Q-199:状況は意味により変わる? 意味は状況の中にある?

 

 過去の記事(L-029)に関連して御質問をいただきました。ありがとうございます。

 L-02920203月シークレット… -0775歳以上では延命治療は不要?<ケースサイド>後編

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26156803.html

 

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

Qその中に「状況は意味により変わり、意味はゴールが生みだす」とありますが、確か苫米地博士は「状況の中に意味が埋め込まれている」といったことを書かれていたような気がします。少し混乱してしまいました。

状況は意味により変わるのでしょうか? それとも意味は状況の中にあるのでしょうか?

 

A:一言で答えれば「縁起」。双方向です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 

お読みいただいた記事は、昨年(2020年)コーチ向けに守秘義務契約を結んで行った講義をもとにしています。その中で「75歳以上では延命治療は不要である」という主張に潜む課題の分析(ケースサイド)と解決の提案(プランサイド)を行いました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

ブログ用に再構成した際にかなり補足してありますが、反対に削除している部分もあります。私と認知科学者 苫米地英人博士との間の守秘義務契約に該当する内容です。

とはいうものの、削除は最小限に抑え、なるべく抽象度を上げてぼやかすことを心がけました。それが「少し混乱」の原因だと思いますw

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ところで、御指摘のとおり、苫米地博士は「意味は状況の中にある」と書かれています。少し長くなりますが、博士の著書「一瞬で相手をオトす洗脳術」(マキノ出版)より引用します。

 

 

 意味は状況の中にある

 

 中観論でいえば、意味は状況の中に存在するのであって、単語の中に存在していません。

 たとえば「リンゴ」や「パソコン」といった言葉自体には、なんら意味がありません。ある限定された状況の中で、リンゴは赤くて甘い果実であるし、パソコンは個人用の小型コンピュータであるという意味を獲得するのです。

 ここで、私の友人ジョンの話をしましょう。

 ベルリンの壁崩壊前、年に一度、ジョンはプラハ、もしくはブダペストで開催される学会に必ず行っていました。

 ジョンがその学会に向かう目的は、東ドイツに住む医師の彼女と会うことです。年に一度、まるで七夕の織り姫と彦星のように、その学会でしか彼女と会うことができなかったのです。

 東側としても、西側に比べ、学問が極端に遅れるわけにはいきません。そのため、プラハかブダペストで、年に一度だけ西側と交流する学会を開催していました。

 その当時は、東ベルリンで西側の人と東側の人が一緒にいるところを見られると、東側の人は、一生、西側の人から電話も取り次いでもらえなくなります。国外にも出られなくなります。

 今のようにインターネットの環境はありません。ハガキを出しても、3ヶ月後の検印が押されたものが届くような状況です。

 彼女は、電話だって持っていません。当時の東ドイツは4050歳にならないと、電話も買えませんでした。国家が情報を遮断することで国民をコントロールしようと目論んだ結果なのでしょう。

 検閲済みのハガキをやり取りする2人は、前の学会で、次回の学会でも必ず会うことを決めていたため、なんとか年に1度だけ出会うことができていました。

 2人のデートの場所は、いつも墓地だったということです。宗教色の強くない共産圏の国家では、墓地でデートするのは珍しいことではありません。

 プラハやブダペストの墓地は、広くて静かで雰囲気のいい森のようになっています。墓石に座ってお茶を飲んだりしながら、和やかな時間を過ごしていたといいます。

 これが日本だったら、墓地でデートをしようといえば、「たたられる」とか、「気味が悪い」とかというネガティブな反応になるでしょう。しかし、2人が墓地で撮った写真を見せてもらったことがありますが、それは本当に楽しくうれしそうでした。

 プラハであろうと、ブダペストであろうと、2人の別れの場はいつも駅のホームです。ホームの片側には、西側諸国行き、ウィーン行きの電車が入ってきます。もう片側には、東側諸国行き、ベルリン行きの電車が入ってきます。

