F-183:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart-8(最終回);心の平和の和が世界の平和 = “幸福(well-being)”

 

「生命は老いるようにはできていない」「老いは治療できる病である」「もはや老いを恐れることはない」と主張(claim)する衝撃的な本を読んだ後、医師&コーチとして考えたことをまとめました↓

F-163~:アンチ(anti)からウィズ(with)、そしてウェル(well)へ

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 そのシリーズの終わりに下記ワークに取り組んでいただきました。

 

<ワーク>

    人生の終わりに待つ「死」まで見据えた上で、あらためて“幸福(well-being)”を考えるとどのようなことがいえるでしょうか?

    未来から過去へと向かう時間の流れを考慮すると、「『死』がはじまり」といえます。そのはじまりにある“幸福(well-being)”とはどんなものなのでしょうか?

    人生の終着点(始発点)である「死」をどのように迎えれば(始めれば)よいのでしょうか?

    anti-agingwith-agingの先には何があるのでしょうか?

 

 私は平和に至るマインドの変化が「antiwithwell」であり、そのプロセスそのものが“幸福(well-being)”だと思っています。その“幸福(well-being)”が今回のテーマ。

自分にとっての“幸福(well-being)”を考え抜くことは、「自己の存在と意味」を明らかにし、スピリチュアルペインを克服するきっかけになるはずです。

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1;ゴールが幸福を定義する

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 2;幸福はさらに深い自己催眠

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 3;物理的な現実よりも脳による意味づけに臨場感を覚えている状態

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 4;洗脳によって生まれる幸福

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 5;個のwell-beingから社会全体にひろがるwell-being

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 6;「常識」という洗脳からの解放

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 7;「中観」によって幸福とうまく付き合う

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 8心の平和の和が世界の平和 = “幸福(well-being)”

 

 ところで、認知科学者 苫米地英人博士は「幸福」をどのように考えていらっしゃるのでしょうか?

 前回まで、博士の著書「『感情』の解剖図鑑」(誠文堂新光社)より7回に分けて引用し、博士の「幸福という感情の定義」と「その付き合い方」を御紹介しました。

 

 苫米地博士の言葉を引用すると、「幸福というのは実態のない、はかなくむなしいものである」と考えるのが空観であり、「とにかく積極的に幸福を追い求めよう」と考えるのが仮観。そして、「はかなくむなしいものであることをしっかり認識したうえで、それでも幸福を求めよう」と考えるのが中観です。

 では、はかなくむなしいものであることを認識したうえで求める幸福(well-being)というのはどういうものでしょうか? その先には何があるのでしょうか?

 幸福(well-being)のために、私たちは何を行うべきでしょうか?

 

 

 私は今も医療・介護の現場で働いています。医師として、そしてコーチとしても。

とくに高齢者との関りが多い現場では、喜びもありますが、たくさんの悲しみを経験します。老病死を覆い隠すスコトーマが外れやすくなっているから。じつは最近も“旅立ち”を見守りました。

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 (以下、プライバシーに配慮し一部変更しています)

旅立ったのは80代の女性。御家族(お子さん方)は60歳前後でした。

その患者さんは病というより老衰が目立つ状態でした。しかし、「家に帰りたい」という思いが強く、リハビリにはとても積極的でした。きっとwant toの力なのでしょう、入院当初の予想を大きく上回る回復をみせていました。

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診察の度に、私は、「『家に帰りたい』の先にあるゴールは何だろうか?」と思いめぐらしました。患者さんは多くを語りませんでしたが、何かがあるのは間違いありませんでした。

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 御家族はそんな母親の頑張りや回復ぶりを実感することはできませんでした。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、厳しい面会制限が行われていたからです。

 医療スタッフからの電話で母親のADLActivities of Daily Living、日常生活動作)が改善していることを聞いても、うれしさ半分、戸惑い半分だったようです。

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「夢をかなえる方程式 I×V=R」で例えるなら、「家に帰る」というイメージ(I)の臨場感が高まるほど(V)、そのイメージは現実化していきます(R)。予想以上にADLが改善したのは現実化(R)の一部とみることができます。

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 しかしながら、情報空間の底面(物理空間)には物理法則が働いているため、その強力な秩序に抗う現実化はできません。実際、その患者さんも検査上は確実に老衰が進行していました。この数年の変化(老衰)を実感している御家族が「回復している」という言葉に戸惑いを見せたことは十分に理解できます。

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 そんなある日、患者さんの状態が急変してしまいました。

 覚悟していたとはいえ、やはり、御家族(の無意識)にとっては青天の霹靂(へきれき)だったのでしょう、子どもの一人はかなり取り乱しました。「ファイト・オア・フライト」の状態です。

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 私はかつてのCDCガイドラインを意識しながら、1)これから起こる最悪の可能性(死)を伝え、2)「ムリな延命は行わず、苦痛の軽減を最優先する」というエンドステートを再確認し、3)状況の変化や見込みを伝えながら、4)「免疫力とは?」「心不全とは?」「延命治療とは?」「死とは?」などの文脈情報について説明しました。

