Q-229:低年齢の子どもも「want toで生きる」「have toは一切しない」なのでしょうか? しつけと教育の違いはどのように考えればよいでしょうか? 後編;しつけと教育の違い

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

3回に分けて回答いたします。

 (変更を加えています)

 

 

Q:コーチや大人はwant toで生きるということは理解できました。

低年齢の子どもはどうなのでしょうか? しつけと教育の違いはどのように考えればよいでしょうか?

 

例えば、「お菓子ではなく、野菜を食べなさい」などというシチュエーションがあると思います。

年齢が大きくなれば、ゴールと結びつけて、want toに出来るかと思いますが、右も左もわからない年齢の子どもの場合はhave toになってしまうと思うのですが、それはしょうがないのでしょうか?

 

苫米地博士が以前、ロシアの学校の教育者への講義で「have toは一切しない」とお話されたと伺いまして、いつ頃の年齢からが対象なのかと思いました。この辺りの領域が詳しいようでしたら、伺いたいと思いました。

 

 前編;教育の目的は〇〇

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27764245.html

中編;苫米地式幼児教育のポイント

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27799595.html

 

A3:今回のテーマは「しつけと教育の違い」。キーワードは「ベーシックトラスト」です。

 

 「ベーシックトラスト」とは「子どもの親(大人)への絶対的な信頼感」のこと。

 それは親が子どもを徹底的に信じてあげることで育まれます。コーチング用語を用いると「信頼されている状態がコンフォートゾーン」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

以下、前回と同じく『0~5歳で決まる! 脳の力を無限に引き出す幼児教育』(扶桑社)からの引用を青文字で表記します。

 

 苫米地博士は「親から徹底的に信頼されて、信頼されることがコンフォートゾーンになれば、成長してからも無意識に『みんなの信頼にこたえたい』と考えるようになり、いつも責任ある行動をとるようなる」と書かれています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22669112.html

 

 ベーシックトラストを育まれた子どもの脳には、「自分以外の誰かを信頼することができる」という記憶が焼きつきます。その「自分以外の誰か」は、はじめは父親や母親で、やがて学校の先生やまわりの友人たちなどに広がっていきます。それは「自分が生きているこの世界を信じる」ということと同じ意味で、生きる力になります。また、親から絶対的な信頼を寄せられることで、子どもは自分自身を信じる気持ちも育むことができます。自分を信じることができれば、自分の能力や未来に自信を持つことができるようになります。エフィカシー(自己評価)も向上して高い自己イメージを持つこともできるようになるのです。

 

 自分以外の誰かへの信頼 → 自分が生きている世界を信じる

 親からの絶対的な信頼 → 自分自身を信じる = エフィカシー

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 私たち大人は、「子どもを信じる」ことを通じて、子どもの未来に圧倒的な影響を与えられることを忘れてはなりません。まずはお子さんを徹底的に信じ、そしてしっかり褒めてあげてください。それが親の大切な役割です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 

 「子どもの未来に圧倒的な影響を与える」は、残念ながら、いい面ばかりではありません。親のハビット&アティテュードによっては、後ろ向きで、エフィカシーを下げ、自由を放棄してしまうこともおこりえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 悪影響を与えないために絶対にやってはいけないことが、「禁止すること」「怒ること」「しつけをすること」の3つ。順番に確認していきましょう。

 

 1つ目のNGは「禁止すること」。抽象度を1つ上げると「命令すること」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 禁止や命令は思考力を失わせます。それは子どもの自立を妨げているのと同じです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

子どもに行うべきは「許可」。子どもの無意識が「私(親)はあなた(子)を信じている。だから、あなたの自由にしていいよ」というメッセージ受け取ると、ベーシックトラストが育まれます。苫米地博士は「許すこと、信じることは、最も強力な教育法」とおっしゃっています。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7554690.html

 

