Q-232:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 

A3実際に新たなブレークスルーは医学や医療のど真ん中とは違うところで起こったりします。例えば「被害妄想がでている老人に対しての対応」といった課題(case)への解決(plan)も。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 その一例として御紹介するのは「ユマニチュード(Humanitude)」。フランスのイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの二人によりつくりだされたケアの技法です。二人はもともとは体育の教師だそう。腰痛の予防や対策をお願いされたことをきっかけに介護の世界に飛び込んだそうです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 私はユマニチュードに精通しているわけではありませんが、情報を集めゲシュタルト化する過程で重要な気づきを得ました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 以下、ユマニチュードについて紹介しながら、苫米地式認定コーチとして解説します。

 

 

 ユマニチュードには「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱があります。

 

そのうちの「見る」「話す」「触れる」は介護者側の視点。ひとつ抽象度を上げてまとめると「関心を持つ(示す)」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 関心の対象は、もちろん、介護される患者さんです。

 その“患者さん”とは、「今、ここ」という物理空間上の実在(instance)だけではなく、生まれてから今に至るまでの人生全体のこと。さらには、情報空間にひろがる関係性(自我)すべてのことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

その全体に「関心を持つ(示す)」ことが重要です。

 

 *情報空間(およびその底面である物理空間)はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 エリ・ヴィーゼルの言葉を借りると、生の反対は死ではなく、生と死の間(にあるもの)への無関心です。関心が存在(生)を生みだしているといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24767587.html

 

 

 4つ目の「立つ」は患者さん側の視点。

「立つ」ことにはたくさんのメリットがあります。例えば「骨粗鬆症を防ぐ(骨・関節)」「筋力低下を防ぐ(骨格筋)」「血液循環を改善する(循環器)」「肺の容積を増やす(呼吸器)」など。しかしながら、ユマニチュードが重視しているのは、そのような身体面ばかりではありません。

 

最大のポイントは「尊厳」。心、つまり情報空間でのメリットです。

私が学んだ書籍には「『立たせる』『歩かせる』という技術だけを信じてはいけない。『誰のために?』『何のために?』『どこに向かって?』という目的がなければ人は歩けない」と書かれていました。

これは「ゴールが重要である」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 その考えは「ゴールが先(Goal comes 1st.)」というコーチングの祖 ルー・タイスさんの教えと通じます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8583393.html

 

Q-233につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 ユマニチュードには「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱があります

 

 「見る」について補足します。ユマニチュードにおける「見る」とはアイコンタクトのこと。それを「視線をつかみにいく」と表現しており、具体的には0.5秒以上のアイコンタクトが必要だとしています(目があったら2秒以内に話しかける)。

 

「えっ、たった0.5秒だけ」と思いませんでしたか?

私たちは意外に目を見つめていません。とくに最近の医療の現場は忙しい上に電子化されており、患者さんの方はまったく見ずにモニターを凝視しながら診察 なんてことも珍しくはないようです。

同様に、日常の生活においても、目を合わせる機会が少なくなっているのではないでしょうか。

(反対に目がしっかり合ってしまうと気まずくなりますよねw

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 人間にとって、本来、アイコンタクトはとても重要のものです。

生後2~5日の新生児でもアイコンタクトに反応することが確認されています。それは「集団で生きていく仕組み」であり、「人を人たらしめる能力」ともいわれています。

 さらに、日本人とフィンランド人を比較した研究により、その文化背景に関わらず、正面からアイコンタクトをとると覚醒度や注意力が高まることが明らかになっています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11294790.html

 

さらにアイコンタクトを続けると、“秘密の力”が覚醒するかもしれません。

イタリア ウルビーノ大学の心理学者 ジョバンニ・カプート氏らは「アイコンタクトが意識の変容をもたらす」という研究結果を発表しています。

 そういえば苫米地博士の著書にも人の目がデザインされているものがあります。その本とは「洗脳原論」。きっと読みはじめる前から(手に取った瞬間から)「洗脳」する仕掛けなのでしょう。

 

 冗談はさておき、私はクライアントさんに「まずはしっかり見る/観る」ことを勧めます。見る/観るものは「情報空間にひろがる関係性(自我)すべて」。それは自分自身とのアイコンタクトといえます。

 S-04-24~26:「鏡の中の自分に微笑みかけること」の本当の意味

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23983088.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24057099.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24116667.html

 

 そして、それは「抽象度が高い世界に臨場感を感じる秘訣」でもあります。

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 

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