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 優しい励まし合いで家族全員が母親の「死という最終ゴール」を共有できた頃(コレクティブエフィカシー)、まるで安心したかのようにその母親は旅立ちました。

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 経過中、私は、御家族のマインドが「antiwithwell」と変化していくのを感じました。そして、母から子どもたちへ“幸福(well-being)”が手渡された気がしました。

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 その最初のステップ(antiwith)が「“自分”をしっかりみる」こと。止観です。

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 “自分”とは、物理的実体ではなく、関係性のことです。すべては他の何かとの関係性で成り立っています。その「関係が存在を生みだす」という見方が「縁起」。釈迦哲学の根幹をなす教えです。

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たどると宇宙中にひろがっていく“自分”を、文字どおり「」と「他」にけるのが部分関数としての自我。そして、何らかの基準で並べ替えるのが評価関数としての自我です。

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 前回(F-182)引用した「空仮中」の理を用いると、部分関数としての“自分”が「空(くう)」、評価関数としての“自分”が「仮」であると考えることができます。そして、その2つを同時にみることが「中」です。

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 つまり、「“自分”をしっかりみる」とは、「中観の実践」。シンプルに表現すると「『“自分”とは何か?』を再定義し、行動する」ということです。

 その「『“自分”とは何か?』を再定義する」ことがゴール設定。ゴール設定が、“現状の外”へのゴール設定だけが、「『“自分”とは何か?』を再定義する」ことを可能にします。

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 私たち人間は過去の記憶でつくられたブリーフで目の前の世界を認識しているのですから、本気のゴール設定なしではシンの“自分”を生きることはできません。ゴールなしではいつまでも「無人運転」「自動運転」のまま。

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 そんな“自分(自我)”にもっとも大きな影響を与えているのが親です。私たちは親とのつながりの中で“自分”を定義し、親とのつながりの延長上を歩んでいるといえます。

 そんな大切なつながりと切り離されていく(ような気がする)のが「老病死」です。

 親世代の四苦(生老病死)は子世代にとっても苦しみとなりますが、それは同時に子世代が“自分”を再定義する貴重な機会でもあります。そして、本当は思春期以降抱えているのにスコトーマに隠れたままのスピリチュアルペインを克服する大切なきっかけ(縁起)でもあります。

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 すべての生命は、いつかは老い、多くは病み、そして必ず死にいたる“はかなくむなしい存在”です。しかし、その本質は宇宙中にひろがる関係の結び目であり、巨大な縁起ネットワークの一部です。

 

 そんな生命の中でも情報空間にホメオスタシス(恒常性維持機能)が働く私たち人間は、新たな縁起ネットワークを自由に生みだすことができる稀有な存在といえます。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 つまり、「はかなくむなしいものであることをしっかり認識したうえで(空)、それでも幸福を求めることができる(仮)」という中観的存在。それが人間です。

 

 親の四苦を契機に「“自分”をしっかりみる」ことができると、自分中心を捨てた“現状の外”に心から望むゴールを見いだすことができるようになります。それが「克己」です。

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 その「克己」は、先代(親世代)にとってはヒーリングとなり、次の世代(親からみて孫世代)にはコーチングとなります。それが私の考える2つ目のステップ(withwell)です。

 

 

はかなくむなしいものであることを認識したうえで求める幸福(well-being)というのはどういうものでしょうか? その先には何があるのでしょうか?

 幸福(well-being)のために、私たちは何を行うべきでしょうか?

 

 

 その答えを、自ら見いだし行動する人が増えるたび、「この世から戦争と差別をなくす」は現実化していきます。

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 個人の心の平和

心の平和の和が世界の平和

 

 やはり、私は、平和に至るマインドの変化が「antiwithwell」であり、そのプロセスそのものが“幸福(well-being)”だと感じます。そして、その“幸福(well-being)”を実践し、ひろげ、伝え続けたいと思います。コーチとしての私の“calling”です。

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苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

 その「克己」は、先代(親世代)にとってはヒーリングとなり、次の世代(親からみて孫世代)にはコーチングとなります。それが私の考える2つ目のステップ(withwell)です

 

 詳しくは下記ブログ記事で考察しています↓

 Q-177~:家族ががんで治療中です。どうすればいいでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408953.html

 

 

-追記2

 やはりWHOWorld Health Organization)の健康(well-being)の定義は不十分に思えます。皆さんはどのように考えますか?

 PM-04-01WHO(世界保健機関)の「健康」の定義

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859675.html

 

 私の意見(claim)はこちら↓

 PM-04-02WHO版「健康」の三つの間違い

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859828.html

 

  

-参考書籍-

「感情の解剖図鑑 仕事もプライベートも充実させる、心の操り方」(誠文堂新光社)

 

 

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-告知-

 今年度(2021年)は計8回のオンラインセミナーを予定しています。1年間を通してのテーマは「Well-being」です。

 (セミナー予定はこちら↓)

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 第1回目は2021425日(日)開催。テーマは「スコトーマ」「ゴール」「エフィカシー」です。

 (詳細はこちら↓)

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 超情報場でお会いしましょう!

 

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