F-237:「出口が見えない」と「出口戦略」 vol.1;ヒーリングとコーチング、それぞれの視点で考える
前回(フリーテーマ)、「revenge」と「avenge」についてまとめました。
F-234~:自由訳「revenge」と「avenge」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_419026.html
書きながら感じたのは「希望/hope」の重要性。
PMⅠ-04-04:収容所生活中にフランクルが発見した「健康」の源泉とコーチングの関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045695.html
先々月、私は医師としてCOVID-19のクラスターを経験しました。幸い5週間で収束しましたが、その間中「希望/hope」の重要性を痛感していました。
F-155:「怒りと絶望しかありません」という言葉に感じた希望
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23743308.html
ところで、クラスターに対処している間によく耳にしたのが、「出口が見えない」と「出口戦略」という言葉。
きっと無意識が「クラスターの“出口”」を模索していたので、重要度が上がり、RASが変化しスコトーマが外れ、認識に上がりやすくなっていたのでしょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
縁起を感じながら、その2つの言葉について考えてみました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
vol.1;ヒーリングとコーチング、それぞれの視点で考える
「出口が見えない」と「出口戦略」
…その2つをヒーリングの視点で考えると、前者はNG、後者はOK。
「出口が見えない」という状態が続くと、大脳辺縁系優位に陥り、want to(~したい)がhave to(~ねばならない)に変わってしまいがちです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html
すると、動物的・短絡的・感情的となり、IQが下がり、身体はこわばり、ミスが多くなってしまいます。「Fight or Flight」の状態です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html
私自身は、とくに不安・恐怖(fear)、義務感(obligation)、罪悪感(guilty)に気をつけています。
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出口が見えない
→やばい(不安)
→なんとかしなければ(義務感)
→私のせいだ(罪悪感)
…そのようなセルフトークに気づいたら、まずは呼吸を意識に上げるべき。そして、ゆっくり吐きながら心身を緩めていきます(逆腹式呼吸)。
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*詳しくはこちらをどうぞ↓
F-217~:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416096.html
心身がリラックスしていくと、大脳辺縁系から前頭葉前頭前野優位に戻りやすくなります。それは元のコンフォートゾーン(CZ)に復帰する感じ。そのプロセスがヒーリングであると私は思っています。
(ただし、大切な条件があります。詳細は次回まとめます)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
コンフォートゾーン内では、取り戻したIQで「出口戦略」を自由に思い描くことができます。論理的思考を重ねながら、どんどん問題(case)を見つけ、しっかり解決(plan)していくでしょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html
まとめると、ヒーリングによって、「出口が見えない」(大脳辺縁系優位)から「出口戦略」(前頭前野優位)へと移行する
「出口が見えない」と「出口戦略」
…一方で、その2つをコーチングの視点で考えると、前者はOK、後者はNG(△)。
ゴールのポイントは、1)心から望むもの、2)自分中心を捨て去ったもの、3)現状の外にあるもの。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
「3)現状の外」とは、現在のブリーフシステムでは認識することができないという意味です。ゴールはCZの外側にあり、スコトーマに隠れているため、最初はまったくわかりません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
コーチのサポートによりうまく見つけることができたとしても(うまく見つけるほど)、無意識が強力に回避しようとしてしまいます。「やらなくていい理由」「しないでいい言い訳」を創造的に思いつきながら。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040752.html
正しくゴールを設定できたときの感覚は、「出口が見えない」「どうやったらいいかわからない」が正解。「びびるくらいがちょうどいい」(by苫米地博士)です。
Q-142~:現状の外にゴールが設定できている状態と現実逃避に陥っている状態とでは何が違っているのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_400116.html
そんな感覚でありながら、大脳辺縁系優位に陥ることなく、根拠なく「ゴールを達成できる」と確信できる力がエフィカシー。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html
現状の外にあるはずのゴールのイメージは(I)、徐々に鮮明になりながら(V)、やがて現実化していきます(R)。それがコーチングの重要なプリンシプル「I×V=R」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html
では、ゴール実現の過程において、「出口戦略」はどのように考えればいいのでしょう?
