L-027:2020年3月シークレットレクチャー -05;75歳以上では延命治療は不要?
2020年3月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う3回の講義の2回目。メインテーマは「スピリチュアルペイン」で、初回(同1月実施)のサブテーマは「自由」でした↓
L-001~:2020年1月シークレットレクチャー
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_407080.html
初回講義のラスト(L-013)に、「部分関数としての『自』を拡大し続けること」が「シンのスピリチュアルペイン克服、シンの自由である」と書きました。
L-013:2020年1月… -13<最終回>;シンのスピリチュアルペイン克服、シンの自由
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24890312.html
自由に続くサブテーマは「貢献」。当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。
01;スピリチュアルペインを解決するのは自由意思でのゴール設定<前編>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25974037.html
02;スピリチュアルペインを解決するのは自由意思でのゴール設定<後編>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26014834.html
03;職業と趣味の違いは「貢献」の範囲(ワーク付き)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26037409.html
04;老いの実感
~乗り物酔いリターンズ~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26077153.html
05;75歳以上では延命治療は不要?
残念ですが、人は徐々に老い、多くは病を患い、いつか必ず死を迎えます。
老病死(+生で四苦)の過程でかつてのような“貢献”ができなくなったとき、私たちはどのように考えるべきなのでしょうか?
スピリチュアルペインは避けられないのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24706915.html
…2014年、米国の「アトランティック(Atlantic)」誌に、「なぜ私は75歳で死ぬことを望むのか? Why I Hope to Die at 75」というエッセイが掲載されました。その中では「75歳以上の人には延命治療は不要」という大胆な主張(claim)がなされていました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html
その著者はペンシルベニア大学 医療倫理・保健政策学部長のエゼキエル・エマニュエル博士(Ezekiel Emanuel、1957年~)。俗に「オバマケア」と呼ばれるオバマ政権下での医療保険制度改革を主導した重鎮の主張は、国内外で大論争を巻き起こしました。
(2021年、エマニュエル博士は、ジョー・バイデン大統領からCOVID-19諮問委員会のメンバーに指名されています)
その内容は…
□ 私が75歳になったら医学的介入は拒否する
□ 75歳で人生を終えるつもりはないが、寿命を延ばすつもりもない
□ 高齢者はよぼよぼの状態で長く生き過ぎている
□ 75歳以上では延命治療は不要である
□ 私たちの消費は、私たちの貢献に値するだろうか?
…というもの。
それから5年後、「『75歳以上の延命は不要』
波紋を呼んだ医療倫理学者がいま語る発言の真意」というインタビュー記事が再び掲載され、論争が再燃しました。
その中でエマニュエル博士はあらためて自身の意見を述べています(青で表記します)。
私は75歳で死ぬつもりも、自殺するつもりもない。安楽死を求めてもいない。「寿命の延長」…ただそれだけのために薬物治療や医療介入を受けるという行為をやめるだけだ
その主張を生みだす事実(data)および根拠(warrant)はこちら。
最も重要な問題は認知機能の生物学的衰退である。本当に賢い人々をみていても、75歳を過ぎてから新しい書籍を執筆したり、自身が思想家としてトップを走れるような新たな分野を開拓している人は多くない
私はアメリカの不滅崇拝願望を拒否する。人生を引き延ばすための執着は見当違いで、潜在的に破壊的であるとさえ思う
70歳、80歳、90歳まで元気な人々がしていることを見ていると、そのほとんどが遊びの範囲であり、意味ある仕事ではない。ハイキングやツーリングは価値のあることではあるが、もしもそれらが人生のメインテーマなら、おそらく意味のある人生ではない
多くの政治家が「私たちの持つ最も貴重な富は子どもである」と発言しているにもかかわらず、政府はその言葉に沿った行動をとってはいない。大人、とくに高齢者に投資するほどには、子どもに投資していない。例えば、連邦予算は、18歳未満の人に1ドル使われる時、65歳以上の人には7ドル使われている
…皆さんはどのように考えますか?
もしも家族が老衰の状態になってしまったとき、「寿命の延長」のための医療行為を望みますか? それとも拒みますか?
自分自身のことならどうでしょうか?
…ここ日本においても、生命寿命(平均寿命)と健康寿命にギャップが生じています。
令和2年度版厚生労働白書によると、日本人の平均寿命/健康寿命は、男性:80.98/72.14歳、女性:87.14/74.79歳 です(下図)。
つまり、心身の健康が損なわれてから死を迎えるまで、男性で8.84年、女性は12.35年もあるということ。その間は何らかのサポートが必要になります。
(WHOの健康の定義はこちら↓)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859675.html
厚生労働省HP>…>令和2年版 厚生労働白書>…>図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移より引用
図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
ところで、エマニュエル博士の発言にもある「仕事」とはなんでしょうか?
…答えは「付加価値を生みだすこと」「役に立つこと」です。もっとシンプルに表現すると「貢献」。決して「お金を稼ぐこと」「お金儲け」そのものではありません。
仕事や職業としてのゴールとファイナンス(お金)のゴールをしっかり切り分けておくことはとても重要!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
なぜなら、その切り分けと再統合は「人生全体を豊か(well-being)にする秘訣」だから↓
Q-071:認知的不協和の状態にあり… Vol.8;「リラックスできる呼吸の無意識化」のコツとその先にあるもの
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14830941.html
…そのようなことを話すと、時々こんな質問をいただきます。特に医療・介護現場において。
介護が必要な老人や障がい者、あるいは寝たきり患者さんは生きる価値はないのでしょうか?
…皆さんはどう思われますか?
(L-028につづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
そのようなことを話すと、時々こんな質問をいただきます。特に医療・介護現場において
…医療・介護現場でよりシリアスな質問をいただくことが多いのは、老病死(+生で四苦)の臨場感が高く、スコトーマが外れやすいからでしょう。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045953.html
スコトーマが外れて露わになるのはスピリチュアルペインです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8293317.html
スピリチュアルペインが露わになることは危機(クライシス)といえますが、一方でチャンスでもあります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_395184.html
ヴィーゼルのいう「生と死の間(にあるもの)」としっかり向き合うチャンスです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24767587.html
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-告知-
今年度(2021-22年)は計8回のオンラインセミナーを予定しています。1年間を通してのテーマは「Well-being」です。
F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~「anti→with→well」partⅡ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html
2021年度セミナー予定はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25412318.html
第3回目は2021年6月27日(日)開催。テーマは「サイバーホメオスタシス仮説」「エネルギーと創造性の源」です。詳細はこちらから↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26053730.html
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