F-203:「医学と医療」と「理学と工学」の類似と相違からコーチングで心がけるべきことを考える vol.3;工学とは社会や未来への貢献(ワーク付き)

  

 先日、若い医師たちにコーチングを教える機会がありました。講義中に体感したイメージを言語化します。

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 vol.1;突然あらわれた“謎の穴”

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 vol.2;理学とは〇〇心。その正体はCH

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 vol.3;工学とは社会や未来への貢献(ワーク付き)

 

 前回は、大阪大学大学院生命機能研究科の大学院生 足立晴彦さんらの研究グループによる“世界初の発見”を紹介しました。その発見とは「カブトムシの幼虫は、地面が軟らかいときはミミズのように蠕動運動しながら直線的に掘り進み、固い地面に当たるとでんぐり返しのような連続的な回転運動により土を削りながら掘り進む」というもの。

「なんだそんなこと?」「それが何の役に立つの?」と思う方もいらっしゃると思いますが、意義や利得など度外視で純粋に「なぜ?」を探求するのが理学です。その根底には「知りたい」という強烈なwant to=好奇心が存在します。

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 好奇心とは、じつは、ホメオスタシス活動です。シンプルに表現すると、「取り入れ」「構築し」「更新する」。その「構築し」が理学に、「更新する」が工学に相当します。

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 そのすべて(「取り入れ」「構築し」「更新する」)に強く影響を与える大切な要素があります。何でしょうか?

 

 そう、ゴールです。

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「“現状の外”に設定」したゴールがあるから、スコトーマを外し新たな情報を「取り入れ」ることができます。

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 「自分中心を捨て去り設定」したゴールがあるから、まったく新しいゲシュタルトを「構築し」(connect the dots)、理解を深めることができます。

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 止められてもやり続けるような「心から望む」ゴールがあるから、エネルギーと創造性を最大に発揮しながら「更新する」ことができます。

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 さらにゴールとの関連を追究すると、

「構築し」=理学=「趣味」に近い「職業」のゴール

「更新する」=工学=「社会への貢献」「未来への貢献」に近い「職業」のゴール

と考えることができるはずです。詳しくはこちらで↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26037409.html

 

いずれにせよ“プロフェッショナル”。“プロ”の定義は下記ブログ記事でどうぞ↓

 F-027~:プロとアマの違い

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268331.html

 

 

 では、大阪大学の研究に戻りましょう。FNNプライムオンライン(202182日)から、阪大大学院生命研究科の大学院生 足立晴彦さんのインタビューを一部引用します。

 

 -カブトムシの幼虫の「地面の掘り方」に注目したのはなぜ?

 足立さん:私は、異分野融合を推奨する大阪大学リーディング大学院ヒューマンウェアイノベーションプログラムというものに参加しており、その活動の中で、他研究科(工学や情報学)の学生とともに、進めていけるような研究テーマを常に探しておりました。

 そんな中、博士課程の主要テーマで扱っていたカブトムシの幼虫の形が、ミミズのような細長い形に比べて、土から受ける抵抗を考えると、土の中の移動に適していないことに、ふと疑問を抱きました。

 そこには、何かミミズにはない、効率的な働き方があるのではないか、それであれば、そのメカニズムを工学的に応用できるのではないかという考えを持ちました。ちょうど、プログラムの趣旨に合いそうなテーマだと思ったので、実際に着手に踏み込むことができました。

 (中略)

 -今回の研究結果は今後、どんなことに応用できそう?

 足立さん:土を耕すという点で、新たな農耕技術として使えるかもしれません。空気を含んで軟らかい土壌部分は、直進スタイルで速く通り抜け、固い部分にいくと、回転スタイルによって耕作を行うというようなイメージです。

 日本の農業技術者は減少傾向にあり、耕作が放棄された農地は増加傾向にあるというデータも内閣府から出ていますので、カブトムシの幼虫を模倣した、簡便かつコストがかからない農耕技術によって、そういった問題の解決につながればいいなと思います。

 また、今回の研究では、特に最新の機器類を使っているわけではないので、子供たちを含む多くの方に、自分でも何か発見ができるのではないかと希望を感じてもらうことで、そこから何か新しいことに繋がればいいなと思っています。

 引用終わり

 

 このインタビュー記事との縁により、私はこのようなイメージ(I)をはっきりと感じました(V)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 

 まずは個人レベルの「なぜ?」の探究があり、徐々に抽象度が上がりながら(理学)、やがて社会や未来への貢献へと拡大していく(工学)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 

 それが理学と工学の関係性。

 

 医学と医療も同じように考えることができるはずですが、確かに似ている一方で、決定的な違いがあるように私には感じられます。

 その類似と相違の考察は、コーチングで心がけるべきことを明らかにしてくれます。

 次回、掘り下げます。

 

 最後に、ある雑誌から、ある小児科医が書かれた文章を引用します(事情により秘密)。その言わんとするところを「超情報場仮説(理論)のゲシュタルト」でイメージしてください。

これはコーチングを実践する者にとって重要なワークです(もちろん医療人にも)。ぜひ取り組んでくださいw

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165789.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165823.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306380.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306445.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5445932.html

 

 

 医学生に小児科学総論の最終講義をするようになり、強調したことが2つありました。

 1つは小児科学と小児医療の違いです。前者は疾病を対象とした学問であり、疾病にはその時代に使われている定義があるので、正解と不正解を区別する試験問題を作成することができるという理屈になります。後者は人(小児)を対象としたもので、geneticepigeneticに同じ人は存在しないため、診断・治療と、その結果は人の数だけありえるので、単純に正解と不正解に分けることはできない、つまり医療の試験問題作成は簡単ではないと伝えてきました。したがって、医師国家試験も医学の試験にならざるを得ず、共用試験の一つである知識を問うCBTの成績と国家試験の成績が強く正の相関を示すのはそのためだと考えています。

 2つ目のメッセージは、小児科医は全身を診る総合診療医としての活動が基本で、子どもの肉体・精神・感情のすべてにわたり配慮する必要があり、病む臓器のみならず彼らの健康な暮らしに影響を及ぼしうる社会環境に至るまで考慮に入れる必要があることです。

 

 

F-204につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

まずは個人レベルの「なぜ?」の探究があり、徐々に抽象度が上がりながら(理学)、やがて社会や未来への貢献へと拡大していく(工学)

 

 「貢献」について、下記記事にまとめました↓

 L-023~20203月シークレットレクチャー

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_411419.html

 

 

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-告知-

 今年度(2021-22年)は計8回のオンラインセミナーを予定しています。1年間を通してのテーマは「Well-being」です。

 F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

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2021年度セミナー予定はこちら↓

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