L-02120202月リスクマネジメント研修会(医療法人、鹿児島県)レポート -08;「もっと知りたいことQA

 

 20202月、鹿児島県の医療法人でリスクマネジメント研修を行いました。タイトルは「医療・介護現場でのレジリエンス ~問題(課題)を解決し、さらにタフになるための科学的方法~」です。

 内容について御紹介し、いただいた御質問や御意見に対して回答いたします。

 (関係者の皆さま方、お待たせいたしました)

 

 01;イントロダクション

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25664104.html

 02;レジリエンス -前編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25697811.html

 03;レジリエンス -後編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25743784.html

 04;「印象に残ったもの」QA<前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25761596.html

 05;「印象に残ったもの」QA<後編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25785125.html

 06;「疑問や難しかったこと」QA<前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25824883.html

 07;「疑問や難しかったこと」QA<後編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25847225.html

 08;「もっと知りたいことQA

 

認知科学者 苫米地英人博士は、レジリエンスを「有事の際に迅速にリカバーし、元より強固になることができる性向」と定義されています。「ゼロトラスト」という大前提の下、4つのフェーズごとにやるべきことを想定し、それぞれ具体的な行動に落とし込んでいきます。

   Normal Operations:平常状態の継続的なモニタリング

   ShockCascading:最低ラインの確保(平常状態を有事に確保するのは現実的ではないという認識)

   Recovery Phase:できるだけ迅速にリカバーできる準平常ラインの設定

   Restoration Phase:準平常ラインから元々の平常ラインよりさらに高いラインに回復する構造

 

レジリエンスカーブ(191104バラだん)

「バラいろダンディ」(東京MX2019114日放送回)より引用

 

 

研修後のアンケートにはたくさんのコメントをいただきました。ありがとうございます。今回の研修は、理解度:5.702.6~9.6)、満足度:6.621.5~10)という結果でした。

 御意見・御質問に回答いたします。今回は「もっと知りたいこと」です。

 

 

・レジリエンス

 

A:この研修は「レジリエンス」をテーマに行いました。そのレジリエンスについて「もっと知りたい」と思っていただいたことをとてもうれしく思います。

 その「知りたい」の先には、きっと何らかの思いがあるはず。

 しかしながら、たいていの場合、その「思い」は親などの他人や社会の価値観による刷り込みでできあがっています。私(というブリーフシステム)は本当の“私”ではないのです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

まずは「私はなぜレジリエンスのことをもっと知りたいのだろうか?」と自問してみましょう。次に「レジリエンスをマスターした私」をイメージしてください。どんなことを考えて、何を行っていますか?

 

「○○で、とても楽しい」「△△を行い、とても誇らしい」「うれしい」「気持ちいい」「すがすがしい」

 

 リラックスしながらそんな体感を楽しんでいると、何かがおぼろげながら浮かんできます。その“何か”は新たなゴールになるものかもしれません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 

・レジリエンスが具体的事例を用いての説明でわかりやすかった

 

A:「具体的事例がもっと知りたい」と理解しました。ありがとうございます。

 

 研修中に具体的事例を取り上げるのは「臨場感を高めるため」です。私が伝えたいイメージ(I)の臨場感が受講者の中で高まると(V)、とても「わかりやすく」なります。その時、じつは、“現実”が書き換わっています(R)。それがI×V=R …「夢をかなえる方程式」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 「情報が書き換わると現実が変わる」ことの“具体的事例”はこちらでどうぞw

 F-110~:情報が書き換わると現実が変わる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_386190.html

 

 

・他国のCDCのような決め事

 

ACDCCenters for Disease Control and Prevention、アメリカ疾病予防管理センター)はアメリカ合衆国連邦政府の機関です。健康に関する信頼できる情報の提供と健康の推進を目的に1946年に創設されました。

 ダスティン・ホフマン主演映画「アウトブレイク Outbreak」(1995年)や新型コロナ感染症による混乱を予言していたと話題になったマット・デイモン主演「コンテイジョン Contagion」(2011年)にも登場するCDCは、「世界標準」とみなされるほどの影響力を持っています。国内はもちろん他国に対しても。

 

その理由は「大量の文献やデータ(data)を元に文書が作成されていて、その勧告(claim)には必ず説得力のある根拠(warrant)が存在するから」だそう。これは論理の基本であり“あたりまえ”のことですが、日本の現状を思うとその“あたりまえ”が身に染みます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 

・ファイト・オア・フライト状態の人への対応法

 

AそのCDCが公表する「Psychology of a Crisis」中に、危機に陥った人の心理・行動が「ファイト・オア・フライト(闘争逃走反応)」と表現されていました。文字どおり「戦うか、逃げるか」という意識状態は、大脳辺縁系優位の動物的な(人間的ではない)状態です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

その対処の基本原則は下記の4つ。

1.      最初に最悪の可能性を伝え、それが改善していることを数字で伝える

2.      「必ず解決します」などの約束はNG。むしろ状況の不確定性を正確に伝え、その問題を解決するプロセスについてのみ伝える

3.      問題解決のプロセスが進んでいることや状況が改善していることを伝えるために、それを示すデータや数字を継続的に提供し続ける

4.      恐怖を認め、問題に関連する文脈情報を与える

 

 これらの基本原則が目的としているのは「前頭前野優位を維持する(すぐに回復する)」ことです。なぜなら、クライシス(危機)とは人のマインドで生じるものであり、その本質は「情報処理が前頭前野優位から大脳辺縁系優位になる」ことだから。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9815429.html

 

余談ですが、私の師である認知科学者 苫米地英人博士は、著書「イヤな気持ちを消す技術」(フォレスト出版)の中で、身に降りかかったイヤな体験や情動を無害化するための「情動を消し去る三つの方法」を記されています。それらも「前頭前野優位を維持する(すぐに回復する)」ための強力な技といえます。

