Q-247:続・気楽に生きたいのですが… ~「気楽に生きる」ということ~
-05;「時間は未来から過去に流れる」とは?
子どもの頃、私は「努力」や「根性」という言葉が好きでした。反対に「気楽」や「気軽」が大っ嫌い!
F-109:気楽
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ところが、認知科学者
苫米地英人博士に学ぶ間に、「努力」「根性」がコンフォートゾーン(CZ)の外になり、「気楽」がCZ化していきました。
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そんな「気楽」について、いただいた御質問に回答しながら考えてみました↓
Q-238~:気楽に生きたいのですが…
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Q-240~:毎日、無気力感に悩まされています ~気楽に生きる際の注意点~
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「100%want toで生きよう」「楽しく働こう」といった話をすると、必ずといっていいほど「やりたいことだけで生きられればそもそも苦労はしない」「みんながやりたいことだけやっていたら社会が成り立たない」といった御意見(claim)をいただきます。ときには「楽しく働かれるといい迷惑だ」といった苦言も。
「want to」や「Not
Normal」を貫く生き方は、気楽ではありますが、決して楽ではありません。
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ところで、want toを非難する人たちのことをドリームキラーと呼びますが、最大・最強のドリームキラーとなるのは誰でしょうか?
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…そう、自分自身。心の中の不安や恐怖・義務感・罪悪感といったものが、want toをいつの間にかhave toに変えていきます。
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では、そんな内なるドリームキリングに対して、どう対応すればよいのでしょうか?
…そのような問いを念頭に、「気楽に生きる」ということについてあらためて考えてみました。気楽に読んでくださいw
01;肩書が変われば、機能・役割が変わる
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02:昇進うつはなぜ起こる?
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03;昇進うつの解決法
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04;「一人一宇宙」はゴールに向かう夢の一部
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05;「時間は未来から過去に流れる」とは?
ナチスにより強制収容所に送られた体験を「夜と霧」に記した精神科医師
ヴィクトール・E・フランクル(Viktor Emil Frankl、1905~1997年)は、「意味への意志」を最も重要な人間の行動力だとしました。生きる苦しみは精神病の徴候ではなく、その人が意味を求めることによって、より人間的になりつつある証であるとし、自由意志こそ人間のもつ傑出した特徴だと信じました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045695.html
「内を外に合わせて変える」ことをフランクル風に表現すると、「起こっている出来事を通じて人生の意味を考え、人生が求めている本来の自分に変わっていくこと」といえます。
さらにコーチングと合わせて考えると、「起こっている出来事を通じて考える人生の意味」が「可能世界w1」であり、「人生が求めている本来の自分に変わっていくこと」が「pの再定義」といえます。
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
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シンプルに表現すると、「世界をしっかり観察し、現状の外にゴールを設定して、ふさわしい“自分”を生きる」
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そのときに重要なのが“時間の流れ”についての理解。
かつての私も含むほとんどの人々が「時間は過去から未来に流れている」という考えを受け入れていますが、本当は時間は未来から過去に向かって流れています。この文章を読んでいる瞬間を“今”とすると、この瞬間の1時間未来が1時間経って現在となり、“今”は1時間過去に変わります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
時間は未来からどんどん流れ、現在の自分を通り過ぎ、過去となりますます遠ざかっていく
…それがコーチングマインドにふさわしい時間観。
今回は、そんな時間の流れを「前後関係」と「因果関係」という概念で考えてみましょう。
「人間万事塞翁が馬」という故事を御存知でしょうか?
