F-186:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」との縁で気づいたこと -03;3つの“感染症”
今まで私は「感染症」は物理空間、すなわち「身体的苦痛」がメインであり、その対処は主として物理空間で行われるべきと考えていました。例えば「どの抗菌薬を、どのくらい使うか」といった具体的な対処を重視するというように。
ところが、昨今の「新型コロナ感染症(COVID-19)」にまつわる状況を考察するうちに、今までとは違う考えに至りました。スコトーマが外れたのです。
3つの視点でまとめます(今回は2つ目)。ぜひ「抽象度」や「超情報場仮説(理論)」等を意識に上げながら読み進め、これまでのゲシュタルトをconnectしてください。
新たな気づき(発見)のきっかけになれることを願っています。
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01;抽象度&超情報場理論
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02;コロナ虚弱(フレイル)
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03;3つの“感染症”
新型コロナ感染症の流行状況と相関して心の不調が増えています。
アメリカ国勢調査局が8万人以上を調査(2020年6月上旬)した結果、25~39歳の32.2%にうつ症状を認めていることが判明しました。
新型コロナ感染症による“心の危機(クライシス)”は、欧米と比べ感染症者が少ない日本でも認められています。精神保健センターのまとめによると、感染が増えはじめ一斉休校が行われた頃(R2.2/7~3/31)の相談件数が1742件(2か月間合計)だったのに対して、1回目の緊急事態宣言がだされた同4月が4946件、翌5月が4761件と急増していました。
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厚生労働省HPより引用
これまでの私は、発熱や倦怠感、食欲不振といった身体的症状を引き起こす「感染症」を情報空間の底面(物理空間)で認識し、医師としてその次元で対応していました。
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感染症に対して、「非感染性疾患(NCDs:Non-communicable diseases)」という疾患概念があります。これは飲酒や喫煙、運動不足といった生活習慣(日常生活因子)、不安やうつ病といった心理・精神的因子、そして大気汚染や気候変動など環境の影響(社会的因子)を主因とする疾患の総称です。
公益社団法人 日本WHO協会HP>…>非感染症疾患
https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/noncommunicable-diseases/
「感染症」は物理空間という一つの抽象度次元で、そして「非感染性疾患(NCDs)」は複数の抽象度次元で認識し対応していた…というのが今までの私です。
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WHO(世界保健機関)の健康の定義を用いると、日常生活因子を「physical」、心理・精神的因子を「mental」、社会的因子を「social」と考えることができます。「spiritual」まで加えたすべての面(state)で“well-being”なのがWHO版健康です。
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コロナ禍の間に、たとえ感染症や外傷など物理的要因が明らかに大きい場合であっても、やはり高次の情報空間までカバーすることが大切であると感じました。医療が対象とする生命(現象)は多次元にわたる情報(処理)なのですから、よくよく考えると当然のことです。
あらためて「人にはマインドがある」「人とはマインドである」と思い知りました。
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人々の心や社会の在り方にまで影響を与えている新型コロナ感染症(COVID-19)は、身体面ばかりではなく、心理・精神的、そして社会的な側面まで含めて“感染症”と捉えるべきであることを明らかにしました。そんな中、“3つの感染症”という概念がひろがりをみせています。
1つ目は「生物学的感染症」です。これは従来の感染症のことで、肺炎などの身体的感染症そのものを指します。
2つ目が「心理的感染症」。「感染したら怖い」という恐怖や「仕事が減ったらどうしよう」といった不安が個人の心を蝕み、うつ病や適応障害、様々な依存症といった心の病気が起こることを指します。
そして、3つ目が「社会的感染症」です。恐怖や不安が社会に広がり、嫌悪や偏見、差別となって社会を蝕みます。今も続く医療機関や関係者へのバッシングや欧米でのアジア人差別などがその例です。
CDCの「ファイト・オア・フライト(闘争逃走反応)」でいうと、「心理的感染症」が個人レベルの「ファイト・オア・フライト」、そして「社会的感染症」が集団レベルでの「ファイト・オア・フライト」といえます。
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これら“3つの感染症”は密接につながり合っています。それらをしっかり多次元の抽象度にまたがる1つのゲシュタルトと捉え適切に対処しなければ、人と人、国と国、そして世代間の信頼関係など、すべての関係性が壊れてしまいます。そもそも私たちは“関係”であり“つながり”なのです。
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では、どうすればよいでしょうか?
私の場合、感染症や非感染性疾患に関する知識がスコトーマを生み、「感染症=物理空間」という思い込みをつくりだしていました。この場合の「思い込み」は「フレーム」と同義です。
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御承知のようにスコトーマの鍵は 1)知識、2)重要性、3)役割 です。知識がないと(足りないと)スコトーマが生じますが、反対に知識が新たなスコトーマを生みだします。
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「認識には必ずスコトーマがある」と知っていること(無知の知)、さらには「すべては空(くう)である」と体感していることが、向上し進化し続けることに欠かせません。
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もちろん、その向上・進化の先にあるものはゴール。
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ゴールがスコトーマを外してチャンス(T)を明らかにし、反対にゴール実現に無関係なもの(Nil)をスコトーマに隠します。
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Goal comes first.
チャンスを明らかにするどころか、本当は「ゴールが“関係”や“つながり”を生みだす」「ゴールがあるから向上・進化が実現する」なのです。
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すべてはゴールから生まれる
…新たな感染症との縁で、あらためてコーチングの重要性を感じました。そして、医療・介護の現場に苫米地理論を届ける必要性を切に感じました。
PMⅠ-04:苫米地理論で見える医療・介護現場のスコトーマ(目次)
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(F-187につづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
―追記-
「非感染性疾患(NCDs:Non-communicable
diseases)」に関して補足します。
WHOの統計によると、3950万人がNCDsに起因し死亡しており、全死因の70%にのぼるそうです(2015年)。その結果を受け、WHOは「2025年までにNCDsによる若年死亡を25%減少させる」という目標を掲げました。
さらに「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」にも、「2030年までに、NCDsによる早期死亡を、予防や治療を通じて1/3に減少させる」と掲げられています(目標3.4)。
そのためにはすべてを包摂する「高い抽象度の視点」が必要です。
日常生活因子や心理・精神的因子、社会的因子を包摂することはもちろん、部族・民族を超え、国境を越えた上で、遥か未来のことまで考慮することができる“超越した視点”。それは“無敵”を実現する視点でもあります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5446097.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5448151.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615695.html
その視点を獲得していくことは、個人レベルはもちろん、人類レベルでの「人間形成」といえます。もちろん、その時は「ファイト・オア・フライト」は余裕で克服しているでしょう。
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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9966391.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10116950.html
よって、高い抽象度の視点の獲得は、「この世から戦争と差別をなくす」ための大切な取り組みだといえます。
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―関連記事-
F-075:Preventable
Trauma Death
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F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~「anti→with→well」partⅡ
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