F-125VW

 

 私たちは、じつは、一人一宇宙に生きています。

 目の前の“現実”は各人の五感で得た情報によりリアルタイムに生みだされ、物理法則という約束事で保たれている幻想にすぎません。つまり、物理的現実世界とは共同幻想。

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 同じ場所にいても、その人の重要度により認識するものは異なります。ある人は壁にかかる絵に見入るかもしれませんし、別の人はその額縁のほこりが気になるかもしれません。わずかに聞こえるBGMに耳を澄ます人もいれば、空調の音にイライラする人もいることでしょう。

その人のその時の関心(重要度)によりRASを通過する情報が選択され、その一部が認識に上がり、残りは遮断されスコトーマに隠れます。私たちはそんな刻一刻と変化する一人一宇宙の中に生きています。いや、一人一宇宙を生みだしているというべきでしょう。

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 一人一宇宙

あたりまえに用いられる言葉であっても、その場で共有する重要度により想起するイメージは異なります。

例えば「PPI」という略語。

消化器科に属する医師や看護師は「Proton Pump Inhibitor(プロトンポンプ阻害剤)」という胃薬(胃酸分泌抑制薬)を想起するでしょう。ところが、緩和ケアに取り組む医療人であれば、死亡直前を予測する指標である「Palliative Prognostic Index」を思い出すはずです。

 

 認識主体の情報処理により、同じ言葉であっても、まったく違う世界がひろがります。その情報処理(認識)のパターンがブリーフシステムです。

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 それでは今回のテーマに入りましょう。

VW」という文字を見たら、皆さんはどのようなイメージが浮かびますか?

 

 

 きっと多くの方が自動車をイメージされたはずです。実際、Google検索に「VW」と入力すると「Volkswagen」ばかりがヒットします。

 

 あるインタビュー記事で「VW」という文字を目にした時、私も車を想起しました。と同時に、強い違和感も覚えました。なぜなら、インタビュアーは“かたい”メディアで、その取材対象者は2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所所長)だったからです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882652.html

 

 その記事によると、山中教授は神戸大学医学部を卒業した後、整形外科医を志したそうです。柔道やラグビーなどのスポーツで10回以上骨折したことがきっかけでした。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

 ところが、「不器用だった」ことから指導医に罵倒され、周囲からも「ジャマナカ」と蔑まれたそうです。ドリームキラーによってエフィカシーを下げられたに違いありません。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 そんな頃、重症の関節リウマチ患者さんを担当。頭蓋骨に釘を刺して首を支えないといけないほど悪化した患者さんに対して、当時の山中教授ができることは点滴だけだったそうです。ある日、ベッドの傍らに飾ってある写真立てに気づいた山中教授は写真に写るふっくらした女性を指して「これは妹さんですか?」と尋ねました。患者さんの答えは「それは12年前の私です」。

 

 その答えに衝撃を受けた山中教授は、「この難病と闘っている患者さんに、私は一体何ができるのだろうか?」と自問したそうです。

しばらく無力感にさいなまれた後、重症患者を救う手だてを研究するために研究者を志すようになりました。それは新たなゴール設定といえます。

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 病院退職後、大阪市立大学大学院の薬理学教室に入学し学位を取得。この頃の山中教授は「どうやったら人の3倍研究できるか」を考え続けたそうで、ハードワークでは誰にも負けないという自信があったといいます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html

 

 4年ほど薬理学を研究した後、ノックアウトマウス(ある遺伝子の働きを失くしたマウス)の作製技術を学ぶため米国留学を試みます。しかしながら、20通以上手紙を送ったもののどこからも返事はありませんでした。もともとは整形外科の臨床医で、研究者としての実績がなかったからです。この時点ではゴールはまだまだ“現状の外”でした。

 

あきらめかけた頃、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と連携する一流の研究機関 グラッドストーン研究所から連絡があり留学できることになりました。留学中、当時の所長 Dr.ロバート・マーリーから教わったのは、「実験がどうこうではなく、生きていく上でのモットーが大切だ」ということ。それは抽象度の高い教えといえます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html

 

そんなマーリー所長がよく口にしていた言葉が「VW」だったそうです。

その「VW」とは、「VisionWork hard」!

 

「一つの成功があったら、その10倍から100倍失敗をしている」と語る山中教授は、「いろいろな失敗や経験を通じて、自分が本当は何をしたいのかを見つけてきた」と話されていました。つまり、失敗はゴールを見つけるための大切な縁起でもあるということ。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

 「iPS細胞が成功し、難病を救う薬が生まれた未来」をイメージし(ビジュアライゼーション)、「患者さんに薬を届けだしました」と口にすること(アファメーション)を繰り返しながら、度重なる逆境を乗り越えてきたそうです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_292583.html

 

 山中教授の心の中のIImageImagination)は、ビジュアライゼーションとアファメーション、そして何よりも「Work hard」によって、ますますVividとなり、誰もが共有する現実(Reality)になろうとしています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

 最後に、「日本の論点2011」(文藝春秋)より引用します。

 

 

 うまくいかないことも当然ある。私の研究も不運や失敗の連続だった。しかし歯を食いしばって次のステージに進むと、かつての挫折がじつは次の跳躍のバネになっていることがわかる。屈めば屈むほど、高くジャンプできるのだ。

 苦しいときこそ、ビジョンを確認し、次のジャンプに備える。むしろ調子のいいときこそ、気を引き締める必要がある。まさに「人間万事塞翁が馬」である。

山中伸弥 京都大学iPS細胞研究所所長 

 

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1

失敗はゴールを見つけるための大切な縁起でもあるということ

 

釈迦が説いた「縁起」は、「観測者(認識主体)の知識、知能が上がれば上がるほど観測(認識)される宇宙は『たいしたことがある』ものになるという可能性」を示しています。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_268332.html

だからこそ、教育や学習が重要であるといえます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_124525.html

 

 

-追記2

 ビジョンに向かって励む山中教授は日々「connect the dots」しているわけですが、そんな教授に対して研究費打ち切りを通告(201989日)した首相補佐官と厚労省大臣官房審議官のコンビは、公費を使った「京都不倫出張」を疑われ、今国会では海外出張時の「connect the rooms」が問題視されています。

 この現状は「VW」の大切さをしっかりと示しています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7383761.html

 

 

山中伸弥教授(Wiki)

山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所所長)

Wikipediaより引用