F-111:情報が書き換わると現実が変わる vol.2;非言語編

 

 情報が書き換わると現実が変わる

  …と言われたら、皆さんはどのようなことをイメージしますか?

 

今回は、身近な話題から国家規模の策略まで、「情報が書き換わると現実が変わる」ことをテーマにシリーズでお届けします。

 Vol.1;言語編

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/20086131.html

 

 

 では次に、言語ではない例で、「情報が書き換わると現実が変わる」ことを考えてみましょう。

 

 ところで、皆さんは記念撮影をする時にどのようなジェスチャーをしますか? 人差し指と中指を立てるピースサイン? ピースのまま手のひらを自分に向ける裏ピースサイン? Facebookのアイコンのようなサムズアップサイン? それともOKサイン?

 

 …じつは、いずれも状況によっては危険なハンドサインになります。

 

 欧米で「勝利(victory)」を意味するピースサインは、平和(peace)を祈るサインとして肯定的に用いられています。ところが、ギリシャでは「くたばれ」という意味の侮辱行為になるそうです。

 裏ピースサインも侮辱の意味を持ちます。こちらはイギリス、オーストラリア、アイルランド、ニュージーランドと広い範囲でNGです。

 サムズアップサインは、昭和の頃は男性を表すものとしてよく使われていました(ちなみに女性を表すのは小指。80年代には「私はこれ(小指)で会社を辞めました」というCMがありましたw)。ヒッチハイク時にも使われるサムズアップですが、アフガニスタン、イラン、イタリア、ギリシャでは性的に相手を揶揄・侮辱する下品な表現となるそうです。

 

 「OK」をWikipediaで調べると、「賛成・同意・承認や好調(approved, all right, favorable)・正しい(correct)を表す英語の単語」とされています。「ブラジルとメキシコでもOKはよく使われ、英語と同じように発音される」とありますが、そのブラジルでOKサインをすると「俺は危険だぞ」という威嚇になるそうです。フランスでは「無価値」「役立たず」といった誹謗中傷を表し、南米の一部では肛門の比喩から相手を性的に侮辱する場面で使われるようです。

 

 これらは地域や文化により意味が変わること、つまり、情報(処理)により現実が変わることを示しています。インターネットなど技術の発達によりますます世界中と瞬時につながる社会においては、何気ない仕草や行動が火種になってしまう危険も大きくなっているといえます。

 

 そのOKサインですが、最近、さらに危険な表現と捉えられるようになりました。きっかけはネット上の匿名掲示板「4Chan」で、オルタナ右翼たちが悪ノリで始めたキャンペーンでした。

 

 ニューズウィーク日本版(2019年9月27日)によると、彼ら(オルタナ右翼)は同掲示板で「オペレーションO-KKK」を立ち上げました。「OK」と白人至上主義団体 クー・クラックス・クランを表す「KKK」を懸けたキャンペーンにより、ドナルド・トランプ米国大統領も演説中によく使うOKサインが白人至上主義の「秘密の合図」であると信じ込ませたのです。

「親指と人差し指で輪をつくって残り3本の指を立てると『ホワイトパワー』を意味する『WP』の文字に見える」というジョークのような話は、2019年3月15日に発生したニュージーランドの銃乱射事件(クライストチャーチモスク銃乱射事件)で51人を殺した罪に問われている被告が初出廷時に笑顔でOKサインをして見せたことなどを経て、「白人至上主義への支持表明」として広く認識されるようになりました。

 

 情報(OKサインの意味)が書き換わり、現実が変わったのです(賛成・同意・承認等→白人至上主義への支持表明)。それは「社会が共有するブリーフシステムが書き換わった」と解釈することもできます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721531.html

 

 先日、OKサインに関連して、驚くような出来事(現実)が報道されました(ニューズウィーク日本版、2019年10月3日)。米国フロリダ州にあるテーマパーク ユニバーサル・オーランド・リゾートのスタッフが、人気キャラクターの着ぐるみを着て少女(6歳)と記念写真を撮った際にOKサインをしていたため解雇されたというものです。

 

 撮影から5か月後、写真の中のOKサインを見つけた母親(黒人)は、夫(白人)とともにテーマパーク側に連絡しました。1か月後に再び連絡すると、テーマパーク側は「機密扱いだから教えられない」と言いつつ、ギフトカードと無料チケットの送付を申し出たそうです。相手側が弁護士を通じて返事をしてきたのを受けて、「他の家族も同じような目に遭うことがないよう変化をもたらす」ために夫婦側も弁護士を雇って対抗しました。

 余談ですが、「…変化をもたらす」は抽象度を引き上げたゴール設定といえます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 ニューズウィークの取材に対してテーマパークの広報担当は、「この家族が経験したことは、他のお客様には決して経験させたくないことです」「とうてい許容できず、申し訳なく思っています。同じことが二度と起こらないように、対策を講じます」と謝罪したうえで、「問題のスタッフはもう当社では働いていません。今後も一家と連絡を取り続け、和解のために努力をしていきます」と語り、OKサインをしたスタッフを解雇したことを認めました。

 

 情報が書き換わると現実が変わります。OKサインは、「賛成・同意・承認」等を表すジェスチャーから、解雇に値する「白人至上主義への支持表明」にすでに変わってしまっています。

 

 2019年9月、反差別を掲げるユダヤ系団体の名誉棄損防止連盟(ADL)は、「白人至上主義者をはじめとする極右過激主義者が頻繁に使うヘイト(憎悪)の象徴」として、OKサインをデータベースに登録しました。ADLは「ホワイトパワーを意味するシンボル」として使われていると説明しているそうです。

 

 何気なくネットにアップした写真にOKサインが含まれていれば世界中から非難される時代 …技術の進歩によりどんどん利便性が向上していますが、一方で危険性も大きくなっています。

 それはますます意図が、つまり行為の背景にあるゴールの抽象度が、問われる時代になっていることを意味しています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html

 

 このように情報が書き換わると現実が変わります。そして、その情報は常に変化し、複雑に絡み合いながら、どんどん増え続けています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654230.html

 

 さらには、その情報を認識する私たち自身の情報処理によりますます形を変えていきます。世界は常にゆらいでいるのです。

だからこそ、自由意志と自己責任で自ら設定したゴールにより望む“現実”を生みだすことが求められているといえます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

 “時代”がコーチングの知識とスキルを求めているのです。正しい方向に“まわる”ために。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5446097.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5448151.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615695.html

 

(F-112につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

ピースサインをした写真をネットにアップすることは違う意味でもNG! 指紋を読み取られ、指紋認証等に悪用されるリスクがあるそうです。御注意ください。

 

 

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