F-423:微笑み返し <後編;コーチが微笑みとともに伝えること>
医療・介護の現場はとても過酷です。そんな場で働く医療従事者でもあるコーチが、先日、こんな秘密を教えてくれました…
怒っている人には優しさで返しています
…いつもニコニコされているコーチの話を伺いながら(trigger)、私は過去に経験した看取りを思い出していました(anchor)。
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それは70代後半の女性の“人生最期の瞬間”の記憶…↓
F-421:微笑み返し <前編;ゴールに関係ない感情は…>
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その患者さんの息子への対応中に、私はずっと怒りを感じていました。自身の中の怒りに気づくたびに苫米地式らしく意識に上げていたことが↓
F-422:微笑み返し <中編;“思考の言語化”のために…>
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私が観察する限りでは、ほとんど全ての人が死をhave toと捉えています。その結果、大脳辺縁系優位になりがちで、言動が情動に支配されがち。もちろん医療従事者においても、多くの人がこの状態(死=have to)に囚われているはずです。
F-409~:病院嫌い ~最適化の外側で遊べ!~
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そもそも死をwant toにすることはできるのでしょうか?
もしもできるというのなら、どのようにすればいいのでしょう?
最初(F-421)に紹介した息子にとって、母親の死はhave toでした。それだと死は苦しみのまま。心の中にhave toが潜んでいると、死だけではなく、生きる(生まれる)ことも、老いることも、病気になることも、苦しみとなります。
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その「生老病死」のことを、ご承知のとおり、仏教では「四苦」と表現します。「老いることは苦しみである。病になることも苦しみである。死ぬことも苦しみである。そして、それらの苦のはじまりとして、そもそもこの世に生まれることが苦しみである」という釈迦の気づき(四門出遊)に由来するのが「四苦=生老病死」です。
PMⅠ-04-06:生老病死の四苦とスコトーマ
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その「四苦=生老病死」とは、すべて抽象度0の物理空間上の現象です。
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前頭葉が発達した人間にとっての宇宙とは、決して物理空間に限定されるものではありません。底面である物理空間のはるか高次元に階層を持ってひろがっている情報空間すべてが宇宙です。
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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
そして、その情報空間すべて=全抽象度次元に生命現象はひろがっています。
F-381:ロバート・メーガーの「3つの質問」 <vol.1;「すべてが情報である」>
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生命現象は全抽象度次元にひろがっている
…抽象度というのは「情報空間における視点の高さ」のこと。上にいくほど(=「抽象度が上がる」「抽象度を上げる」)、具体的情報量は減っていきます。つまり、シンプルになり、秩序だっていくということ。
反対に、下にいくほど(=「抽象度が下がる」「抽象度を下げる」)、具体的情報量は増えていきます。それは「より複雑になり、混沌・カオス化していく」ということ。人間の身体でいうと、「体→器官系(system)→臓器(専門的には器官/organ)→細胞…」という感じです。
L-104:2021年8月シークレットレクチャー -06;「私」とは何? <前編>
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私たちは、つい「一人の人間の命はひとつ」と考えてしまいますが、「一」であるはずの体は60兆個をこえるたくさんの細胞の集まりです。その一つひとつが生きているからこそ、全体としての“ひとつの命”が成り立っています。
無数の細胞(部分)が器官を形成し、たくさんの器官が見事に連携しながら“ひとつの命”(全体)を成り立たせている
…それはゲシュタルトだといえます。
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そんな“ひとつの命”に関わるのは自らの組織だけではありません。
例えば、腸の中には100~3000種類の微生物(主に細菌)が100兆~1000兆個ほど存在するとされています。総重量はなんと1kg以上です。
この腸内細菌の種類や数に私たちの健康状態が左右されることは、すでに科学的に立証されています。さらに最近は、人間の心の状態とこれら腸内細菌との相関まで指摘されています。まさに縁起!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
この「一人の命を構成しているたくさんのいのち」という関係を人類(または地球)と地球上で暮らしている80億人の関係に当てはめると、「人類(または地球)という一つの大きな命(全体)を構成しているたくさんのいのち(部分)」が私たち一人ひとりの命であるといえます。
つまり、私たち一人ひとりはより大きな人類(地球)という生命の一部。縁起のネットワークのひとつの結び目です。
F-171:アンチからウィズ、そしてウェルへ vol.4-3「死」;well-aging
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24786250.html
私たち一人ひとりは縁起のネットワークの結び目
…それが苫米地博士の「自我」の定義。部分関数としての自我です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
例えば、物理空間において“寝たきり状態”で能動的に機能を発揮できないとしても、その姿から誰かが何かを得たなら、それは立派な貢献といえます。その時の貢献は情報的なもので、“認識者”の情報宇宙にひろがっていきます。
L-030:2020年3月… -08;75歳以上では延命治療は不要?<プランサイド>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26197802.html
よって、どんな状況でも、貢献し続けることは可能!
