F-228:ゼロトラスト 前編;民無信不立

 

 今回のテーマは「ゼロトラスト」。

 「ゼロ」は「0」、「トラスト」は信頼を意味する「trust」で、「完全に守ることは不可能という認識」のこと。「過信しない」というレジリエンスの大原則です。

 F-142:不要不急 vol.3;レジリエンス <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22878502.html

 

 東洋思想(釈迦哲学)の縁起は、最初から不完全性をベースにしています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 西洋的な思想においても、現代は不完全性が前提。不完全性は、情報空間では不完全性定理として、情報空間の底面である物理空間では不確定性原理として知られています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 *情報空間&物理空間はこちら↓

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

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 リスクマネジメントをテーマとした研修や講演等で「ゼロトラスト」の話をすると、「信用がないとチームは機能しない(=ディスアドバンテージ)」「お互いに信頼するから困難を乗り越えられる(=ソルベンシー)」といった反対意見をいただくことがあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12935916.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12935992.html

 

 もちろん、そのとおり。

 

その事実を、有名な歴史上の人物は、このように表現しました。誰の言葉か御存知でしょうか? (ヒント:中国人です)

 

民、信なくんば立たず(民無信不立

 

答えは孔子。

2500年も前に、政治の要諦は「信」、すなわち「信用の確立」だと語っています。現代的にいうと、企業経営や組織運営の最重要課題は「信」であるということ。

(一例としてこちらをどうぞ↓)

F-078~:ヘンリー・フォードの教え

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_342433.html

 

 具体的にはこんな言い伝えです。

あるとき子貢という弟子が政治の目的について尋ねたところ、孔子はこう答えました。

 

食を足らし、兵を足らし、民これを信にす

 

…1)食糧の充足、2)軍備の充実、3)信用の確立、この3点をポイントとして挙げたのです。

さらに子貢が、「この3つのうち、仮に1つを諦めねばならないとしたらどれを除きますか?」と質問したところ、孔子は「軍備だよ」と即答しました。

「残りの2つのうち、1つを諦めるとするとどちらですか?」と重ねて尋ねると

 

もちろん食糧だ。人間はいつか死ぬ。死は逃れられないが、信用が失われては社会そのものが成り立たなくなる(民、信なくんば立たず)

 

孔子は食糧よりも信用を選びました。それは命よりも信用の方が大事だということ。

 

ここを苫米地式で考察すると、物理空間上の個の存在よりも、より抽象度の高い情報次元での縁(社会的つながり)の方に重きを置いていることがわかります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

孔子は見抜いていたのです。宇宙はすべて関係性で成り立っていると。

見抜けた理由は「巨大なゲシュタルトを構築していたから」のはず。ゲシュタルトができるから、しっかり理解することができます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

さらにゲシュタルトどうしがつながり(connect the dots)、より大きなゲシュタルトができあがることで、理解がますます深まっていきます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

関係により存在が生まれる

 

それは2600年前に釈迦が見いだした真理。

冒頭で御紹介したとおり、哲学や科学の発展により、現代社会はようやく釈迦の教えに到達しました。その代表が「不完全性定理」「不確定性原理」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526199.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14687391.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14687476.html

 

 

 最後に問題です。

 「ゼロトラスト」、すなわち「過信しない」というレジリエンスの大原則と、「信用・信頼が大切」という現場の認識は矛盾していません。その理由を考えてください。ヒントは本文中の「〇〇〇(漢字3文字)」です。

その理解と実践は、じつは、コーチングの成否に大きく関係します。なぜでしょうか?

 

 私の答えは次回以降(F-229~)に。

 リラックスしながら、思考そのものを楽しんでください。Take it easy

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19980130.html

 

F-229につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

リスクマネジメントをテーマとした研修や講演会等で「ゼロトラスト」の話をすると、「信用がないとチームは機能しない(=ディスアドバンテージ)」「お互いに信頼するから困難を乗り越えられる(=ソルベンシー)」といった反対意見をいただくことがあります

 

 教育現場で「ゼロトラスト」の話をさせていただいた際に、「子どもを信じることこそが一番大切なのではないか」と熱く反論されたことがあります。

 

 そのとおり!

 

「ベーシックトラスト」を育むことは教育の重要なポイントです。詳しくはこちらで↓

Q-227~:低年齢の子どもも「want toで生きる」「have toは一切しない」なのでしょうか? しつけと教育の違いはどのように考えればよいでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416707.html

 

 「ゼロトラスト」と「ベーシックトラスト」は矛盾しません。その理由もイメージしてください。

 

 

-追記2

孔子は食糧よりも信用を選びました。それは命よりも信用の方が大事だということ。

ここを苫米地式で考察すると、物理空間上の個の存在よりも、より抽象度の高い情報次元での縁(社会的つながり)の方に重きを置いていることがわかります

 

 孔子とその高弟の言行を記録した書物が「論語」。

 認知科学者 苫米地英人博士の著書の中に、「論語」の表と裏を、その仕掛けとともに鋭く解読されている本があります。その名は「洗脳論語」(三才ブックス)。とても衝撃的な本です。

 

 

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F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

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-告知-

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

次回は「R4.2/19土 午前9時」、その次は「R4.2/211745分」開催。20分間(~最長30分)です。一緒に楽しみましょう!

R4.2/19土 午前9時」はこちら↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28116052.html

 R4.2/211745分」はこちら↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28166479.html

 

  

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