スコトーマを回避して、書き手の主張を読み手に認識してもらうには、二つの方法が考えられます。
一つは「スコトーマのないところについてのみ語る」という方法です。読者が重要だと思っていることだけを語るのです。不特定多数の人が読む文章の場合は、全員がスコトーマにならないところを探すというのは困難ですが、なるべく多くの人が重要性を認識してくれるような、ごく一般的なことのみを語ればよいということになります。
この方法のよいところは、読者にまず間違いなく認識してもらえる点です。読み手に「この書き手は重要なことを書いている」と思われることは、読んでもらうための大前提であると同時に、読んだ読者がきちんと内容を認識し、理解するための大前提でもあるのです。
ただし、これだけでは読者にとって目新しい内容になる可能性は限りなく低くなってしまいます。たしかに読者が重要性を認識するには、読者がある程度知っている知識でなければなりません。しかし、読者に重要だと認識されたとしても、すでにある程度知っている内容が多くなれば、やがては「ああ、なんだ、これなら知っている」というスコトーマに入ってしまう危険性があります。
重要だと認識されていることしか語れず、目新しいことを語ると認識されなくなるという、またしても例のジレンマに陥ってしまうことになります。
このジレンマに対しても有効な方法があります。それは「スコトーマを外す」というものです。
スコトーマを外すというのは、それまで重要だと思っていなかったこと、スコトーマに隠れて認識されていなかったことが実は重要なことなのだと読者に気付かせてあげるということです。
「それが難しいからジレンマに陥ってしまうのだ」と思われるのも当然です。たしかに実際にやろうとすると簡単ではありませんが、方法論としてはとくに難しいものではありません。
その方法論の第一は、「まず最初に誰でも知っている内容、あるいは重要だと思う内容について述べるが、そこで読者が知っている内容を裏切るようなことを述べる」のです。
たとえば、先ほどの「教育論」。子どもを持つ親なら普通は子どもの教育に関心があるでしょう。親世代には比較的興味をもって読んでもらえるテーマですが、それに甘んじず、最初のところで「期待を裏切る」ような話を書くことで、一気に文章に引き込んでしまうという方法があるのです。
あくまでも例ですが、もし、「親が子どもの教育に熱心になればなるほど、子どもの成績は下がります」などと書いてあったら、読み手はどう思うでしょうか。多くは親の自分の子どもの教育に熱心なはずです。「教育論」に関する文章を読もうという人ならなおさらです。
読み手は、「親は子どもの教育にどうかかわっていくべきだろう」とか「どうすればもっと子どもが勉強するようになるだろう」などと思いながら読み始めています。そこへ「教育熱心な親は子どもの成績を下げる=あなたがやろうとしていることは、子どもの成績を下げる行為である」と読まされたら、どう思うのでしょう。
「そんなバカな話はあるものか。だったら、子ども放っておけと言うのか」と、心穏やかならない状態になることでしょう。
これがよいのです。実は、情動を利用するとスコトーマが外れやすくなるのです。とくに、「違和感」とか「反発」のような情動は、それを解決しなければ収まらないという気持ちになりますから、どうしても文章を読み進めずにはいられなくなるのです。ただし、最初だけで十分です。何度も連続して反発を抱かせてしまうと、読者が途中で読むのをやめてしまう恐れがあります。
情動に働きかけるということは、別に怒らせなくても、喜ばせたってよいのではないかと思うかもしれません。たしかに、喜ばせる(いきなり共感してもらうようなことを書く)のも一つの手です。ただし、人間の脳には心地よいものよりも、違和感のあるものの方が認識に上がりやすいという性質があります。
ですから、わざと読者の期待から外れる情報を出す方が効果的なのです。期待から外れた情報に接すると、脳はその情報に対する認識が増し、さらに、記憶にも残りやすくなります。
もちろん、この違和感が、おもな言いたいことではありません。言いたいことは読み手の認識を高めてから出します。たとえば「一時的にではなく、本当の意味で学力が伸びるのは、子どもが自ら進んで、自分がやりたいと思って学習に取り組んだときです」といったことを述べます。
ここが主たる主張になりますから、自身の体験や研究の成果などを稼働させて、持っている臨場感をフルに伝えます。論理的な裏付け、証拠のようなものも必要になるでしょう。
読者は最初のところで違和感を覚えていますから、それを解消するべく読み進んでくれることでしょう。そこで、本当に言いたい内容を、説得力を持たせる形で語っていきます。
もし、最初の違和感なしで、いきなり「一時的にではなく、本当の意味で学力が伸びるのは、子どもが自ら進んで、自分でやりたいと思って学習に取り組んだときです」と述べたとしたら、読者はどう思うでしょうか。
好意的な読者でも「まあ、そうだよね」「でも、それが難しいんだよ」といった感じでしょうか。多くの読者は「そんなの当たり前」「他の人が言っているのと同じこと書いてある」といって、スコトーマによって認識しなくなってしまう可能性が高いでしょう。
さて、違和感で読者の認識力を高め、言いたいことを述べたら終わりではありません。最後には読者の違和感を解消してあげる必要があります。文章の最初で怒らせたら、最後は仲直りする必要があるのです。読者を怒らせたままでは、次に書く文章を読んでもらえなくなる可能性があります。
仲直りする最も有効な方法は、「怒らせた話とそのあとで語った話の両方を包み込むような、抽象度の高い結論で結ぶ」というものです。