 

 

・「できない」と思ってしまったときの対処

 

A博士が書かれている「情動を消し去る三つの方法」とは、1)高い抽象度で考える、2)イヤな出来事の記憶に「うれしい・楽しい・気持ちいい・すがすがしい・誇らしい」という情動感覚を結びつける、3)脳を自己発火させる です。

これらは「『できない』と思ってしまったときの対処」にもなります。簡単に解説します。

 

 1)高い抽象度で考える

 抽象度とは「情報空間における視点の高さ」のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 私たち人間にとっての「世界」や「宇宙」とは、じつは、すべて情報空間です。五感(視・聴・味・嗅・触覚)+言語の6つの情報入力経路から得られた情報を処理することで、「世界」「宇宙」を認識しているから。その情報空間の底面を特別に物理空間と呼びます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 「脳内を書き換える」ために、まずは「『高い抽象度で考える』ことを常に『意識に上げる』」ことをお勧めします。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

 2)イヤな出来事の記憶に「うれしい・楽しい・気持ちいい・すがすがしい・誇らしい」という情動感覚を結びつける

脳内を書き換えると「環境」が変わります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25046274.html

 

 その書き換えに「うれしい・楽しい・気持ちいい・すがすがしい・誇らしい」という情動記憶(emotional memory)がとても役に立ちます。下記記事でワークを紹介しています↓

 F-114:情報が書き換わると現実が変わる vol.5;「幸せなら手を叩こう♪」(ワーク付き)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20477749.html

 

 3)脳を自己発火させる

 ところで、2)の「書き換え」とは具体的にはどういうことでしょうか? 何から何へ書き換えるのでしょうか?

 

 答えは「過去の記憶でつくられた現状(このまま続く未来も含む)」から「ゴールを達成した未来の結果としての今」への書き換えです。

その書き換えの結果として、エネルギーと創造力が生まれます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

 「脳を自己発火させる」の発火とは、脳のある部分が活発に活動すること。活動というのは「脳の神経回路の活動電位がスパイク状に正の電位に変化すること」です。

 その“ある部分”とは

 

 

・「できない」と思っている人への声のかけ方

 

A:(その“ある部分”とは)「前頭前野眼窩内側部」。

 

 「『できないと』と思っている人」は大きく2つに分類できます。1)大脳辺縁系優位に陥り動けない人 と 2)論理的に「できない」と自己判断している人 です。

 

 1)の場合、「大脳辺縁系優位を前頭前野優位に戻す」ための働きかけを行います。私はそれ(大脳辺縁系→前頭前野優位)がヒーリングだと思っています↓

 Q-191:ヒーリングとコーチングの関係がよくわかりません

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25482691.html

 

 2)の場合、論理的な働きかけを心がけます。論理とはトゥールミンロジックのこと。前半で御紹介したCDCの影響力を生みだしているのは、このトゥールミンロジックです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11613757.html

 

 

 コーチングとは「論理を超えた空間にアクセスする技術」のことです。その「論理を超えた空間(へのアクセス)」のことを、苫米地博士は「感性(社会的情動)」と表現されます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19021726.html

 

高い抽象度次元に移動できようになり(ヒーリング)、その意識状態でゴールを設定すると(コーチング)、どんどん「イヤな出来事の記憶」が書き換わり(ヒーリング)、さらなるゴールを設定できるようになります(コーチング)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14400982.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14524490.html

 

そのプロセスで前頭前野眼窩内側部の発火がおこり、人はシンの幸福(well-being)を手に入れます。

F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html

 

 つまり、コーチングというのは、本人が自らの人生を強く達成しようとするときに、自己発火が起こり、自然に強烈な幸福感を感じるように導いてあげる技術のこと。

コーチングにより幸福(well-being)が生じます。その幸福がひろがり伝わるからこそ、自由でフェアな未来が、そして世界平和が実現します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/16660261.html

 

L-022につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

―追記1

リラックスしながらそんな体感を楽しんでいると、何かがおぼろげながら浮かんできます。その“何か”は新たなゴールになるものかもしれません

 

 最近(2021423日)、「30年度までに温室効果ガスを46%削減する」という主張(claim)の根拠(warrant)を問われた小泉進次郎環境大臣の発言が炎上しました。その発言とは「くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が。シルエットが浮かんできたんです」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

今後のブログ記事(F-189~)で考察します。

(こちらもどうぞ↓)

F-11630年後の自分は何歳なのか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20682390.html

 

 

―追記2

大量の文献やデータ(data)を元に文書が作成されていて、その勧告(claim)には必ず説得力のある根拠(warrant)が存在するから

 

 これは、政治家はもちろん、すべての“リーダー”に求められる素養といえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21664503.html

 

 

-関連記事-

Q-042:「明確にリアルに目標がイメージできた時点でほぼゴールに近づいた」とは具体的にどういうことでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_262962.html

F-094~:私はイヤなことは心の中で握りつぶす

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_375251.html

F-140~:不要不急

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_400247.html

F-146~:トリアージ(triage)をコーチの視点で考える

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_401494.html

 

 

-告知-

 今年度(2021-22年)は計8回のオンラインセミナーを予定しています。1年間を通してのテーマは「Well-being」です。

 F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html

 

2021年度セミナー予定はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25412318.html

 

 第2回目は2021523日(日)開催。テーマは「情報宇宙の構造」「トータルペイン」「自由」「時間の流れ」です。詳細はこちらから↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25720321.html

 

 超情報場でお会いしましょう!

 

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 coachfor.m2@gmail.com

 

 

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