 2つ目のNGは「怒ること」。ここでの「怒」とは感情的な怒りのことです。それは動物的な大脳辺縁系での情報処理であり、私憤と呼ばれるもの。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 親(大人)の怒りは子どもを容易に「ファイト・オア・フライト」に陥らせます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 さらに、情緒不安定な親から感情的に叱られたり怒鳴られたりする環境で育つと、そうした状況が子どものコンフォートゾーンになってしまいます。すると、褒められたり優しくされることに居心地の悪さを感じてしまい、わざと悪いことをして怒られる状況を保とうとしてしまいます。

 頭では「悪い」「こんなのイヤだ」「もうやめよう」と思っていても、無意識の働きによって破壊的な行動を続けてしまうのです。その「無意識の働き」とはホメオスタシス(恒常性維持機能)のこと。いくら意識の力で抗っても、とてもかないません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 だから「ダメ。ゼッタイ。」的な押し付けはダメ。絶対に。

 F-082~:ダメ。ゼッタイ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_352303.html

 

 「ダメ。ゼッタイ。」は子どもの心を傷つけます。たとえ物理的な暴力がなかったとしても、心に受けた傷はやがて脳を含む身体の傷に変わっていきます。まるで汚染がひろがってしまうかのように。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10114934.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523096.html

 

 心と体は抽象度が違うだけであり、そもそも同じものなのだから。「心と体」でひとつです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24575354.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24617501.html

 

 3つ目のNGは「しつけをすること」。

 しつけは一方的に特定の価値観や行為を押し付けることです。それは「have to」を植え付けることと同じ。want toを思い描く自由を奪い、ゴール設定を阻む要因となってしまいます。大人になってからも。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 最初(Q-227)にお伝えしたとおり、教育の目的は「自由」であるはず。しつけは結果的に子どもの自由を奪い、考える力を失わせるのですから、本末転倒の愚行であるといえます。

 (詳しくはこちら↓)

 PM-05~:苫米地理論で見える教育現場のスコトーマ(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13077001.html

 

 では、「『お菓子ではなく、野菜を食べなさい』などというシチュエーション」等ではどのように対応すればよいのでしょうか?

 

 その場合、以下の3点を意識に上げることをお勧めします。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

 1)「子どものため」ではなく、「自分のため」になっていないか?

 子どもと接するときに基準になるのは、「親のエゴや欲求」ではなく、「子どもの欲求や感情」でもなく、論理です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

 2)しつけ(価値観の押し付け)ではなく、知育(論理的思考訓練)として教える

 何らかの行動の背後には必ず理由があります。その理由を論理としてしっかり教えてあげることが知育です。

論理に納得すれば、子どもは「言われたとおりにする/しない」を自ら選択するでしょう。

納得できなければ理由を聞いてくるはず。その時には「どうしてか一緒に考えよう」というように、子ども自身が納得できる理由を見つけられるように導いてあげてください。

答えをすぐに教えてはだめですよ。すでにある価値観を外から与えることになるから。

スコトーマを外すのは、あくまでも子ども自身です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 3)誘導する

 子どもに論理的に考えさせ、自ら行動を決定させることが「誘導」。

 とはいえ、子どもの注意力は散漫です。子どもが面白いと感じ、没頭し、自ら選択したくなるような“ワクワク”をどんどん仕込んでいきましょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

親自身が楽しみ、ドーパミンをしっかりだすのがポイント。私の感覚を明かすと「サプライズを仕込む感じ」ですw

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15549035.html

 

 

 以上、苫米地博士の著書を参考に、「しつけと教育の違い」について考察しました。教育の目的は「自由」であることを忘れずに、お子さんの「ベーシックトラスト」を育んであげてください。

 そうすることで、きっとあなたは、ドリームキラーではなく、ドリームサポーターになることができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040935.html

 

 

 

 ここで終わらないのが苫米地式w

 苫米地博士は、じつは、「ドリームサポーターにもなってはいけない」とおっしゃっています。博士に学ぶ私たちが目指すのは「ドリーム〇〇〇〇」!

