F-188:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」との縁で気づいたこと -05;“心の災害”にはレジリエンスで! レジリエンスにはコーチングを !! <後編>

 

 今まで私は「感染症」は物理空間、すなわち「身体的苦痛」がメインであり、その対処は主として物理空間で行われるべきと考えていました。例えば「どの抗菌薬を、どのくらい使うか」といった具体的な対処を重視するというように。

 ところが、昨今の「新型コロナ感染症(COVID-19)」にまつわる状況を考察するうちに、今までとは違う考えに至りました。スコトーマが外れたのです。

 3つの視点でまとめます(今回は3つ目の後編)。ぜひ「抽象度」や「超情報場仮説(理論)」等を意識に上げながら読み進め、これまでのゲシュタルトをconnectしてください。

新たな気づき(発見)のきっかけになれることを願っています。

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 01;抽象度&超情報場理論

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 02;コロナ虚弱(フレイル)

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 033つの“感染症”

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 04;“心の災害”にはレジリエンスで! レジリエンスにはコーチングを !! <前編>

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 05;“心の災害”にはレジリエンスで! レジリエンスにはコーチングを !! <後編>

 

 前回(F-187)、「災害後のこころの動き」を紹介しました。

 ①茫然自失期:災害発生直後の大きな混乱や不安が生じる時期

 ②ハネムーン期:団結して危機に立ち向かっていこうという機運が高まる時期

 ③幻滅期:災害の影響が長引き、思うように元に戻らないことで、社会全体に抑うつや無気力が生じる時期

 ④再建期:復旧が進んで、新しい生活を始めようという意欲が生まれる時期

 

時間の経過と被災者のこころの動き

災害時の「こころのケア」の手引き

東京都保険福祉保健局HP(平成205月)より引用

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tamasou/sonota_jouhou/saigaitaisaku.files/saigai.pdf

 

 

 この「災害後のこころの動き」を「レジリエンス(resilience)」に重ねて考えてみましょう。

 

レジリエンスは「自発的治癒力」のこと。「脆弱性(vulnerability)」の反対概念であり、「精神的回復力」「抵抗力」「耐久力」とも訳されています。

 認知科学者 苫米地英人博士は「有事の際に迅速にリカバーし、元より強固になることができる性向」といった意味で使われています。

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 その大前提は「完全に守ることは不可能という認識」を示す「ゼロトラスト」。その上で、4つのフェーズごとにやるべきこと(エンドステート)を考えます(下図)。

 

レジリエンスカーブ(191104バラだん)

「バラいろダンディ」(東京MX2019114日放送回)より引用

 

   Normal Operations : 継続的なモニタリング

   ShockCascading : 最低ラインの確保

   Recovery Phase : 準平常ラインの設定

   Restoration Phase : 元々の平常ラインよりさらに高いラインに回復する構造

 

 以下、レジリエンスの4つのフェーズごとに考察します。

 

 Normal Operations : 継続的なモニタリング

 災害が発生する前から継続的にモニタリングしていることが重要です。モニタリングするのは「こころの動き」。「本当にwant toか?」「have toが入りこんでいないか?」「まわりのwant tohave toに変えていないか?」等セルフチェックすることをお勧めします。

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 「本当にwant toか?」を確認することは自我を定義することであり、決して簡単ではありません。

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いつの間にか「have toが入り込む」原因として、私は不安・恐怖(Fear)・義務感(Obligation)・罪悪感(Guilty)に気を付けています。「want to」だとしても、常にこれらの要因(FOG)が心に忍び込んでいないかを確認(モニタリング)してください。

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100%want toの状態でいられ、しっかりモニタリングができていても、まだまだ注意(配慮)は必要です。その熱意ゆえに「まわりのwant tohave toに変えてしまう」かもしれないから。これは私自身の苦い経験から学んだ教訓です。

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② ShockCascading : 最低ラインの確保

 災害発生直後の「茫然自失期」に相当します。混乱や不安を防ぐこと(すぐに回復すること)、すなわち「ファイト・オア・フライト」を防ぐこと(すぐに回復すること)が「最低ラインの確保」の第1歩になります。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

災害時には「拒絶→不安・恐怖→回避→希望の消失→パニック」と進行していきます。こうした事態に対処するために米CDCが公表した基本原則が下記の4つです。

1.      最初に最悪の可能性を伝え、それが改善していることを数字で伝える

2.      「必ず解決します」などの約束はNG。むしろ状況の不確定性を正確に伝え、その問題を解決するプロセスについてのみ伝える

3.      問題解決のプロセスが進んでいることや状況が改善していることを伝えるために、それを示すデータや数字を継続的に提供し続ける

4.      恐怖を認め、問題に関連する文脈情報を与える

 

