F-150:トリアージ(triage)をコーチの視点で考える vol.5;トリアージの応用

 

 私は2007年から11年間にわたって病院長を務め、その間に300回の研修会を開催しました。今回御紹介するのは、コーチングを導入しようと奮闘していた院長時代に作成したもの。テーマは「トリアージ(triage)」です。

 (実際には“奮闘”ではなく“粉砕”しましたw

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15110477.html

 

 2008年(苫米地理論と出会う前)に作成後2011年(苫米地理論と出会った後)に作り直したものをベースに、さらに2020年(認定コーチ6年目)の視点で「connect the dots」したいと思います。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7383761.html

 

vol.1;トリアージとは?

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/23110775.html

 vol.2;トリアージの問題点/課題 <前編>

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/23211097.html

 vol.3:トリアージの問題点/課題 <中編>

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/23264809.html

vol.4;トリアージの問題点/課題 <後編>

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/23329883.html

 

 

vol.5;トリアージの応用

 

vol.2F-147)本文中に書いたトリアージの表現(下記)は2008年時点の私の考えです。苫米地博士に学び始めた後、この考え方には大きな問題点(課題)があることに気づきました。

Q4:下記の表現に潜む問題点(課題)とは何でしょうか?

1)     手を尽くしても助けられない人には何もしない

2)     放っておくと死ぬけれども、すぐ手を尽くせば助かる人をまず最初に治療する

3)     放っておくとよくないが、とりあえず少しは待てる人を次に

4)     放っておいても死なない人は後回し

 

前回(vol.4/F-149)同様、まずは病院長として勤めていた2008年(苫米地理論に出会う前)に書いた文章を転載します。コーチングで最も重要な概念といえる「ゴール」の3つのポイント(「心から望むもの」「自分中心を捨て去ったもの」「“現状の外側”に設定するもの」)をイメージしながら読み進めてください。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

 

-転載開始-

最近、トリアージの考え方を生活に応用する方法を考えています。

生じた事柄の重要度・緊急度とともに、自分側の状況(自身の実力・価値観・人生観・特徴・長所/短所・この世での使命・与えられた時間(命)、共時性などなど)を考えて判断できるように努力しています。

 

1.手を尽くしても助けられない人には何もしない

 →今の自分にできないことには取り組まない

2.放っておくと死ぬけれども、すぐ手を尽くせば助かる人をまず最初に治療する

 →急を要するが実現可能で、かつ自分でないといけないことを最優先とする

3.放っておくとよくないが、とりあえず少しは待てる人を次に

 →重要であり実現可能だが、急がないことは後回し

4.放っておいても死なない人は後回し

 →自分でなくてもいいことは他人にお願いする

 

繰り返しになりますが、トリアージには精度および倫理の問題が必ず伴います。

正しい判断を行うために、生きる意味・働く理由を真剣に考え、人生をかけて挑みたい大志を強く意識することが重要だと思います。

 

宗教なくして科学は不具であり、科学なくして宗教は盲目である

 

これはあのアルバート・アインシュタイン博士の言葉です。医学と宗教心の相互追究が、これからの日本の冷たい医療現場で、あたたかく働くための“光”になると確信しています。

症例検討会に参加してくださりありがとうございました。

-転載終わり-

 

 

 それではコーチの視点で添削していきましょう。

 

「生じた事柄の重要度・緊急度とともに、自分側の状況(自身の実力・価値観・人生観・特徴・長所/短所・この世での使命・与えられた時間(命)、共時性などなど)を考えて判断できるように努力しています」

 

もちろん重要度と緊急度は重要です。現在の私は、とくに「『重要であるが緊急ではない』という人生の第二領域」を常に意識にあげることをお勧めしています。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_400247.html

 

しかしながら、「生じた事柄の重要度、緊急度、自分の側の状況を考える」という当時の私の考えには大きなスコトーマがありました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

当時は「重要度・緊急度や状況の判断をどの時間軸で行っているか?」ということをまったく意識していませんでした。そのため無意識下の判断基準は“現在”でした。

私たちの目の前の世界はすべて過去の記憶で作られているのですから、“現在”の判断基準とは、じつは(現在ではなく)“過去”です。自身の言動ばかりか目の前の世界をも決定づけるブリーフシステムは、「強い情動を伴った体験の記憶」と「抽象化された情報の記憶」という“過去”により生みだされています。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721531.html