…「出口(戦略)」をゴール実現のためのエンドステート(またはCOA)と捉えていたならOKです。
ゴールはあくまでも現状の外、つまり「出口」のはるか先にあり、ゴールに向かうプロセス中のひとつの「出口」に対して「戦略」を練るという考え方です。
(あるいは、ゴール実現のための戦略の一部として「出口戦略(戦術)」がある)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html
しかしながら、多くのケースで、「出口戦略」の「出口」自体がゴール化しているように感じられます。それでは創造力を十分には発揮できないばかりか、「出口」に近づくにつれエネルギーそのものを失ってしまいます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html
状況が厳しければ厳しいほど、「出口」に到着した途端に「燃え尽き」や「荷下ろし」といわれる状態に陥ってしまうはず。
Q-243~:続・気楽に生きたいのですが… ~「気楽に生きる」ということ~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418403.html
よって、コーチングの視点での「出口戦略」の最大のポイントは、「現状の外=出口のはるか先」へのゴールの再設定と細やかなモニタリングによるアサンプションアップデート。
まとめると、コーチングによって、「出口が見えない」(現状の外のゴール)を維持しながら、「出口戦略」を模索し続ける(アサンプションアップデート)
…コーチングの祖 ルー・タイスさんの「invent on the way」を、私はそのように理解しています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23604469.html
(F-238につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
コーチングの視点での「出口戦略」の最大のポイントは、「現状の外=出口のはるか先」へのゴールの再設定と細やかなモニタリングによるアサンプションアップデート
…もう一つ挙げるとすれば、ゴールのバランスホイール。
以下、認知科学者 苫米地英人博士の新刊「オーセンティック・コーチング ~本物のコーチング~」(CYZO)から引用します。
◎人生を豊かにするものがコーチング
コーチングを受ける際、やはり多くの人が「職業」についてのコーチングを受けようとします。コーチングに費用が発生する以上、その費用を回収するためには職業を充実させようとするのはごく普通の考えです。
しかし、コーチングを自己投資というふうに考えるのはかなり早計ですし、それ以前に「職業」の定義そのものを間違えている人が少なくありません。
コーチングを自己投資だと考えがちなのは、なにも日本だけではありません。本家本元であるアメリカでもそうで、コーチングと言うと、職業・仕事に対するコーチを受けることによって収入を上げるものだと認識されています。
その証拠にルー・タイスの外部向けコーチングプログラムの名前も営業部門が命名した『IIE(インベストメント・イン・エクセレンス)』でした。日本語に直せば「成功に投資しよう」です。
しかし、私はルーと出会い、ルーのコーチングを深く知るにつれて、インベストメントという言葉は違うのではないかと思うようになりました。
ルーにその思いをぶつけてみると、その通りだと賛成してくれたので、『IIE』の第2弾は『IIE2』ではなく、『TPIE(タイス・プリンシプルズ・イン・エクセレンス)』と名付けたのです。
とはいえ、本家本元のアメリカでさえ、コーチングを自己投資の対象として多くの人が捉えていたという事実は重く、いまの日本の人々がコーチングとは自己投資であり、払ったお金はのちのち回収するもの、結局はお金儲けのためのものと考えてしまうのも致し方ないことではあると思っています。
ただし、そう考えていいのはクライアントだけです。コーチングを受ける側なのですからコーチングのプリンシプルがわからないのは当然です。
私がいま問題にしているのは、クライアントだけでなく、コーチまでもがそういう考えに染まってしまっている点です。
コーチングとはインベストメントではありません。人が生きるプリンシプルを伝えるものです。
そして、プリンシプルだからこそ、その後の人生に良い影響を与えるのです。
私がルー・タイスから学んだコーチングもゴールを職業だけに限定していません。職業も含めたいくつかの分野でゴールを持つことによって、人生を豊かにしていくものなのです。
このゴールをいくつも持つ考え方がバランスホイールです。その重要性についてはこれまでの書籍で何度も伝えています。どの本でもバランスホイールの説明に多くのページを割いているはずです。もちろん、コーチを育成する際にもバランスホイールの話はかなりの時間を使って教えています。
ところが、結局、多くのコーチがバランスホイールではなく、職業のゴールに重きを置いてしまいます。前述したようにクライアントが職業に重きを置くのに引きずられて、コーチまでがそうなってしまう傾向にあるためです。
ですから、本書では改めて、バランスホイールの重要性を説明していきましょう。
引用終わり(続きは「オーセンティック・コーチング」p.48~でどうぞ)
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一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
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