最後に「0~5歳で決まる! 脳の力を無限に引き出す幼児教育」(扶桑社)より引用します。博士のメッセージをしっかり受け取ってください。

 

 御質問ありがとうございました。

 

 

 ドリームキラーにもドリームサポーターにもなってはいけない

 本書を読んでいる親御さんのほとんどが、

 「将来、子どもには〇〇になってほしい」

 という未来像を描いているのではないでしょうか。

 「お金持ちになってほしい」

 「結婚して幸せな家庭を築いてほしい」

 「一流大学に進学し、一流企業に就職してほしい」

 「スポーツ選手になってほしい」

 思い描いている子どもの未来像は、親にとって千差万別だと思います。そして、その実現のためなら、どんなサポートも惜しまないと考えているのではないでしょうか。子どもの「ドリームサポーター」になりたいという気持ちは、親として当然だと思います。

 しかし、逆説的な言い方ですが、親が子どもの幸せな未来を想像することをやめて、「ドリームサポーターになってあげたい」という気持ちを捨てることが、本当の意味で子どもの未来のためになります。なぜなら「子どもの幸せな未来の実現を応援しよう」「ドリームサポーターになろう」と考えた瞬間に、子どもの夢や未来に対して、親であるあなたの評価を入れてしまっているからです。

 きっとあなたは「子どもの夢の実現につながるように、しっかりと〇〇を教育してあげよう」などと考えるでしょう。それは子どものことを真剣に考えた結果なのかもしれませんが、そうした考えの裏側には常に「△△は子どものためにならないから、排除しよう」という選別の意識が働いています。

 サポートするものとしないもの、与えるものと与えないものを選んでいるのは、子ども自身ではなく、あなたです。あなたの評価が入ってしまった時点で、すでに子どもの未来を束縛し、あなたはドリームキラーになってしまっているのです。

 「うちの子にはこうなってほしい」と願った瞬間に親のエゴが出ます。もし子どもが成長して、その願いに反するような生き方をしたとき、きっとあなたは「それは間違っている」「正しい人生はこっちだ」と指図してしまうはずです。あなたは「指図するのは子どものためだ。それが親の義務だ」と主張するかもしれません。しかし、親であるあなたの言葉が、結果的には子どもの無限の可能性を狭め、子どもを束縛して不自由にしているのです。

 ドリームキラーにならないためには、子どもの夢や未来を一切評価しないことです。何がいいのか悪いのか、何をするべきで何をするべきではないのか、それを評価して判断するのは子ども自身です。親が勝手に判断して、子どもに指図するべきではありません。ドリームキラーにならないために、ドリームサポーターにもなってはいけないのです。

 私が口を酸っぱくして「親の評価を入れないこと」を強調するのは、現在「社会的に価値がある」「親として誇らしい」と思っていることが、数年後も同じような評価を得るとは限らないからです。

 (中略)

 現在の価値観で「これが常識」「これが正しい」と信じられていることが、子どもが成人したころに同じように通用している保証はどこにもありません。むしろ、情報があふれ、価値観が多様化している今の世界では、社会的に正しいと評価される価値観なんてあっという間に変わっていきます。だから、親が今「子どもにこう生きてほしい」と願うことは、子どもを無意味に縛るだけで、まったく子どものためにならないのです。

 もし子どものために何かできないかと本気で思うならば、私のコーチングのカリキュラムを受けてください。プロのコーチは、クライアントの夢や目標の実現に導くことを仕事としている人たちです。

 プロのコーチング理論は子育てにも役立ちます。子どもの夢を実現させるためには何をしてあげればいいのか。ドリームキラーになることなく、子どものサポートをするにはどうすればいいのか。その答えはコーチング理論にあります。コーチング理論を習得した親だけが、本当の意味で子どものドリームサポーターになれます。

 子どもがドリームを選ぶ、親はそのドリームをさらにレベルアップするお手伝いをする。親はドリームサポーターではなく、ドリームリフターになりましょう。

 引用終わり

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

0歳から5歳の幼児教育

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