F-157:指一本でも役に立ちたい

 

 前回(F-156)、「人間関係リセット症候群」を取り上げ、このように書きました。

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 「絶望」や「dark side」を防ぐ(克服する)力となるものはゴールとエフィカシーです。

ゴールの抽象度を高めながらハイエフィカシーを貫くことで、不安や怒りや憎しみを社会にうまく還元していくことができます。それが「社会性」です。

 

 その「社会性」を違う言葉で言い換えると「利他(unselfishness)」。

 今回は、医療現場で利他心を感じた一例を取り上げます。

 (プライバシー保護のため一部変更しています)

 

 ケース;90代女性、一人暮らし

同じ町にお子さんが住んでいますが、関係性はよくありません。誰彼かまわず無心されるたびにお金を貸すものの結局踏み倒されるといったことを繰り返していることが原因のようでした。

そんな高齢女性が感染症を発症し入院しました。もともと自己免疫疾患(自分自身に対して免疫が過剰に働いてしまう病気)があり、免疫を抑制するステロイド剤を内服していました。加えて喘息もあるため、呼吸状態がどんどん悪化していきました。

専門用語で「せん妄」と呼ばれる精神不穏も出現した患者さんは、呼吸がままならないのに酸素吸入のためのマスクを外したり、点滴を引き抜いたりしました。

心身ともに悪化していく中、患者さんはまるでうなされているかのように同じ願いを口にするようになりました。その願いとは

死んだら献体がしたい

死んだ後も社会に貢献したいというのです。そんな切なる思いが「指一本でも役に立ちたい」という言葉になってあらわれました。

患者さんと御家族の仲介を約束した私は、母親の思いをそのまま息子さんに伝えました。最初は渋っていましたが、「指一本でも役に立ちたい」を聞いてからは反論しなくなり、ついには献体に同意されました。「母らしい」と苦笑いしながら。

子どもたちが献体に同意してくれたことを伝え聞いた患者さんは、粗い呼吸の合間に「うれしい~」と発し、治療にまったく抵抗しなくなりました。表情や言動は日に日に穏やかになっていきました。

 

 

 ところで、皆さんは「プラセボ効果(placebo effect)」を御存知でしょうか?

 一般的には「薬理作用に基づかない治療効果」のことを指します。

その一部は脳内の化学反応で説明されています。人はモルヒネと同じような痛みを和らげる化学物質(いわゆる「脳内麻薬」)を分泌することができます。β-エンドルフィンやドーパミンがその代表で、20種類ほどの物質が確認されています。

プラセボ効果が働いているときは、大量のβ-エンドルフィン放出されているそうです。モルヒネの6.5倍にもなるといわれる鎮痛効果に加え、多幸感も大きくなることがわかっています。

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 じつは、先の患者さんは、「うれしい~」のあと呼吸状態が落ち着き、体調がどんどん改善していきました。情報空間(表情や言動にあらわれた心の状態)だけでなく、物理空間(SpO2CRPという検査で示される体の状態)にもよい変化があらわれたのです。

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体調改善後施設に退院し、現在もお元気にされていると伺っています。

 その驚異的な回復ぶりを、冷めた言い方で「気のせい(プラセボ効果)」ということもできます。しかし、その本質は、超情報場(生命場)への介入による「気のせい(内部表現書き換え)」です。

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 ある研究によると、「自分は心臓発作で死ぬ」と思い込んでいる女性は、病歴がまったく同じであっても、心臓発作で死ぬとは思っていない女性と比べ(心臓発作で)死ぬ確率が4倍も高くなるそうです。「プラセボ/ノセボ効果」の一例として紹介されていましたが、これは先程の脳内麻薬(β-エンドルフィンなど)だけでは説明できません。

 (ノセボ効果:悪心や食欲不振といった「薬理作用に基づかない副作用」のこと)

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 皆さんも、体調が悪いと思っていると(あるいは、まわりに「顔色が悪い」などと心配されていると)、本当に体調が悪くなってしまうことを経験しているのではないでしょうか。もちろんその逆も。

 ストレスが健康に大きく影響することは今や当たり前の知見になっていますが、そこには自律神経などの物理(身体)的な要因だけではなく、物理的な変化を「果」として引き起こすより高次の情報次元(心)での「因」が存在しています。

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 重要なことなので繰り返しますが、高次の情報空間での「因」が、低次の情報空間(その底面が物理空間)において「果」となってあらわれます。

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今回御紹介した患者さんでいうと、自分の死に自ら意味を見いだしたことが情報(心)を書き換え(「因」)、その写像である物理(体)を書き換えていった(「果」)といえます。

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「希望により生命力を取り戻した」「心が平和になった結果、身体が平穏になった」という感じです。

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 人生の最終段階であっても、このような大きな変化があらわれます。ましてや、これから成長する子どもたちに、「希望をもつことの大切さ」を教え、「希望をゴール化して実現していく方法」を授けることができたなら、どんなに未来が明るくなることでしょう。

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 そんなハイエフィカシーな未来をイメージしているときに、私の中の“希望/HOPE”が、高齢女性の希望と共鳴していることに気がつきました。

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希望はやがて夢に育ち、夢はゴール設定することでいつしか“現実”にかわっていきます。

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ゴールの達成を確信し続けること(エフィカシー)で“新たなる希望”が芽生えると、さらなる夢、より抽象度の高いゴールを経て、かつては想像もできなかったような“現実”があらわれます。

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「絶望」や「dark side」を防ぐ(克服する)力となるものはゴールとエフィカシーです。

ゴールの抽象度を高めながらハイエフィカシーを貫くと、不安や怒りや憎しみを社会にうまく還元していくことができます。それが「社会性」「利他(unselfishness)」です。

 その「社会性」「利他(unselfishness)」が、人間に秘められたさらなる能力を覚醒させます。ときに“奇跡”と呼ばれるような形で。

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 「指一本でも役に立ちたい」と願う老婆との縁により、私は、「幸せとはゴールに向かう日々の縁起そのものである」とあらためて実感しました。

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苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 キーワードは「社会性」「利他(unselfishness)」。

 次の投稿(F-158~)では、今回取り上げた“奇跡”を別角度で再検証し、苫米地博士の著書から「絶望を克服する方法」を御紹介します。お楽しみに。

 

 

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