先ほどの例で言えば、「親が子どもの教育に熱心になればなるほど、子どもの成績は下がります」と書いて違和感を抱かせ、次に「一時的にではなく、本当の意味で学力が伸びるのは、子どもが自ら進んで、自分でやりたいと思って学習に取り組んだときです」と述べました。
ですので、たとえば「親は子どもの教育に熱心になればなるほど子どもに押しつけてしまいがち。だが、それでは子どもの自主性は育たない。その熱心さというエネルギーは、子どもの自主性を伸ばす方向に向けてほしい」といったことを書いたらどうでしょうか。
本題の部分で、「なぜ、子どもが自ら進んで取り組むと学力が伸びるのか(なぜ、無理強いするとダメなのか)」についてしっかりと述べていますから、その内容はすでに認識し、理解してくれているはずです。そこへ、最初の違和感を解消するように、「実はあなたは間違っていたわけではなく、ちょっとだけ力を入れる角度が違っていただけ。それを直せば、子どもの学習効果は格段に上がる」という意味のことを述べるわけです。そして、「子どもの自主性を伸ばす」ための具体的な方法論を書いてあげれば完璧です。
冒頭で違和感を醸成し、情動を揺さぶっておいて本論を説得力のある形で提示し(この方法論は次章で記述します)、最後にすべてを包みこんで和解する。読者に最後まで読んでもらい、しっかりと理解してもらうための非常に有効な方法です。
ちなみに、この方法論は小説にも利用できます。読んでおもしろい小説というのは、冒頭からいきなり読者の情動を揺さぶってきます。その揺さぶりをどこで解消してくれるだろうと思いながら最後まで一気に読んでしまったという経験は、小説を読む人なら誰でも経験があることでしょう。
もっとも、情動を揺さぶるだけ揺さぶっておいて、最後に解消しないで、読後も違和感を持たせ続ける小説も少なくありません。小説の場合は情動を揺さぶられたままの読後感を好む読者も少なくないのでこれでもよいのですが、小説ではない一般的な文章の場合は、最後は読者の違和感を解消させるというのが鉄則です。
書き手の臨場感を伝える際、読み手の臨場感を無視しては伝わりません。読者に知識がない(ゆえにスコトーマがある)ことについて語るからには、まったく違ったフレームワークでスコトーマが外れているものを先に見せて、実はそれが自分が主張したいフレームワークと深い関係がありますよというように見せていくと、読者のスコトーマを外せる可能性が格段に上がるのです。
冒頭で「仕掛け」て、中盤で「仕掛けに意味を持たせる主張」を書き、最後は「最初に意図的に仕掛けたアンバランスを、文章全体としてのゲシュタルトを作って解決する」という三段階を知っているだけで、読者の認識、理解は格段に上がるはずです。ぜひ、試してみてください。
引用終わり
…さらにコーチは、コンテンツに関わらないために、中盤の「主張(claim)」は直接的には行わず、「事実(data)」と「根拠(warrant)」の提供で働きかけます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html
*ディベートについてはこちらで↓
S-01~:よりよい“議論”のために(目次)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11613757.html
(Q-254につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-告知1-
2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。
メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~Reload&Revolution~」。詳細はこちらでどうぞ↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html
第2回目のテーマは「コンフォートゾーン」です↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28496983.html
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
PMⅠ-04~:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ(目次)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076878.html
Q-100~:リハビリが必要な状態なのですが、病院からは「早めにでてほしい」と言われています。どうしたらいいでしょうか?
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Q-177~:家族ががんで治療中です。どうすればいいでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408953.html
Q-237:新型コロナウイルスが怖いのですが、どのように対処すればよいでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28210417.html
Q-249:病気をどのように考えていますか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28540879.html
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