Q-115:「秘密のワーク」やってみました 後編;臨場感をさらに高めるために

 

 「F-097:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.4」内で御紹介したワークに関して、御意見をいただきました。ありがとうございます。

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「秘密のワーク」やってみました。ラベリングは知ってましたが、これほど簡単で効果的なんだと改めて驚きました。そして、今回の「すでにゴールを達成している自分を確定するワーク」も良かったです。

臨場感を如何に高めるか?という部分でまだ改善の余地があります。

 

 

 前回(Q-114)、ラベリングを行うだけで、扁桃体を含む大脳辺縁系に対して前頭前野優位の状態にすることができることを紹介しました。

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 「戦うか、逃げるか(闘争か、逃走か)」という状態ではなく、完全にリラックスした状態をしっかり保つことは、「臨場感を如何に高めるか?」という観点でもとても重要です。

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 臨場感とは「まるで現実に体験しているかのような感覚」のこと。夢をかなえる方程式「I×V=R」でいえば「V=Vividness(鮮明さ)」に相当します。

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 あるイメージ(I=Image、Imagination)の「V=Vividness」が高いとそのイメージは現実(R=Reality)になるというプリンシプルのカラクリは、「臨場感が高いほど内部表現を書き換えやすくなるから」。臨場感が高いほど内部表現を書き換えやすくなるのは、「ホメオスタシスを働かせることができるから」です。

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 自分が思い描くイメージの世界(I)に高い臨場感を持つことができれば(V)、ホメオスタシスレベルをずらすことができ、コンフォートゾーンが変化します。

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 コンフォートゾーンが変化していく過程で次々と気づきを得られ、反対に今まで気になっていたこと(ブレーキになっていたこと)が気にならなくなります。RAS(ラス)のフィルターを通過する情報が変化し、イメージ実現に無関係なことがスコトーマに隠れるからです。

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もちろんモチベーションは100% want toの状態。756倍の生産性を自然に発揮し、あふれだすクリエイティビティとパワーで、そのイメージを実現していきます。

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 これらのマインド(脳と心)内での変化は、個人レベルにとどまりません。私たちは「一人一宇宙」という各自の幻想の世界に生きている一方で、その幻想を共有することができるからです。

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 共有したイメージの世界(I)に高い臨場感を持つことができれば(V)、同じようにホメオスタシスレベルをずらすことができ、コンフォートゾーンを共有することができます。その時に生まれる“親近感”を「ラポール(rapport)」と呼びます。

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 ラポールが形成されるような状況では、同じようなことを認識し、同じように理解し、似たような評価で、同じような判断を行うようになります。その結果、物理空間での言動も似た感じになっていくのです。まるで思考や行動が感染したかのように。

 

 サッカーを例に考えてみましょう。サッカー好きな人には、トップ選手たちのPK失敗が連鎖してしまった試合の記憶があるはずです。

 

 私が真っ先に思い出すのは1986年のFIFA W杯メキシコ大会です。準々決勝のブラジルvsフランス戦では、ブラジルの「白いペレ」ジーコが後半のPKを失敗しました。1-1のまま延長に突入するも決着がつかず迎えたPK戦では、フランスの「将軍(Le Roi)」ミシェル・プラティニがPKを外しました。

 1994年のW杯アメリカ大会の決勝戦(イタリアvsブラジル)も有名です。スコアレスドローのまま迎えたPK戦において、イタリアの4人目マッサロが失敗しました。2-3とリードを許しでてきた5人目のキッカーは、「イタリアの至宝」ロベルト・バッジョ。しかし、絶対的エースの蹴ったボールはゴールを大きく超えていきました。

 偉大なレジェンドたちに一体何が起こったのでしょうか?

 

 …興味深い研究を御紹介します。情報通信研究機構・脳情報通信融合センター 池上剛氏とフランス国立科学研究センター ゴウリシャンカー・ガネッシュ氏のダーツの実験です。

ダーツ熟練者のグループに素人が投げた映像を見せ、その動作から的のどこに刺さるかを予測してもらった後、実際に刺さった場所を伝えました。これを繰り返すと、熟練者の予測精度は高まりました。素人がどこに矢を命中させるかわかるようになったのです。

その後、熟練者にも矢を投げてもらうと、熟練者の(素人の投げた矢に対する)予測精度が上がるにつれ、(熟練者自身が投げた矢の)命中率は下がったそうです。

別の熟練者グループには、素人が投げた矢の命中結果を教えませんでした。当然、予測精度は低いままでしたが、熟練者自身のプレーには影響がでませんでした。

 

 この「下手な人のプレーをしっかりと観察したら、熟練者も下手になった」という結果から、人の動きを見てそれを理解(予測)する脳の働きは、自分が同じ動きをするための脳の働きと共通点があることが明らかになりました。

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 それはもちろん、「上手なプレーをしっかり観察したら、素人も上手になる」ということでもあります。実際、誰かがブレークスルーを起こすと、次々と続く人がでてきます。スポーツに限らず、あらゆる分野において。

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 たった一人のevolutionが、みんなのrevolutionにひろがっていく

 

 やがては社会を動かすような大いなる力がマインド(脳と心)には眠っています。その力を引きだすものがコーチングです。今回はワークに関していただいた感想に回答していますが、ワークを通じて「臨場感を如何に高めるか?」も同じ。鍵はコレクティブエフィカシーです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

ゴールを共有した同志が集まり、100%want toで取り組むワークには特別な力が宿ります。私がセミナーを開催する際は、ぜひまたお越しください。参加者一人ひとりの存在自体が「臨場感をさらに高める」大切な要因です。

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苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 「上手なプレーをしっかり観察したら、素人も上手になる」

 …私たちコーチには「上手なプレー」をしっかり見せ続けるという大切な役割があります。その役割自体を心から楽しみながら、さらなる“現状の外”に軽やかに飛びだしていく存在であり続けたいと思っています。

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ロベルト・バッジョ(Wiki.)

ロベルト・バッジョ

(1990年、FIFA W杯イタリア大会時)

Wikipediaから引用