L-029:2020年3月シークレットレクチャー -07;75歳以上では延命治療は不要?<ケースサイド>後編
2020年3月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う3回の講義の2回目。メインテーマは「スピリチュアルペイン」で、初回(同1月実施)のサブテーマは「自由」でした↓
L-001~:2020年1月シークレットレクチャー
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_407080.html
初回講義のラスト(L-013)に、「部分関数としての『自』を拡大し続けること」が「シンのスピリチュアルペイン克服、シンの自由である」と書きました。
L-013:2020年1月… -13<最終回>;シンのスピリチュアルペイン克服、シンの自由
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24890312.html
自由に続くサブテーマは「貢献」。当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。
01;スピリチュアルペインを解決するのは自由意思でのゴール設定<前編>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25974037.html
02;スピリチュアルペインを解決するのは自由意思でのゴール設定<後編>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26014834.html
03;職業と趣味の違いは「貢献」の範囲(ワーク付き)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26037409.html
04;老いの実感
~乗り物酔いリターンズ~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26077153.html
05;75歳以上では延命治療は不要?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26099140.html
06;75歳以上では延命治療は不要?<ケースサイド>前編
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26140730.html
07;75歳以上では延命治療は不要?<ケースサイド>後編
仕事とは「付加価値を生みだすこと」「役に立つこと」。もっとシンプルに表現すると「貢献」。決して「お金を稼ぐこと」「お金儲け」そのものではありません。
そのようなことを話すと、時々こんな質問をいただきます。特に医療・介護現場において。
介護が必要な老人や障がい者、あるいは寝たきり患者さんは生きる価値はないのでしょうか?
皆さんはどう思われますか?
…前々回(L-027)、ペンシルベニア大学 医療倫理・保健政策学部長のエゼキエル・エマニュエル博士(Ezekiel Emanuel、1957年~)の「75歳以上では延命治療は不要である」という主張(claim)とその根拠(warrant)や事実(data)を紹介しました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html
コーチとして考察すると、エマニュエル博士の主張には少なくとも6つの解決するべき課題があります。コーチングと関連して分類すると、1)モチベーション、2)バランホイール、3)時間の流れ、4)不完全性、5)縁起、そして6)空仮中 です。
まずは課題についてシンプルに分析し(ケースサイド)、その後6つの課題を包摂した視点での解決策を提示します(プランサイド)。
(今回はケースサイドの後半です)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html
4) 不完全性
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html
エマニュエル博士は「ハイキングやツーリングは価値のあることではあるが、もしもそれらが人生のメインテーマなら、おそらく意味のある人生ではない」と語っています。
「意味のある人生」とは一体何でしょうか? 「意味」は誰が、何が決めるのでしょうか?
…もちろん、「意味」を決めるのは自分自身。そして、「意味」はゴールが決めます。自分自身の自由意思で決めた本当のゴールです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
「『意味』はゴールが決める」ということは、ゴールの数だけ「意味」があるということ。
たとえ仕事や家庭という観点では意味がないことであっても、趣味として立派な意味があるということはあり得ます。ある人にとっては無意味でも、別の人にとってかけがえのない意味をもつことも。
状況は意味により変わり、意味はゴールが生みだす
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25046274.html
…だからすべてゴール次第。唯一絶対の基準やモノサシなどありません。
5) 縁起
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
絶対的な基準やモノサシを信じる人に欠けているのは、「関係により存在が生まれる」という縁起の視点です。
「縁により起こる」という事実は、“自分”を定義してみるとよくわかります。
では、ここでプチワークw
今から1分間で自分自身を定義してみてください。どうぞ!
(初めて会う人に自己紹介するように“自分”を表現してください)
…きっと「仕事は…」「年齢は…」「出身は…」「趣味は…」「夢は…」というような説明になったはず。しかし、それは厳密には自分自身のことではありません。
私でいえば「コーチ」「アラフィフ」「鹿児島」「映画・音楽」「“無敵”」といった感じですが、さらに「コーチとは…」「50代になると…」「鹿児島といえば…」「映画の中でも…」「“無敵”というのは…」と詳しく語るほど、ますます“私”から遠ざかっていきます。
(“無敵”はこちら↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5446097.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5448151.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615695.html
結局、“自分”は関係性でしか定義できないのです。それを「自我は部分関数である」と表現します(同時に「評価関数」でもあります↓)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
“自分”を定義する関係性が認識できないことが「孤独」です。
孤独は健康に悪影響を及ぼします。例えば米国ブリガムヤング大学(ホルトランスタッド教授)の30万人以上のデータを対象にした研究によって、「社会的つながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」ことが明らかにされています。
ちなみに、その“つながり”を強化しながら、他者尊重とともに自己評価を高めることができるのが「Guided Autobiography(案内型自伝)」です(詳しくはこちらで↓)。
F-137:The Sweet Hello,… -9;SadをSweetに書き換えるコーチング<老人向け 後編>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22488873.html
ところで、なぜ「欠けているのは縁起の視点!」と断言できるのでしょうか?
