F-174:こんなはずではなかった

 

 先日(2021122日)、厚生労働省が2020年の自殺者数を発表しました(速報値)。

 厚労省HP>警察庁の自殺統計に基づく自殺等の推移等

 202012-sokuhou (mhlw.go.jp)

 

 日本の自殺者数は2003年の34427人をピークに減少傾向が続いていました。前年を上回ったのはリーマンショック直後の2009年以来で、とくに7月以降は毎月前年同月を上回っています。

朝日新聞の報道(同日)によると、厚労省の担当者は新型コロナ感染症による変化(経済的状況、生活環境、休校、外出自粛など)が影響したと考えているそうです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22636357.html

 

 1~11月の自殺者19225人について厚労省が分析したところ、年代別で最多は40代ですが(3225人)、増加幅では19歳以下(707人、前年同期比13.8%増)と20代(2287人、同16.8%増)が目立ちました。

小中高生でみると1~11月で440人(前年同期比18.3%増)。これは過去最多だった1986年の年間合計を上回っています。子どもの総数は当時より大きく減少しているはずなのに。

(ちなみに、1986年は女性アイドル歌手が自殺した年です)

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 感染の恐怖や社会情勢による不安の増大は、人を大脳辺縁系優位の動物的思考に陥らせます。「ファイト・オア・フライト」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 日本語にすると「闘争逃走反応(戦うか逃げるか反応)」。自殺は、残念ですが、「逃走」の最終手段と考えることができます。その自殺が増加していることから、もう一方の「闘争」によって、今後ますます人間関係が悪化し、社会全体がギスギスしていくと予想されます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9188068.html

  

 私のまわりでも“怒り”が目につくようになりました。もちろん、「動物的怒り」「私憤」です。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23743308.html

 

 最近も「こんなはずではなかった」という言葉を見聞きしました。その言い回しから滲み出ているのは「認知的不協和」。イライラを伴った怒りが噴出しているようでした。まるで桜島の爆発的噴火のように。

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よく誤解されるのですが、不協和そのものは決して悪いものではありません。期待と現実のギャップは、ちゃんと対処すると、ポジティブなエネルギーと創造性の源になります。

(「ちゃんと対処する」について、下記ブログ記事にまとめました↓)

S-03~:心のエネルギーとは何か? ~カナックス事件に学ぶ“心のエネルギー”をコントロールする方法~(目次)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879680.html

 

 

 過去の記事で、「ちゃんと対処する」の一例として、アメリカの俳優 マイケル・J・フォックスを紹介しました。「生老病死(四苦)」について考察するシリーズです↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404044.html

 

映画「Back to the FutureBTTF)」でブレイクしたマイケルは、キャリア絶頂の20代後半にパーキンソン病を発症しました。医師の予想をいい意味で裏切って俳優を続けていましたが、2018年に脊髄腫瘍を患ってしまいます。術後のリハビリを経ていよいよ俳優復帰という当日、転倒したマイケルは腕を骨折してしまいました。

以下、その時を振り返ったマイケルのコメントです。

 

 間違いなく人生で最悪の瞬間だった。ただ倒れてしまったんだ。キッチンの壁に寄りかかって救急車を待ちながら『まさにどん底だ』って思っていた。すべてに疑問を抱いた瞬間だった。こんな状態で明るい顔なんてできない。これにいい面も明るい面もない。後悔と痛みがあるだけだって思ったんだ。

 (その後、ベッドから動けず1970年代のテレビ番組の再放送を見て過ごしているときに「楽観主義は感謝から生まれるものだ」と悟る)

感謝の気持ちに立ち返ることができれば、楽観的な見方を持ち続けられる。それは受け入れることから生まれるんだ。起きたことをそのまま受け入れる。それは現状を変えようという努力ができないという意味ではない。それに起きたことを自分への罰や自己犠牲として受け入れるということでもない。起きたことを正しい場所に受け止めるということなんだ。そして生きていかなくてはならない残りの人生がどれだけあるかを見る。そうすれば前進できる

 

 マイケルが「感謝」を見いだしたのは「縁起を体得した」からのはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 縁起を体得できたのは「抽象度が上がった」から。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

「起きたことを正しい場所に受け止めた」上で「残りの人生がどれだけあるか」みて前進した結果として、抽象度が上がり、縁起を体得し、RASが変化し、ついに感謝を見いだしたのです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

  

 スコトーマが外れて見いだしたものは感謝だけではないはず。あらためて感動や希望も見つけたに違いありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15395021.html

 

 では、「起きたことを正しい場所に受け止める」ことはなぜできたのでしょうか?

 

 

結果がなかなか伴わないとき、人の気持ちは、自らの課題の検証(ケース)と克服(プラン)ではなく、他への攻撃に向かいがちです。恐怖・不安が強い時はなおさら。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 なぜなら、エフィカシーが下がるから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 そんな時につい出てくる言葉が「こんなはずではなかった」。

もしも「こんなはずではなかった」というセルフトークに気づいたときは、「『こんなはずではなかった』と悔やむような状況・状態がコンフォートゾーンになっている」という事実としっかり向き合ってください。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 コンフォートゾーンはホメオスタシス(恒常性維持機能)により強力に維持されています。そのままでは、ますます「こんなはずではなかった」は強化され、どんどん抜け出すことが難しくなっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 マイケルが語った「正しい場所」とは、「ゴールの世界(ゴール側のコンフォートゾーン)」のことです。ゴールという「正しい場所」に「起きたことを受け止める」ことで、ゴール側のCZにホメオスタシスが働き、エフィカシーが上がり、自らの課題の検証(ケース)と克服(プラン)に取り組むことができるのです。もちろん100%want toで。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 止められても成し遂げたいゴールがある

そう、「起きたことを正しい場所に受け止める」ことができるのは「ゴールがある」

から。

 

 コロナ禍で誰もが苦しむ今こそ、コーチングを学び、実践する時です。社会が、未来が、コーチングを必要としています。そして、誰もがコーチングによって本当の能力(The Power of Mind)を覚醒させ、機能を発揮し、役割を果たすことができます。お互いのエフィカシーをさらに高めあいながら。私はそんな未来を確信しています。

皆さんにも必ずできます。ぜひコーチングに取り組み、新たな未来を切り拓いてください。

皆さん自身のために。そして、縁ある大切な人たちと未来のために。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8430748.html

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1

よく誤解されるのですが、不協和そのものは決して悪いものではありません

 

 そもそも「よい」「悪い」を判断する絶対的な基準自体がありません。不完全性・不確定性です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 

-追記2

 ゴール設定は必ず“自分”自身でしなければなりません。そうでなければ「こんなはずではなかった」が「他責」となって、縁起宇宙を暗く冷たく重たく書き換えていきます。それが「人間関係の悩み」の本質だと私は思っています↓

 S-04~:さぁ「人間関係の悩みを克服する旅」をはじめよう!(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22305802.html

 

 

-追記3

 反対に、ゴールを自身の自由意思で設定し「起きたことを正しい場所に受け止める」と、「こんなはずではなかった」は「自責」となって、本当の力(The Power of Mind)を目覚めさせるきっかけとなります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 私はそのプロセスそのものが“幸福(well-being)”だと思っています。今後の「フリーテーマ」での投稿(F-176~)で掘り下げていく予定です。お楽しみに。

 

 

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