以下Wikipediaより引用します。
国境の近くにあった塞(とりで)の近くに住んでいた翁(老人)は、何よりも自分の馬をかわいがっていた。その馬は、周りからも評判が立つほどの駿馬だったが、ある日突然、蜂に刺された拍子に飛び出してしまう。一向に帰ってこない馬の様子に、周りからは翁に同情するほどだったが、翁は「これがきっかけで何かいいことが起こるかも知れない」とだけ言って、我慢強く待ち続けた。すると、どうだろうか。しばらくして、その馬が別の白い馬を連れ帰ってきたのだ。しかも、その白馬も負けず劣らずの優駿で、周りの者は口々に何と幸運なことかと囃し立てたが、翁は「これがきっかけで、別の悪いことが起こるかもしれない」と自分を戒め、決して喜ばなかった。
それから、かわいがっていた息子がその白馬から落ちて、片足を挫いてしまった。周りはまた同じように慰めの言葉を掛けたが、翁はまた同様に「いいことの前兆かも知れない」と告げる。それからしばらくして、隣国との戦争が勃発した。若い男は皆、戦争に借り出されて戦死した。しかし息子は怪我していたため、徴兵されず命拾いした。そして、戦争も終わり、翁は息子たちと一緒に末永く幸せに暮らしたという。
このことから、人間、良いこともあれば悪いこともあるというたとえとなり、だから、あまり不幸にくよくよするな、とか幸せに浮かれるなという教訓として生かされる言葉になり、人間万事塞翁が馬などと使われる。
引用終わり
この故事中で起こったfact(事実)を過去から未来に向けて並べると、A)愛馬の逃亡→B)愛馬が白馬とともに帰還→C)息子の怪我→D)戦に不参加→E)末長く幸せ、となります。この並びが「前後関係」です。
前後関係とは「Aが起きた後Bが起き、Bが起きた後Cが起き、Cが起きた後Dが起きた…」というfactを順番に並べただけの概念です。
それに対し「Aが起きたからBが起き、Bが起きたからCが起き、Cが起きたからDが起きた…」という関係を「因果関係」といいます。「あの時〇〇したから(しなかったから)、△△が起こった(起こらなかった)」という考え方です。
“原因があって結果が生じる”
…この関係が「因果関係」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
fact(事実)だけの「前後関係」と違って、「因果関係」には解釈が含まれます。
それをディベートと絡めると、「因果関係」にはwarrant(根拠)やclaim(主張)が含まれるといえます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html
*ディベートについて、詳しくはこちら↓
S-01~:よりより“議論”のために(目次)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11613757.html
さらに抽象度を用いて考察すると、「前後関係」は最も抽象度が低い物理空間にあり、「因果関係」は高次の情報空間にひろがっていることがわかります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
*情報空間はこちら↓
(物理空間は情報空間の一部であり、抽象度を軸にしたときの底面です)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
…そのように「前後関係」と「因果関係」はまったく異なるものですが、多くの場合、無意識下では混同されています。
「人間万事塞翁が馬」の例えで、“C)息子の怪我”の時点ではそのfact(物理次元)は悲しいこと(情報次元)ですので、その前に起こった“B)愛馬が白馬とともに帰還”は好ましくないこととして周囲の人に解釈されました。ところが、その後“D)戦に不参加”という喜ばしいことが起こると、“C)息子の怪我”は好ましいことに解釈が変わり、その前の“B)愛馬が白馬とともに帰還”も好ましいことに、そしてその前に起こった“A)愛馬の逃亡”も好ましいことに変わります。まるでオセロで黒が白にどんどんひっくりかえっていくように。
(ディベートでは「ターンアラウンド(T/A)」と表現します↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26568420.html
このことからわかるように、起こったこと(fact)の解釈はその後に生じること、つまり未来の出来事で書き換わります。未来の出来事によって過去の出来事の解釈(=意味)が変わるのですから、「因果関係」の「因」は未来(より高次の抽象度次元)にあるといえます。
未来の結果が現在、現在の結果が過去
…それが「時間は未来から過去に流れる」ということです。
望ましい生き方は前回(Q-246)まとめたとおり、ゴールを設定することで「因」を生みだし、その「果(結果)」として現在を生きるという生き方です。
もしもゴールがはっきりしないなら、つまり未来を描かずに生きている場合は、現在起こっていることから「こうあってほしい(でも絶対無理!)」というイメージを思い描いてください。気楽に。
それが今回の冒頭で書いた「起こっている出来事を通じて人生の意味を考え、人生が求めている本来の自分に変わっていくこと」のはじまりです。「内を外に合わせて変える」という感覚がわかっていただけたでしょうか。
難しいと感じている方もいらっしゃると思いますが大丈夫です。
人生の意味を考え未来(w1)をイメージすることももちろん重要ですが、シンプルに考えると「今この瞬間にゴールを設定してしまえばいい」のですから。趣味や家族など設定しやすいところから。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28095246.html
ゴールとは夢のこと。
「夢に向かって生きる」
…それが「気楽に生きる」「楽しく働く」ための秘訣であり、「昇進うつ」などと無縁な力強い生き方の秘密だと私は思っています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27025230.html
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。
メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~Reload&Revolution~」。詳細はこちらでどうぞ↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html
第1回目のテーマは「A次元」です↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28324598.html
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クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
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