F-151:同一労働同一賃金

 

 先日、「同一労働同一賃金」についてレクチャーを受ける機会がありました。その間ずっと感じていた違和感を掘り下げます。

 

 まず「同一労働同一賃金」の定義を確認してみましょう。

以下、Wikipediaより引用します。

 

 

 同一労働同一賃金(どういつろうどうどういつちんぎん、英:equal pay for equal work)とは、同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念。性別、雇用形態(フルタイム、パートタイム、派遣社員など)、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払う賃金政策のこと。さらに同一価値労働同一賃金(どういつかちろうどうどういつちんぎん)とは、職種が異なる場合であっても労働の質が同等であれば、同一の賃金水準を適用する賃金政策のこと。

 国際労働機関(ILO)では、同原則をILO憲章の前文に挙げており、基本的人権の一つとされている。また世界人権宣言の第23条において「すべての人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する」と規定されている。さらに国際人権法でも、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の第7条と人及び人民の権利に関するアフリカ憲章の第15条において、勤労権に関して『同一労働同一賃金』を明記している。

 経済学的には一物一価の法則(自由市場では需要と供給の関係から、標準的な相場が形成される)を、労働市場に当てはめたものである。

 

 

 最後の「一物一価の法則」はまだ理解できます。モノという物理的存在を、カネという基準で一律に評価しようというものだから。コロナ禍でマスクの転売が禁止になった根拠(ワラント)には、この法則も含まれているはずです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12340209.html

 

 でも本当にそうでしょうか?

 

 同じはずのモノであっても、価値がまったく異なる(評価が変わる)ケースはたくさんあります。例えばギター。まったく同じ型の新品ギターであったとしても、 実際の“鳴り”の違いで評価は変わってくるはず。

中古となるとさらに複雑です。ギター自体の“鳴り”や保存状態はもちろんですが、前の所有者の情報など、(物理的な)ギター以外の部分で大きく評価が変わります。例えば、前のオーナーがエリック・クラプトンだったら評価は爆上がりでしょうし、ジミ・ヘンドリックス(James Marshall “ Jimi” Hendrix1942~1970年)やジョン・レノン(John Winston Ono Lennon1940~1980年)などの故人であれば、実質的にはプライスレスです。ファンにとっては。

 このように「ある人にとってはただの品物だとしても、別の人にとっては無比の宝物になる」という事例はたくさんあります。皆さんもすぐに思いつくのでは?

 

 評価が異なる(変わる)理由は、「この世は縁によって起こっている」から。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

 縁起ゆえに、認識主体との関係によって相対的(流動的)に価値が決まります(生みだされる)。物理的な存在自体に絶対的な(アプリオリな)価値があるのではありません。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_268332.html

 

 言い方を変えると、物理空間の価値(素材や劣化具合etc)だけではなく、より高次の情報空間の価値(鳴り、前所有者etc)に大きく左右されるということ。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516539.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654230.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654316.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4831442.html

 

 価値は認識する人の評価により変わるわけですが、同じ人であったとしても、日々蓄積していく知識により変わっていき、評価時点の重要度でさらにダイナミックに変わります。

RASの変化により、スコトーマはリアルタイムに変化していきます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721658.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

 それを苫米地博士は「一人一宇宙」と表現されます。その「一宇宙」の「一」はどんどん変わっていくものであり固定できません。無常です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11823351.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/23234058.html

 

 ここまでが「一物一価の法則」の話。では、「同一労働同一賃金」はどうでしょうか。

 

 「同一賃金」の達成は、今の日本ではそれほど難しくはないでしょう。同じ額を支払うだけですから。

 (日本というゲシュタルトを飛びだすと、日本の法貨である円と米ドルなど他国の通貨の関係は刻一刻と変動するため「同一賃金」にはなりえません)

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6193912.html

 

今後は仮想通貨(暗号資産)を含めた複数通貨の時代になるという予想があります。それはノーベル経済学賞を受賞したフリードリヒ・ハイエク(Friedrich August von Hayek18991992年)が提唱した「通貨間の自由競争」の実現です。

もしもそうなれば、「同一賃金」はますます不可能になります。「お金のモノサシ」と表現するときの「モノサシ」が無数に存在することになるから。

 

さらに問題なのは「同一労働」という言葉。抽象度あるいは情報空間という概念が抜けている限り、そもそも労働を“正しく”評価することは不可能です。物理空間では同じような労働であったとしても、情報空間では必ず違いが生じています。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html

 

 そして、今後、労働はますます情報空間に移行していきます。コロナ禍で急速に「リモートワーク」が普及しているのは、もともと労働が情報空間に移行してきたことの証左であり、これからますます加速しながら移行していく潮流の表れです。

 

そんなウィズコロナの時代では「どんな付加価値を生みだすか?」という労働の本質がますます問われるようになります。付加価値とは「より多くの人にとってますます役に立つ何か」。そして、その付加価値が新しく希少であるほど、圧倒的なパワーが生まれます。

(「新しく希少」とは、奇抜さではなく、視点の高さ=抽象度のことです)

 

そんな「高い次元での付加価値の創造」を実現するのがコーチングです。具体的には、「“現状の外”へのゴール設定」をサポートし、「ゴール達成の自己評価(エフィカシー)」を高めていきます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 ウィズコロナの時代のキーワードは“現状の外(より高い抽象度)”

 

 

 「同一労働同一賃金」を掲げる社会では、人々はますます既存の価値観に囚われ、現状に縛られていきます。そこからイノベーションは生まれないことは歴史が証明しています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/16380278.html

 

キーワードは“現状の外(より高い抽象度)”

 

圧倒的なパワーを生みだす“現状の外”へのゴール設定とその実現にチャレンジしてみませんか?

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1

そんなウィズコロナの時代では「どんな付加価値を生みだすか?」という労働の本質がますます問われるようになります。付加価値とは「より多くの人にとってますます役に立つ何か」。そして、その付加価値が新しく希少であるほど、圧倒的なパワーが生まれます。

(「新しく希少」とは、奇抜さではなく、視点の高さ=抽象度のことです)

 

 そこに「お金のモノサシ」が入り込むとプロフェッショナルではなくなると私は思っています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8582928.html

 

 

-追記2

 厚生労働省のホームページ(同一労働同一賃金特集ページ)には、「同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです」と記載されています。

 厚生労働省HP>政策について>>雇用・労働>>同一労働同一賃金特集ページ

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

 

 「同一労働同一賃金」を説明するWiki.中の文章からは自由や権利を守り差別を根絶する意図が感じられますが、厚労省の表現からは違う意図が感じられます。皆さんはどう思いますか?

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13958864.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13959033.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14249741.html

 

 

フリードリヒ・ハイエク(Wiki.)

フリードリヒ・ハイエク(18991992年)

ノーベル経済学賞を受賞した20世紀を代表する思想家