L-007:2020年1月シークレットレクチャー -07;スピリチュアルペインとは?
2020年1月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う3回の講義の初回。メインテーマは「スピリチュアルペイン」で、初回のサブテーマは「○○」。
その講義内容をブログ用に再構成してお届けします。
ぜひサブテーマを想像しながらお読みください(漢字二文字ですw)。スピリチュアルペインやトータルペインは過去のブログ記事でも取り上げていますが、きっと新たな発見に驚くはずです。
01;「全人的苦痛(トータルペイン)」と「4つの苦痛」の関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24505924.html
02;身体的苦痛
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24553696.html
03;身体と心は○○○○ -前編-
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24575354.html
04;身体と心は○○○○ -後編-
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24617501.html
05;「4つの苦痛」と健康(well-being)の関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24642277.html
06;「4つの苦痛」(部分)どうしの関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24682654.html
07;スピリチュアルペインとは?
…もっとわかりやすく表現すると、「すべての苦痛の元となる“根源的な痛み”がスピリチュアルペイン」だということ。だから「空」です。「空」であるがゆえに、ふだんはまるで感じられないのに(無)、ひとたび認識するととてつもなく辛いのです(有)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
では、そのスピリチュアルペインとは具体的にどんな痛みのことなのでしょうか?
過去のブログ記事(PMⅠ-04-12)で、2011年に受講したPEACEプログラムでのスピリチュアルペインの定義を御紹介しました。PEACEとは「Palliative care Emphasis program on symptom management and
Assessment for Continuous medical Education」の略で、正式名称は「症状の評価とマネジメントを中心とした緩和ケアのための医師の継続教育プログラム」です。
受講時(2011年)、スピリチュアルペインの定義は「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛(無意味、無価値、虚無、孤独など)」とされていました。最新版では「自分の存在や意味を問うことに伴う苦痛」と改訂されています。
2016年3月16日に開催された第19回緩和ケア推進検討会議事録には、PEACEの原型として開かれた研修会ではスピリチュアルペインも研修内容に入っていたことが記載されています。しかし、全国のがん診療連携拠点病院での研修用にプログラム化していく過程で省くことになったそうです。「誰が講師を担当するのか」という問題と「まだそこまで現状になじまない」という理由により。
厚労省HP>…>第19回緩和ケア推進検討会議事録
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000122299.html
「現状になじまない」という言葉の意味するところはわかりませんが、その感覚は理解できます。同検討会で別の委員(構成員)が日本の死生観・宗教観の低さを指摘した上で(data)、このように主張されていました(claim)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html
本邦では“死生観への配慮”ではなく、“死生観・宗教観などの構築”のほうが先だと思います。ですから、がん教育、緩和ケア教育とかはもちろんとても大事ですけれども、死生観というものについての教育、死というものの教育、ヒトは死ぬという教育も同時に、もしこれからがん教育ということをやっていかれるのであれば、そこも含めていかないと、最終的に日本でのスピリチュアルの対応は今後も難しいものになったままだと思います。
先程書いたとおり、私は「現状になじまない」には共感します。しかしながら、スピリチュアルペインの定義や上記の意見には違和感を覚えます。インヘレンシー(内因性)という観点で。わかりやすく言うと「そこじゃない!」という感じです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html
「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」という表現は、「存在と意味」の獲得が前提となっています。PEACE最新版では「存在と意味を問うこと」が前提です。
しかしながら、一体どれだけの人が自身の存在と意味を問い、獲得(確信)しているでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8293317.html
…ほとんどすべての人が「存在と意味」を深く探求することなく人生の終盤(老病死)を迎えているはずです。探求しているとしても、それは「過去の強化」のはず(後述します)。
だから、医療・介護の現場で「“死生観や宗教観の構築”が必要」と感じられるのです。
死生観は「生と死に対する見方」という意味ですが、痛みの元凶は生(life)や死(death)そのものではありません。生と死の間(between life and death)への無関心(indifference)こそがその元凶といえるはずです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_318161.html
「なぜ生まれ、なぜ死ぬのか?」よりも「生ある間に何を成し遂げるか?」
…そんな内なる叫びに真摯に向き合いながら、自由意思(&責任)で“自分”を築きあげていくことこそが「スピリチュアルペイン克服」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13958864.html
つまり、病を患うことでスピリチュアペインが生じるのではなく、病になり「自分はいつか死ぬ」という当たり前のことをスコトーマが外れて実感することで、「『自己の存在と意味』がわからないというスピリチュアルペイン」をずっと抱えたまま生き続けてきた事実に気がついてしまうということ。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
死生観が薄いことは確かに問題ですが、それは本質ではありません。本質は「『生きる意味』を見いだせないこと(見いだしていないこと)」の方です。「自己の存在と意味」を確信していない人、あるいは「生きる意味」がわからないまま過ごしている人は、すでにスピリチュアペインを抱えています。気がついていないだけです。
(その「確信」とは、「ゴール達成能力の自己評価」が高いこと。エフィカシーです)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html
「自己の存在と意味」を確信していない人や「生きる意味(=死ぬ意味)」がわからない人というのは、もちろん、ゴールがない人のことです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
“現状の外”にゴールを見いだせない(見いだしていない)ということは、それまでのブリーフシステムで生き続けていることと同じです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
それは他人や社会の価値観で生きている(生かされている)ということであり、過去に封じ込められている状態といえます。私はそんな生き方を「無人運転」「自動運転」と呼んでいます。
そのように生きてしまっている(生かされてしまっている)ことを教えてくれる重要な警告としてスピリチュアルペイン(の役割)があると考えることもできます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12794797.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html
スピリチュアルペインは「自己の存在と意味がわからないことから生じる苦痛」と考えるべきです(ケースサイド)。そして、その解決にはコーチングが役にたちます(プランサイド)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html
(L-008につづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-関連記事-
PMⅠ-04~:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ(目次)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076878.html
Q-064~:認知的不協和の状態にあり頭痛が続いています。適切なアファメーション、ビジュアライゼーションはどうすればよいでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_292583.html
F-122:免疫力をあげる!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21245972.html
-告知-
青山龍苫米地式認定マスターコーチと私 CoacH Tとのコラボ企画「Fight Coaching Project(FCP)」がはじまっています(2020年6月~、月額制)。テーマは「マインド(脳と心)の健康」です。
参加される皆さんの疑問・質問にもお答えする1年間の双方向(インタラクティブ)オンラインコミュニティの中で、徹底的に「マインドの健康」を追求したいと思っています。
一緒にさらなる“現状の外”へ飛びだしましょう!
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