 

つまり、以前の私は、今を生きているようでいて、じつは過去に縛られていたのです。そのため「昨日のような今日」を繰り返す日々に、燃えるような情熱や心の底から湧きあがってくるようなエネルギーを感じることはありませんでした。目の前のほとんどは「have to」で、そこに挑戦する喜びはありませんでした。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html

 

 その有様が「手を尽くしても助けられない人には何もしない →今の自分にできないことには取り組まない」という言葉にあらわれました。

これは“現状の外”にゴールを持つ挑戦者らしからぬコメントです。今の自分にできることしかしないという姿勢からは何も生まれません。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

この部分は「手を尽くしても助けられない人には何もしない →ゴール達成に関係ないことには一切取り組まない(ゴール更新後取り組む可能性あり)」と添削することができます。以前御紹介したラベリングを用いれば、「Tのみ取り組む」「Tだけで生きる」ということ。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/18456250.html

 

心理学に「スリー・タイム・フレーム」という概念があります。それは過去・現在・未来のどこに思考の基準を置いて物事を考えるかというものです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13958864.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/21491494.html

 

“過去”に思考の基準を置く人は、過去の出来事を語り、過去を基準に物事を考えます。

こうした人たちに共通するのは、人生の最盛期をすでに過ごし「昔は良かった」「あのときは幸せだった」という考えを持っていることです。それゆえに未来に対しては悲観的であり、現在は不平不満の対象でしかありません。

RASが「悲観」「不平不満」だけを拾い集めてしまうのです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721658.html

 

以前の私のように“現在”に思考の基準を置く人は、「今こうだから、明日もこうだ」と考えます。

現状のコンフォートゾーンを維持することは楽であり、まわりにも頼もしく映るかもしれません。しかし、来る日も来る日も同じことを繰り返すのは、回し車(hamster wheel)の中を走り続けるねずみの姿と変わりません。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html

 

現状を維持することは過去に縛られていることと同じ。自分自身にはその認識がないとしても、それは「無人運転」や「自動運転」と同義です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_369873.html

 

“未来”に思考の基準を置く人は、未来を先見し、そのイメージをはっきりと持っています。

現状がその方向に動き出していることを想定して行動し、自分だけでなくまわりの人も未来に向かって引っ張っていこうとします。このような人たちは、未来のことであっても「すでに実現している」「達成している」ものとして現在形で思考します。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_262962.html

 

そのためゲシュタルトが有効に働き、スコトーマが外れ、RASがオープンになり、必要な情報がどんどん流れ込むようになります(引き寄せの法則)。その結果、イメージどおりの未来に自分を導きます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6193912.html

 

では、どうすれば“未来”に思考の基準を置いて物事を考えることができるのでしょうか?

 

答えは、もちろん、ゴール。“未来”を生きるためにはゴールが必要です。希望が夢になり、夢がゴールに変わるとき、時間の扉が開き“未来”の結果として“現在(今)”を生きれるようになります。ゴールある者にとって、時間とは未来から過去に流れるものです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

その意味では「正しい判断を行うために、生きる意味・働く理由を真剣に考え、人生をかけて挑みたい大志を強く意識することが重要だと思います」と考えたことは正解といえます。しかし、ここにも当時意識していなかった落とし穴がありました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8045695.html

 

それは「正しい判断」というときの“正しさ”とは絶対の基準ではないという事実。

この世に“唯一絶対のモノサシ”は存在しません。そのことは不確定性原理で導きだされ、不完全性定理で証明されています。「私にとって(私のゴールにとって)正しい」はありですが、その事実を「あなたにも正しい(はずだ、べきだ)」と当てはめることはできません。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6194669.html

 

 まとめると、「『すべては空(くう)である』と認識し、『この世は共同幻想である』と理解した上で、仮(け)として生みだしたゴール側からしっかり判断し自然に行動する

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353367.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11823351.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11823843.html

 

 それが、貴重な学びを経て、コーチとしての私がたどり着いた「トリアージ(triage)」です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14833876.html

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 宗教なくして科学は不具であり、科学なくして宗教は盲目である

 

 このアインシュタインの言葉にも解決するべき問題(課題)があります。不完全性が証明された“現在”においては、「宗教」という言葉は上書きされるべきものです。

下記ブログ記事で解説しています

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14526199.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14687391.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14687476.html

 

 

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