…私の答えは次回(L-030)に。その解決(プランサイド)とともに明らかにします。
6) 空仮中
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
縁起が欠けている当然の帰結として、空観(くうがん)ではなくなっています。空観なき仮観(けかん)のことを、苫米地博士は実観(じつがん)と表現されます。それはとても危険な状態です↓
PMⅠ-06-21:仮説14)空(くう)なき実観の行き着く先にあるもの
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14833876.html
簡潔に2点挙げます。
「私はアメリカの不滅崇拝願望を拒否する」は、「不滅」を前提とした上での拒否であるはずです。意図は理解しますが、空観ではありません。
有名な般若心経に「不生不滅不垢不浄不増不減」という一節があります。「六不の教え」と呼ばれています。「不生不滅」とは、「生じることもなく、滅することもない」という意味です。苫米地博士はよく釈迦の説法を引用して説明されます。
釈迦:(若木を指して)この木は生じたのか?
-弟子:いえ、別の木の種が地面に落ちて生えたものなので、何もないところから生じた訳ではありません
釈迦:では、種は生じたのか?
-弟子:いえ、種も木からできたもので、何もないところから生じたわけではありません
釈迦:(次に枯れ木を指して)この木は滅したのか?
-弟子:いえ、滅していません。その命は種となって若木を生み、自らは朽ちて土となり、他の植物を育てています
釈迦:そのとおりだ。すべてが生じることもなく、滅することもないのだ
…枯れ木とはいえ、存在が消えてなくなったわけではありません。ただ形が変わっただけ
…それが空観です。「『不生不滅』を受け入れる」ことと「『不滅(崇拝願望)』を拒否する」ことはまったく意味が違います。
もう1つはこちら。「大人、とくに高齢者に投資するほどには、子どもに投資していない」。抽象度を下げてさらに細かい指摘を行うと、このコメントには3つの課題(問題点)があります。すべて「縁起が欠けている結果、実観になっている」ことが原因です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
まずは「お金の視点が強力」ということ。「投資(investment)」という言葉には「見返りへの期待」が感じられます。もちろん見返りとはお金。政治家にとっては何よりも票が大切なのでしょうが、そこをクリアできたなら次はお金にいきます。例えば、見返り(税収)が望めない高齢者の医療を切り捨てるというように↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13214313.html
次に「大人VS子どもという構図」。このゼロサム的発想は縁起の無理解の典型例といえます↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14401412.html
最後は「区別と差別の違いが不明瞭?」。空であるがゆえに差別はありえませんが、仮としての区別ははっきりつけるべきです。その違いをしっかり理解し実践していることが重要。それが中観の生き方です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html
(L-030につづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
有名な般若心経に「不生不滅不垢不浄不増不減」という一節があります
…苫米地博士の著書に「一生幸福になる 超訳 般若心経」(学研)という本があります。般若心経の問題点が明らかにされ(ケースサイド)、なんと添削が行われています(プランサイド)。
「般若心経は間違っている」なんて思いもしなかった私は、読書中に猛烈な衝撃を体感しました。それは文字どおり「世界がひっくり返った感じ」。いわゆる「Rゆらぎ」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23645730.html
と同時に、「観測者(認識主体)の知識、知能が上がれば上がるほど観測(認識)される宇宙は『たいしたことがある』ものになるという可能性」に震えました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/17207221.html
その「可能性」が次回(L-030)のテーマ。まずはこちらの記事をどうぞ↓
F-034~:「何もないところからレンブラントを発見」は正しい?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268332.html
-関連記事-
F-129~:The Sweet
Hello, The Sweet Goodbye
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_396235.html
F-176~:“幸福(well-being)”とは?
~「anti→with→well」partⅡ~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html
Q-177~:家族ががんで治療中です。どうすればいいでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408953.html
Q-073~:180804医療講演会レポート
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_318161.html
-告知-
今年度(2021-22年)は計8回のオンラインセミナーを予定しています。1年間を通してのテーマは「Well-being」です。
F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~「anti→with→well」partⅡ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html
2021年度セミナー予定はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25412318.html
第3回目は2021年6月27日(日)開催。テーマは「サイバーホメオスタシス仮説」「エネルギーと創造性の源」です。詳細はこちらから↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26053730.html
超情報場でお会いしましょう!
<お問い合わせ・申し込み>
coachfor.m2@gmail.com
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