F-120:男はつらいよ

 

 私が子どもの頃、盆暮れに必ず上映される映画がありました。山田洋次監督(1931年~)の「男はつらいよ」です。

 上映期間中、映画館の入口にはいつも立て看板が飾られていました。渥美清さん(19281996年)演じる主人公 寅さん(車寅次郎)の明るい笑顔と「男はつらいよ」というネガティブなタイトルのギャップを不思議に感じながら眺めていたことを覚えています。

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ティーンの頃、私は洋楽や洋画にどっぷりはまっていました。表向きは無関心を装っていましたが、心の内では「男はつらいよ」の新作を楽しみにしていました。自由気ままな寅さんの生き方に憧れていたのだと思います。

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今の若い世代にとって、寅さんの人物像は、自分勝手で、パワハラ・モラハラ・セクハラの塊のように感じられるのかもしれません。ネット上で「自分は好き放題しておいて他人のやっていることには口をはさみ、逆に自分が指摘されると逆ギレする」という人物評を見かけました。確かにそんなドタバタが毎度お約束のように描かれていました。

 時代は昭和から平成、そして令和へと移りゆき、人々の価値観も大きく変化したのでしょう。まったくそのとおりだと納得する一方で、少しだけせつなさも感じました。

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 私はなぜ寅さんに惹かれているのだろうか?

 時代に洗脳されていたのだろうか?

 

 そんなことを考えていたら、不意に「寅さんのゴールは何だったのだろうか?」「山田監督の意図はどのようなものなのだろうか?」ということが気になりだしました。

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 ところで、すごく怒られたのに、むしろうれしかったことはありませんか?

 本気で叱ってくれたことをありがたく感じることはありませんか?

 

 私の体験を分析すると、心に響くときはいつも、怒ってくれる人の意識は相手側にあり、未来を向いていました。「ゴールを達成した未来のあなたにふさわしくない」と断言する感じです。

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 ありがたいことに、本気で「あなたらしくない」と叱ってもらうたびに、私のエフィカシーは上がっていったのだと思います。

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そういう体験の後は、確かに向上することができました。それも自然な感じで。

コンフォートゾーンがゴール側に書き換わり、ホメオスタシスが「(ゴール側の)あなたらしい/私らしい」を実現するために働いたからでしょう。

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国民に愛され続ける寅さん(&寅さんを生みだした山田監督)はきっと、常に相手の立場に立っていたはずです。

そんな仮説を検証してみたくなって「寅さん語録」(ぴあ)を読み返していたら、こんなセリフを見つけました。198712月に公開されたシリーズ39作目「男はつらいよ 寅次郎物語」において、甥の満男に「伯父さん、人間は何のために生きているのかな?」と問われたときの寅さんの答えです。

 

あぁ生まれてきてよかったな、って思うことが何べんかあるじゃない。そのために、人間、生きてんじゃねえのか

 

 

 1作の公開から50年が経った2019年の年の瀬に、シリーズ50作目となる最新作が公開されました。満男や妹のさくらなど縁ある人々の記憶の中でよみがえる寅さんの姿は、まさに生まれてきてよかったなと思うために生きている」というものばかり。

 

学歴や実績といった過去や社会的価値観などをまったく気にすることなく「生まれてきてよかったと思える自分であり続ける」という生き方を貫くと、周囲との摩擦や衝突は避けられないのかもしれません。寅さんのように。

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それでもそれらすべてを自ら引き受けて生きようとする覚悟が、「つらいよ」という言葉に凝縮されているような感じがしました。「男はつらいよ50 お帰り寅さん」鑑賞後の余韻の中で。

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 最後に、コーチとしての私の心に響く寅さんの名言を御紹介します。

 

 

 ほら、見な、あんな雲になりてえんだよ

  -「どうして旅に出ちゃうの?」と尋ねる妹さくらに対して

  第9作「男はつらいよ 柴又慕情」

 

 旅というものはな、行き先を決めてから出かけるもんじゃねえんだよ

  -就職活動に疲れて家出した甥の満男の気持ちを代弁して

  第46作「男はつらいよ 寅次郎の縁談」

 

 じゃ、また夢の続きを見るとするか

  -御前様の「人生は夢みたいなもの」という言葉を伝え聞き旅立つときの言葉

  第41作「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1

 医師としての私の心に響く言葉も紹介しますw

 

 レントゲンだってやっぱりね、あれ、ニッコリ笑って写したほうがいいと思うの

 だって明るく撮れるもの、そのほうが

  -寅さんが岡山のお寺で和尚と娘・朋子に話した健康診断にまつわる話

  第32作「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」

 

 

-追記2

 「伯父さん、人間は何のために生きているのかな?」と寅さんに尋ねた時の満男は18歳という設定です。映画で描かれているとおり、自分という存在についての内省はティーンの頃からすでに始まっています。

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よって、「スピリチュアルペインへの対処は、人生の最終段階(end of life stage)だけではなく、青春期にこそ行うべきである」というのが私の意見です。もちろん、そのためにコーチングがとても役に立ちます。

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医療・介護現場で緩和ケアとしてコーチングが応用されているだけではなく、教育現場で希望を見いだすためにコーチングが活用されていることを夢見ています。そして、誰もが根源的な“痛み”から解放されていることを強くイメージしながらこのブログを書いています。
 今回はここまで。では、また夢の続きを見るとしましょうw

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