Q-127190919リスクマネジメント研修会(医療法人、鹿児島県)Q&A -06

 

 20199月、鹿児島県の医療法人にて、「リスクマネジメント」をテーマとした研修を行いました。タイトルは「すべてはマインド(脳と心)が生みだしている ~イヤな気持ちをエネルギーと創造性に変える科学的方法~」です。

 内容について御紹介し、いただいた御質問や御意見に対して回答いたします。

 研修内容はこちら(Q-122)↓

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/21034051.html

 

研修後のアンケートにはたくさんのコメントをいただきました。ありがとうございます。

 アンケート結果概要(Q-123):

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/21141120.html

 

 いただいた御意見・御質問に回答いたします。まずは「印象に残ったもの」です。

 

 

当日の研修ではこんなケースを紹介しました。私のいくつかの経験をもとにしたものです。医療・福祉関係者以外の方も、ぜひ“気楽”に考えてみてください。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19980130.html

 

 <ケースワーク:入院(入所)患者さんが転倒してしまった事例>

認知症の合併があり、昼夜問わず徘徊している高齢男性患者さん。下肢筋力低下やバランス障害の進行により転倒することが増えていた。事故防止のために腰ベルトを用いた車イス離床を行うことを検討したが、家族が「親父を縛りつけるのか!」と強く反対したため実施できずにいた。そんな折、食事中に突然立ち上がった患者さんが転倒。とても痛そうにしており、動くことができない。どうやら骨折していそう

 

Q1:家族に報告する際、どのようなことを心がければいいでしょうか?

 

検査にて大腿骨頸部の骨折が判明。再度家族に連絡すると、「骨折とはどういうことだ!あなたたちの安全管理はどうなっているんだ!! 責任者を出せ!!!」と怒りまくっている。

 

 Q2:どのような対応をするべきでしょうか?

 

 

 四苦(特に老病死)の場である病院や施設では、転倒・転落による骨折や誤嚥による窒息・肺炎は決して珍しいことではありません。

 もちろん一番大変なのは患者さん本人ですが、医療・福祉従事者にとっても辛く苦しいものです。その苦しみを「ファイト・オア・フライト」が増幅します。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8164566.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166289.html

 

 

・自責(という言葉)

 

A:このようなケースでは、2つの対応の仕方があります。

「だから、腰ベルトを用いた車イス管理にしましょうと言ったではないですか。『それはやめろ』と言ったのはあなたでしょう!」と、「自分には責任がないこと」を前提に相手を責めるパターン。

もう一つは、相手を責めたい気持ちをぐっとこらえて、「それだけ父親を思っているのだな。転倒により骨折する可能性はしっかり伝えたはずだが、しっかりイメージできていなかったんだな。もっといい伝え方はできなかったかな?」と客観的に状況を見ようと努め、自分の責任も認めるパターン。

前者が「他責」、後者が「自責」です。

 

じつは、心の傷(の深さ)を決めるものは、出来事そのもののインパクトではないことが明らかになっています。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10114934.html

 

 

100%相手のせいにすれば、自分も相手も傷つける

 

A心の傷(の深さ)を決めるものは「理不尽度」です。そして、その理不尽度は「自己責任感の大小」で決まります。

ショックな出来事に対して「自分にも責任がある」と感じる人にとって、その出来事の理不尽度は小さくなります。反対に、その出来事に対して「自分には責任がない」と感じる人にとっては、理不尽度はとても大きくなります。

 

つまり、「自分にも責任がある(自責)」と考える人の心の傷は深くはならず、その一方で、「自分には責任がない(他責)」と考える人の心の傷はとても深くなってしまうのです。

よって、100%相手のせいにするような生き方は、相手ばかりではなく自分自身も、つまりみんなを苦しめる生き方であるといえます。

 

 

・自分の非を認めることが成長につながるという言葉

 

A:「他責」の問題点は他にもあります。「自分には責任がない」として相手を責める人の無意識は、「だから自分は変わらなくていい」と現状を肯定します。それではコンフォートゾーンは変化せず、ますますスコトーマは外れにくくなります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

 反対に「自分にも責任がある」と考えられる人の無意識は、責任を果たすために働き続けます(もちろんwant toで)。その結果、貴重な気づきを得られ(スコトーマが外れる)、新たな解決策を“発見”するのです(「Invent on the wayby Mr. Lou Tice)。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html

 

 

・自分のことだけでなく他者のことを考えること

 

Aその積み重ねは、個人を成長させ、組織(チーム)を進化に導きます。なぜなら視点が上がっていくから。視点とは抽象度のことです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html

 

 「自分のことだけでなく他者のことを考える」というのは、「“自分”の定義を大きくしていく」ことと同意です。「家族まで含めて自分」→「地域の人まで」→「日本の」→「アジアの」→「地球の」→ という変化は「抽象度を上げる」ことであり、「人間形成」を実現します。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9963845.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9966391.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10116950.html

 

 

・過ぎたことは忘れて未来をみつめていくこと

 

A「“自分”の定義を大きくしていく」というのは、空間的な広がりだけではありません。「今の“自分”」→「5年後の」→「10年後の」→「30」→「50」→「100」→「300」→と考えるようになるにつれ、ダイナミックな時間の流れをさらに体感できるようになります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

 そんな体感でいると、「『それはやめろ』と言ったのはあなたでしょう!」といった責任を押し付ける発想はなくなります。相手の言動も“自分”の範囲内であり、意識は未来にあるから。「済んだこと(過去)はどうでもいい」「そもそも気にならない」といった感じです。

 

 

・ゴールの設定をつくって、他責ではなく自責を感じて、幅広く考えていくことが必要であると思いました

 

A:そのとおり!

だからコーチング!! だからゴール設定!! です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

「責任を感じて苦しめ」とか、「落ち込め」という意味ではありません。

過去の方法論は「自分はなぜ失敗したか?」を検証し矯正することを重視したようですが、現代のコーチングには矯正という発想はありません。ゴールを実現するためのヒントを探し出し、ゴール実現に近づいていくのみです。

それはスリータイムフレームでいう未来に生きるということ。責任とは未来で果たすものといえます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13958864.html

 

Q-128につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)