ブログ・シリーズ編
S-03:心のエネルギーとは何か? ~カナックス事件に学ぶ“心のエネルギー”をコントロールする方法~
S-03-10:「すさまじい“怒り”のエネルギーはどのように発散されたのか?」の「すさまじい」について
シリーズ編第3弾(S-03)は、「心のエネルギーとは何か?」をテーマに、怒りに代表される情動の正体やその向き合い方について考察したいと思います。ぜひ皆さん自身の経験を振り返りながら読み進めてください(Don’t think. Feel!)。
告知(I-035):
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S-03-00(目次):
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うつは「心のエネルギー不足」といわれています。その“エネルギー”とは一体どんなものなのでしょうか?
私は「『心のエネルギー』は概念(情報空間)の階層の高低差から生まれる」と考えています。
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2011年6月15日、カナダのバンクーバーで、100人以上が逮捕され、130人以上の市民と9人の警官が負傷(うち12人は刃物での刺傷)するという事件(暴動)が起こりました。そのきっかけは“アイスホッケーの試合”でした。
では、すさまじい“怒り”のエネルギーはどのように発散されたのでしょうか?
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「すさまじい“怒り”のエネルギーはどのように発散されたのか?」を、1)すさまじい、2)“怒り”、3)エネルギー、4)どのように、5)発散された、の5つに分けて考えたいと思います。
S-03-06「3)エネルギー」:
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S-03-07「4)どのように」:
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S-03-08「5)発散された」:
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S-03-09「2)怒り」:
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最後は「1)すさまじい」について。
エネルギーそのものは、「概念(情報空間)の階層の高低差」から生じています。
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しかしながら、このケースでは、そのエネルギーが“すさまじい”ほどに燃え広がりました。その理由として、私は3つの要因があると考えています。1つ目は「重要性」、2つ目は「希少性」、そして3つ目は「ホメオスタシス同調」です。以下、簡潔にまとめます。
カナダ人にとって、アイスホッケーは特別かつ重要なものです。なぜなら、カナダの国技だから。国技とは「国家が特別の地位・待遇を与えるもの」(Wikipediaより)であり、法令で定められています。
対するアメリカ合衆国には法令で定められた“国技”はありません。Wiki.には「国民に親しまれて国の文化に重要とされるもの」として、ベースボール、アメリカンフットボール、バスケットボール、そしてアイスホッケーがあげられていますが、厳密にいうとそれらは国技ではありません。
カナダ人にとってのアイスホッケーの重要性が、エネルギーを発火しやすくしたといえます。少し大げさに言えば、それはカナダ人の(評価関数としての)“自我”です。
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2つ目の「希少性」は「タイムラグ×初優勝」だと考えてください。カナックスは1982年と1994年の2回、スタンレーカップの決勝に進出しています。1982年は完全に敗北。それから12年後の1994年は3勝3敗で迎えた最終戦で惜しくも敗れました。つまり、2011年は18年ぶりにようやくつかみ取った初優勝のチャンスだったのです。
3-3での最終戦を地元で迎えたファンの期待が、その希少性によって、エネルギーをさらに燃えやすいものへと変えました。
ホメオスタシス(Homeostasis)とは、「恒常性維持機能」と訳される生体の働きのことです。外部環境の変化にかかわらず、体温や血圧、心拍数などをある一定の幅に保つことができるのは、この機能によります。
人間の場合は、進化の結果として、ホメオスタシスの能力が物理空間から情報空間にまで拡張しました。その事実を世界に先駆けて提唱したのは認知科学者 苫米地英人博士です(「サイバーホメオスタシス仮説」)。
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http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971818.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971956.html
そのホメオスタシスは、なんと、同調します。それは人間の特性であり、「心理的感染効果」や「ラポール(rapport)」として知られているものです。
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「カナックス」より一段上の「カナダのチーム」というフレームで通常より大きなエネルギーとして蓄えられたとはいえ、そしてそれが重要かつ希少だったといえ、たった1人の話であれば町中が炎上するような事件にはならなかったはずです。商店のガラスを割った時点で「ハッと我にかえり(あるいは叱られて)おしまい」です。
事件当日の写真を確認すると、多くの若者がともに行動しているように見えました。10数人が協力して車をひっくり返している写真がありましたが、その時若者たちは「怒り」を共有していたと考えられます。それぞれの「怒り」がシンクロし「すさまじい怒り」に燃え広がりながら、そして抽象度を下げながら、さらに拡大していったのです。
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「朱に交われば赤くなる」という言葉のとおり、怒りが感染・拡大し、バンクーバーの町が赤く炎上してしまいました。もちろん、その「怒り」とは、「動物的怒り」であり「私憤」です。
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…ここまでの分析をシンプルにまとめると、A)概念の階層にエネルギーが生じる→B)無意識レベルでエネルギーを知覚→C)意識化(エネルギーの情動への転換)→D)物理次元で発散、といえます。
では、「怒り」に支配されないためにはどうすればよかったのでしょうか?
…次回から、「『心のエネルギー』のコントロールの方法」について考えていきましょう。
(S-03-11につづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
「日本の国技は?」と聞かれたら「相撲」と答える方が多いと思いますが、じつは、日本には“国技”は存在しません。法令で定められていないからです。
そもそも国技を法で定めることは妥当なのでしょうか?
マナー、ルール、モラルについては下記ブログ記事で↓
S-02:自由に生きるために ~マナー、ルール、モラルについて考える~
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_368012.html
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