L-003:20201月シークレットレクチャー -03;身体と心は○○○○ -前編-

 

20201月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う3回の講義の初回。メインテーマは「スピリチュアルペイン」で、初回のサブテーマは「○○」。

その講義内容をブログ用に再構成してお届けします。

ぜひサブテーマを想像しながらお読みください(漢字二文字ですw)。スピリチュアルペインやトータルペインは過去のブログ記事でも取り上げていますが、きっと新たな発見に驚くはずです。

 

 01;「全人的苦痛(トータルペイン)」と「4つの苦痛」の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24505924.html

 02;身体的苦痛

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24553696.html

 03;身体と心は○○○○ -前編-

 

 最近は「一次性疼痛(primary pain)」という「身体に器質的な原因が見つからないのに起こる痛み」が定義されています。該当する疼痛疾患はまだ国際学会レベルで議論中のようですが、非特異的腰痛という整形外科領域の痛みが含まれると考えられています。

 物理空間やそれに近い次元での医療においても、心理・精神的なアプローチに対するニーズがどんどん大きくなっているのです。

 これは、「身体的苦痛」と「心理・精神的苦痛」は強く相関している(ように感じられる)ことを示しています。

 

 あるケースを御紹介します(プライバシー保護のため一部変更しています)。

 80代のがん末期の女性。原発巣の増大だけでなく、転移も多数認めています。

本人は積極的な治療を望まず、緩和ケア目的での入院となりました。幸い痛みは目立ちませんでしたが、起坐呼吸(きざこきゅう、追記で解説)で会話もままならない状態 つまり、呼吸困難・呼吸苦という「身体的苦痛」で苦しんでいる状況でした。

 厳しい状態(状況)でしたが、本人の希望を叶えるため、家族とスタッフが一丸となって自宅への外出(←医療現場ではこのように表現します)を実現しました。自宅で過ごす1時間くらいの間、女性は今まで手塩にかけて育ててきた庭木を眺めていたそうです。

同伴した看護スタッフは、呼吸がとても穏やかになっていることに気がつきました。それまでの浅く・早い呼吸が、ゆったりとした穏やかな呼吸に変わったのです。

残念ながら、病院に戻った後に呼吸は再び悪化し、数日後にはお亡くなりになりました。

それ故に、自宅で過ごした1時間はますます“奇跡”と感じられたようでした。御家族はもちろんのこと、医療従事者にとっても。

 では、そのような“奇跡”といえるような変化はなぜ起こったのでしょうか?

 

 答えは「身体と心は○○○○」だから。

 (○○○○はこの記事の最後で明らかにします)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html

 

 

私の母校である鹿児島大学医学部には心身医療科(心療内科)があります。

現在でも心療内科の講座と診療科の両方がある大学は、九州大学、東京大学、東邦大学、関西医科大学、そして鹿児島大学の5大学のみだそうです。私はかなりラッキーな学生だったといえます(さらに当時国立では2校にしかなかったリハビリテーション科もありました)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7385143.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7385278.html

 

医療の現場にいると日々痛感しますが、日本の医療は西洋哲学がベースになっています。

「存在があり、関係が生まれる」というその根底にある考え方を医療に当てはめると、「病がある」「病を診断して治療する」という感じです。

「病が“ある”」や「体が“ある”」といえるのは、「物理空間が“ある”」ことが大前提になっています。

 

 ルネ・デカルト(15961650年)に代表される物心二元論(実体二元論)は、「この世界にはモノとココロという本質的に異なる独立した二つの実体が“ある”」というものです。実体とは「他の何にも依らずそれだけで独立していて存在しうるもの」のことで、アプリオリ(ア・プリオリ)と表現されます。

 

 物理空間に実在する身体と身体とは別にどこかに存在する心が「強い相関関係をもつ」というのが心身医学(心療内科)の根底にある考え方です。それを心身相関と表現します。

身体と心が別々のものであるという大前提のもと、身体を対象にしているのが心療内科で、心を対象としているのが精神科です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13958654.html

 

不完全性定理や不確定性原理が証明された現代においては、「神が創造した完全なる宇宙では始まりにすべてが決まっている。そして、その初期値と連続する因果の当然の帰結として現在の個々の思考や行動がある」という西洋哲学の因果律は完全に崩壊しました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6194669.html

 

「病が“ある”」「体が“ある”」ことを真とする「物理空間が“ある”」という大前提が崩れたのです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516539.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654230.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654316.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4831442.html

 

 では、身体と心の関係について、あるいは身体的苦痛と心理・精神的苦痛の関係について、どのように理解すればよいのでしょうか?

(冒頭で御紹介した)がん末期女性の“奇跡”のような変化はなぜ起こったのでしょうか?

 

 答えは「身体と心は同じもの」だから

 

 身体と心は同じものです。身体的苦痛と心理・精神的苦痛も同じ。同じものの抽象度の違いです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

(L-004につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 「起坐呼吸」について、日本救急医学会の医学用語集から引用します。

 

 呼吸困難が臥位で増強し、起坐位または半坐位で軽減するという臨床的兆候。

 一般に左心系の機能低下、僧帽弁膜症などによる左心不全の主要徴候として知られている。

 左心不全の状態で臥位をとると、右心系への静脈還流の増加、これによる肺血流の増加から、肺うっ血、肺コンプライアンスの減少をきたし、呼吸仕事量の増大を招く。

 引用終わり

 

 横になる(寝る)と「息苦しい」「動悸がする」「咳がでる」というのは、心不全を疑う重要な所見です。「不眠症だと思っていたら心不全だった」というケースも多々あります。

 心当たりがある方は、ぜひ循環器内科を受診されてください(受診を勧めてください)。

 

 

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-告知-

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