Q-143:現状の外にゴールが設定できている状態と現実逃避に陥っている状態とでは何が違っているのでしょうか? <後編>
御質問をいただきました。ありがとうございます。
抜粋した下記部分について、回答させていただきます。
(プライバシー保護の観点で、今回に限らず、変更を加えてあります)
Q-1:現状の外へのゴール設定に関しまして疑問を感じています。
現状の外のゴールのリアリティでいる状態ですと、現状の状態の認識がうまく出来きていない状態なのではないかと感じるようになってしまいました。「現実逃避をしているのではないか?」「ポリアンナ症候群という症状に陥っているのではないか?」と考えてしまいます。
前編はこちら↓
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/22669207.html
Q-2:それゆえ、現状の外にゴール設定することに恐怖心が生まれている感じがしております。うまく現状の外にゴールが設定できている状態と現実逃避やポリアンナ症候群という症状に陥ってる状態とではなにが違っているのでしょうか?
A-2:ポリアンナ症候群(Pollyanna syndrome)は、「心的疾患のひとつ。ポリアンナイズム(Pollyannaism)とも。現実逃避の一種で、楽天主義の負の側面を表すもの」とWikipediaに記載されています。1913年にエレナ・ボグマン・ポーターが書いたベストセラー小説「少女パレアナ(Pollyanna)」および「パレアナの青春(Pollyanna Grows Up)」の主人公 パレアナ(ポリアンナ)にちなんでいるそうです。
一般的には、「直面した問題の中に含まれる(微細な)良い部分だけを見て自己満足し、問題の解決にいたらないこと」「常に現状より悪い状況を想定して、そうなっていないことに満足し、上を見ようとしないこと」とあります。つまり、現状維持マインドです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13628746.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13837769.html
よって、解決は「“現状の外”へのゴール設定」ということになります。その時ポイントになるのが「より抽象度の高いゴールを設定する」こと。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html
“現状の外”へのゴール設定を試みる時、多くの方が同じ抽象度での「まったく新しい何か?」を探しはじめます。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html
もちろん、最初はそれでもかまいません。
しかしながら、同じ抽象度次元での探求に留まれば、進化・向上はできません。ジョブスの表現でいうと、「connect the dots」は実現しません。視点の高さが変わらない(俯瞰することができない)からです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7383761.html
Q-066で宇宙の構造について言及しました。その記事で「つまり、『物理空間(という情報空間の一部)を底面として、抽象度という軸上に階層性をもって広がっている情報空間』が宇宙の構造なのです。抽象度が上がるほど情報量が減っていくのですから、宇宙は四角錐のような構造とイメージできます」と書きました。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14106619.html
そのイメージを、アブラハム・マズロー(1908~1970年)の「自己実現理論(欲求階層説)」と重ね合わせてください。そうすると、ポリアンナ症候群の一般的な定義中にある「上を見ようとしないこと」の問題点が感じられるはずです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9963845.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9966391.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10116950.html
鍵は「抽象度」です。
抽象度が高い次元から低い次元への移動は簡単にできますが、反対(下から上)はなかなかできません。よって、つねに「抽象度を上げる」意識でいることが重要になります。
より高い抽象度次元へ向けて「“現状の外”のゴール」を設定することができれば、そして、ゴール実現の世界を新たなコンフォートゾーンにすることができれば、強力なホメオスタシス(恒常性維持機能)がその世界に導いてくれます。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4831660.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971818.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971956.html
ゴールへ向かうプロセスは、傍から見ると「努力」や「根性」に見えることでしょう。しかしながら、本人にとってはまるで心拍や呼吸のようにあたりまえな感覚です。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19980130.html
その感覚を誤解を恐れずに表現すれば「現実逃避」。ただし、ここでの「現実」とは、ゴール設定により新たにうみだした未来のこと。やがて「R(Reality)」となる「I(Image、Imagination)」のことです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html
ここまでの回答で「 現状の外のゴールのリアリティでいる状態ですと現状の状態を認識がうまく出来きていない状態であるのではないか?」という疑問も解決したのではないでしょうか?
“現状の外”のゴールは、より抽象度の高い次元に存在します。抽象度が高いとかつての現状(現実)も包摂していますので、(必要により)簡単に認識にあげることができます。もちろん、理解が深まった意識状態で新たな気づきを得られるでしょう。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13628437.html
繰り返しますが、鍵は「抽象度」です。
コーチングを実践する者の心理はいつも「現実逃避」で、その逃避先はより抽象度の高い次元にあります。だから、むしろ「逃避」になるべき! 逃避先は未来 !!
「ゴールを達成した未来」という新しい“現実”に向かって、どんどん逃避してください。ホメオスタシスフィードバックを働かせて。
それが止められてもやりたいゴールに向かうときの100% want toの心の状態だと私は思っています。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html
…以上が回答です。
御質問ありがとうございました。
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
小説「少女パレアナ(Pollyanna)」の主人公 パレアナ(ポリアンナ)の「よかった探し(Glad Game)」は、「アドラー心理学でよく言われる『勇気づけ』に近く、相手の生きようとする意思を引きだしている」とWikipediaに記載されています。
その「生きようとする意思」はゴールにより生まれるものであり、未来志向のこと。その未来の確信がエフィカシーなので、「よかった探し」はエフィカシーを高めるためのひとつの方便といえます(ただし、評価の基準はゴールを達成した未来)。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html
私自身は、エフィカシーのことを「覚悟」だと思っています。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19033189.html
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Wikipedia(「自己実現理論」)より引用
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