 どちらの電車が先に入ってくるかと待っていると、当然ですが、便数の多いウィーン行きがやってきます。そして、電車に乗って「また1年後!」といって別れるのです。

 余談になりますが、ジョンを乗せた列車がウィーンに着くと、マシンガンを持った兵士の隊列がいつも待ち構えていたといいます。隊列は到着した列車をすぐさま囲み、車両の下を鏡で点検します。日本でも、アメリカ大使館に入ろうとすると車の下をミラーでのぞかれますが、あれと同じです。この20世紀の時代に、亡命してきた人間がいるかどうか、車両の下を必ず鏡で点検していました。

 話を戻すと、そんな状況の彼らが別れのホームで「ジョン!」と言ったら、それは「また来年!」という意味を持ちます。1年ぶりの出会いの場面で、「ジョン」と言ったら、「すごくうれしい。久しぶり!」となります。

 それぞれの場面で発せられた「ジョン!」には、たくさんの複雑な意味が込められています。その複雑さは単純に言葉で表せるようなものではありません。「ジョン!」には、両者の歴史が込められているのです。

 しかし、この言葉が、アメリカに住むカップルのトイレの個室から聞こえてきたらどうでしょうか?「ジョン!」が、例えば「紙をくれ!」に変化するのです。

 意味は状況の中にあるのです。文章や単語の中にはないのです。

 発話がされて、その限定された状況下で初めて意味が決まる。言葉そのものに意味はありません。言葉は、その発話の中の情報の一部です。発話によって初めて意味が決まります。それは、まさに釈迦は何も主張していないということにつながります。

 釈迦の悟りに到達していない人が、釈迦の言葉を聞いたとしても、何も聞いていないのと同じことです。逆にいえば、釈迦の主張を知るためには、釈迦のように悟る必要があるのです。

 状況すべて知ることができて、初めてその言葉の意味がわかる。「釈迦は何も言っていない」というツォンカパの主張を額面どおりに受け取るだけでは足りません。釈迦の主張を知るためには、あなたも釈迦でなければ無理だということまで知る必要があります。

 これは、釈迦に限った話ではありません。

 たとえば2人の人が話しているとしましょう。この論に沿っていえば、相手の主張を知るためには、その相手の記憶や過去の体験すべてを知らなければ理解することはできないということです。

 言葉を遣ったら、相手の内部表現書き換えなんてできません。言葉そのものは非常に力のない道具だからです。言葉は何も主張しないのですから。

 これでわかっていただけたでしょうか?

 言葉を遣わず、相手の状況そのものに介入したほうが、内部表現を書き換えるためにははるかに手っ取り早いし、やりやすいのです。

 だから、私は言葉を遣った書き換えを勧めていません。言葉を遣った内部表現の書き換えは、本質的には役に立たないと考えています。

 本当の内部表現書き換えには言葉を遣いません。主張は、言葉ではできないのです。

 いくらお互いにホメオスタシスの同調が起こっても、それぞれの人生は違います。無理なのです。

 引用終わり

 

 

 問題です。

 博士は「この論に沿っていえば、相手の主張を知るためには、その相手の記憶や過去の体験すべてを知らなければ理解することはできないということです」と書かれています。

しかし、実際にはすべてを知らなくても、つまり知識が足りなくても、私たちは認識することができます。スコトーマを外して。

なぜでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 さらに、認識だけではなく、理解し評価し判断することができます。

なぜでしょうか?

 

 

 そう、答えは「ゲシュタルト能力があるから」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 ゲシュタルトとは「全体性をもったまとまりある構造」のこと。全体と部分の双方向性で成り立つ“統合的意味をもつまとまり”です。つまり“縁起のかたまり”。

 

 その縁起やゲシュタルトといった概念を念頭に、再度「状況は意味により変わり、意味はゴールが生みだす」や「意味は状況の中にあるのです。文章や単語の中にはないのです」といった“言葉”がさし示すものをゆっくりイメージしてください。

混乱は自然に治まっていくと思います。

 

 その治まっていく感覚は、「connect the dots」の体感です。ぜひアンカー化してください。「内部表現書き換え」がますますうまくなりますよ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20477470.html

 

 御質問ありがとうございました。

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 引用した博士の“言葉”の次のステップが、DVD教材「マインド・プロファイリング」(フォレスト出版)内で語られています。守秘義務に相当する重要な知識。必見です↓

 マインド・プロファイリング (forestpub.co.jp)

 

 

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