そもそもすべてが情報です。その情報を私たち人間は臨場感豊かに感じることができます。だからこそ、死後も貢献し続けることができるのです。縁ある誰かが存在し続けるかぎり↓
F-243:人は、生きている時は自分の心の中、亡くなると親しい人の心の中にいる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28791954.html
例えば「死後に献体する」という場合、「献体」という物理空間での行為だけではなく、「『献体』の意思表示が縁ある者に与えた影響」そのものがすでに立派な貢献です。
そこから学んだ何かを誰かが活かし続ける限り、献体を希望した者の貢献は続くことになります。たとえ死後に献体が行われなかったとしても。
F-157:指一本でも役に立ちたい
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23874668.html
なぜでしょうか?
…そう、すべては双方向の関係性であり、縁起だから。私たち人間の場合、その縁起宇宙(超情報場)にはホメオスタシスが働いています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
物理的には必ず死を迎えますが、情報的には死ぬ(=消滅する)ことはありません。縁によりスコトーマが外れ、縁によりスコトーマに隠れるだけです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
その理(=不生不滅)を理解し体得することが“「四苦」を超越する”こと。そのような意識状態で生きている人が“微笑み返し”を行うたびに、きっと大きな“何か”を伝えることができるはず
…「怒っている人には優しさで返しています」というコーチの言葉を縁に、私は、このようなことを考えました。
F-390:“心身の不調”の一考察 <vol.6(最終話);根治的解決法 ver.2>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36459545.html
以下、認知科学者
苫米地英人博士の著書「近未来のブッダ 21世紀を導くリーダーの鉄則」(サンガ、p78)より引用します。「広がりゆく存在の意識」を感じながら、ゆっくりと読み進めてください。Feel!
広がりゆく存在の意識
仏教とは「縁起の教え」で、縁起をわかるためにいろいろな修行法があるというのが基本だと私は考えています。縁起がわかりにくいので「空」という考え方や、いくつもの修行の方法論が発明されているのです。
修行を続けて悟りの階梯の中で縁起が本当にわかると、自分という存在が宇宙全体に広がるし、最低でも人類みんなに広がります。帰属意識の話をすでにしましたね。修行によって前頭前野が鍛えられ、思考の抽象度がどんどん上がっていくにつれ、「私」「私の家族」というこぢんまりとした帰属意識は、学校や会社、地域の人、市区町村、都道府県、日本、アジア……どんどん広げていくことができます。その最たるものが、「慈悲の瞑想」として世間で言われている「生きとし生けるもの~」です。
そして、そうした自分が存在するこの世の中でなんだかんだと役に立つことが大乗の世界、慈悲の世界です。大きな煩悩を認める。その瞬間に前頭前野を使って「私は何をできるか」を考える。その行為を慈悲というのです。
「他の人のため」の慈悲ですが、大きな慈悲なら、その「他の人」に自分も自然と入ってきます。たとえば、「この世から戦争と飢餓をなくす」ことという私のゴール設定の対象は「全人類」です。そこにはもちろん「私」が含まれているわけです。
大事なのは、慈悲は必ず行為を伴うということです。行為のない慈悲はあり得ません。自分以外の人に役立つ行為が慈悲なのです。
引用終わり
広がりゆく存在の意識 …自分が存在するこの世の中でなんだかんだと役に立つことが大乗の世界、慈悲の世界
…私が「怒っている人には優しさで返しています」と話すコーチから感じ取ったのは、この「大乗の世界」「慈悲の世界」の感触。
F-209:マトリックス/Matrix -04<Resurrections;慈悲的人類の進化>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27122988.html
その体感をコーチングのフレームに変換すると、「コレクティブ・エフィカシー」です。
Q-310~2:私のまわりではそうでもないです。私が気づいていないだけかもしれませんけど…
<vol.5~7:コレクティブ・エフィカシー>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31049084.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31078775.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31102405.html
大乗の世界 =慈悲の世界 =コレクティブ・エフィカシー
…それが高抽象度次元へのアクセスを示す“微笑み”とともにコーチが伝えることだと気づきました。私なりに一言でいうと、“無敵”。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5446097.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5448151.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615695.html
それは死さえもwant toに変える生命現象“覚醒”の秘訣だと思っています。
Q-429:宇宙は「包摂半順序束」。そのtopである空(くう)は「有と無を包摂する概念」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36937284.html
CoacHing4M2 EDGE
CoacH T(タケハラクニオ)
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次回のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。2026年春に配信を開始する予定です。
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クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
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-関連記事-
F-044~:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから学んだこと
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F-129~:The Sweet Hello, The Sweet
Goodbye
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F-399~:縁起から得た“希望/HOPE”の体感
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_431198.html
F-407:自由訳「守破離」
vol.5(最終話);苫米地式「守破離」の真髄
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37145932.html
L-142:2021年11月小学校親子講演会(鹿児島県)-05;人の成長(人間形成)や進化・向上は情報空間で起こる
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