 これらの基本原則が目的としているのは「前頭前野優位を維持する(すぐに回復する)こと」。なぜならクライシス(危機)とは人のマインドで生じるものであり、その本質は「情報処理が前頭前野優位から大脳辺縁系優位になること」だからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9815429.html

 

 (詳しい説明はこちらで↓)

 F-126:続・クライシスの本質 ~首相による「一斉休校要請」と社会の反応を読み解く~<前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21664055.html

 

  Recovery Phase : 準平常ラインの設定

 災害発生からしばらく経過した「ハネムーン期」に相当します。この時期に目標となる「準平常ライン」とは、「かつてのコンフォートゾーンの下限」に該当するはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 コンフォートゾーンから外れると認知的不協和が働きます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

その時に生じる猛烈なエネルギーと創造力がリカバーを実現します。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

 そのリカバー力(回復力)の正体は「ホメオスタシス(フィードバック)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 みんながコンフォートゾーンから下向きに外れていることを自覚している場合、自然とうまくことが運びます。ゴールを共有しているから。その場合のゴールとは「現状復帰」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールのイメージを共有した上で(「災害前の状態への回復」)、そのゴール実現を心から望み(「元に戻りたい!」)、確信すること(「元に戻れる !!」)はコレクティブエフィカシーといえます。お互いに支えあいながら、ゴールに向かって高めあっている それが「ハネムーン」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 ところが、「準平常ライン」に到達すると、みんなを結び付けていた力が失われます。コンフォートゾーン(の下限)に到達したことで暫定的なゴールを失うから。

すると、そのコンフォートゾーン(=かつての現状)に留まる人達とコンフォートゾーンをさらに超えようとする人々との間に隔たりが生じます。変わらないコンフォートゾーンが生みだす「現状維持の壁」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

 ゴールを(とりあえず)達成しエネルギーを失った人達が多くなることが「幻滅期」のはじまり。では、「幻滅期」を防ぐ(すぐにリカバーする)ためにはどうすればいいでしょうか?

 

  Restoration Phase : 元々の平常ラインよりさらに高いラインに回復する構造

 そうです。新たなゴールを設定し、それを皆で共有するのです。「元々の平常ラインよりさらに高いライン」とは、さらなる“現状の外”のこと。新たなゴールをみんなで共有するから、「幻滅期」を防いで(すぐにリカバーして)、「再建期」に向かうことができます。

 

 再建期の「新しい生活を始めようという意欲」は希望から生まれます。コロナ禍の今、希望こそが人々の心に最も必要! ...と私は思っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045695.html

 

 希望はレジリエンスにより夢に育ち、夢はゴール設定することでいつしか“現実”に変わっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23743308.html

 

そのための知識とスキルが凝縮されているのがコーチングです。だから

 

“心の災害”にはレジリエンスで! レジリエンスにはコーチングを !!

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

―追記1

そうです。新たなゴールを設定し、それを皆で共有するのです。「元々の平常ラインよりさらに高いライン」とは、さらなる“現状の外”のこと。新たなゴールをみんなで共有するから、「幻滅期」を防いで(すぐにリカバーして)、「再建期」に向かうことができます

 

 新たなゴールを高い抽象度次元に見いだし、仲間と共有した上で(ホメオスタシス同調)、責任を持ってやり遂げることができるのがシンのリーダー!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 希望と願いをこめて書きました↓

 F-127:続・クライシスの本質 ~首相による「一斉休校要請」と社会の反応を読み解く~<後編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21664503.html

 

 

-追記2

 レジリエンスに関する研修を医療法人(鹿児島県)で行いました。下記ブログ記事にサマリーとQAをまとめています↓

 L-014~20202月リスクマネジメント研修会(医療法人、鹿児島県)レポート

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_410646.html

 

 

-関連記事-

Q-138:問題が生じたゴールへの向き合い方 -03

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PM-06-17:仮説12)リーダー、マネジメント、コーチの役割と抽象度の関係

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526054.html

F-104:「映写機の故障により上映できるかわかりません」Vol.4;リーダーの視点で

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19485793.html

 

 

-告知-

 今年度(2021-22年)は計8回のオンラインセミナーを予定しています。1年間を通してのテーマは「Well-being」です。

 F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html

 

2021年度セミナー予定はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25412318.html

 

 第2回目は2021523日(日)開催。テーマは「情報宇宙の構造」「トータルペイン」「自由」「時間の流れ」です。詳細はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25720321.html

 

 超情報場でお会いしましょう!

 

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