F-105:「映写機の故障により上映できるかわかりません」 Vol.5;フォロワーの立場で

 

 このブログシリーズでは、目的の映画を観ることができると信じて待ちながら感じたこと、そして、日本語吹き替え版さえ観ることができないまま帰途につき思ったことをまとめます。

 

 Vol.1;映画館での出来事

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 Vol.2;期待が失望に変わるときの注意点

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19263292.html

 Vol.3;不安や怒りへの対処法

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19417065.html

 Vol.4;リーダーの視点で

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19485793.html

 Vol.5;フォロワーの立場で

 

 

…地震による映写機の故障で「状況がわからず(認識や理解ができず)、自らの行動を選択することができない(評価・判断ができない)」という状態が生まれました。客はもちろん、接客するスタッフにとっても。

 そんな状況を回避するための方策について、前回(F-104)はリーダーの視点で考察しました。今回はフォロワーの立場で再度考えてみたいと思います。

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様々な研究により、人のストレスの大きさや心の傷の深さを決めるものは「理不尽度」であることが明らかになっています。そして、その理不尽度は「自己責任感の大小」で決まるとされています。ショックな出来事に対して「自分にも責任がある」と感じる人にとってその出来事の理不尽度は小さく、反対にその出来事に対して「自分には責任がない」と感じる人ほど理不尽度はとても大きくなります。

つまり、「自分にも責任がある」と考える人の心の傷は深くはならず、その一方で「自分には責任がない」と考える人の心の傷はとても深くなってしまうのです。

 

 「自分にも責任がある」と考えられるのは、自分で決断したという手ごたえがあるから。キーワードは「自己決定権」、もっとシンプルにいえば「裁量」といえます。

 

 先日、とても興味深い経験をしました。

 ある病院に入院中の手術直後の患者さんが体の不調を訴えていました。訴えは多彩でまさに米国CDCがいうMUPS(Multiple Unexplained Physical Symptoms)のようでした。不安げな表情で医学的に説明困難と思えるような症状を次から次に訴えるのです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8164566.html

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 しかし、たった一晩で劇的な変化が訪れました。翌朝には症状がすべて消失。患者さんの満面の笑みに迎えられた私は、しばらくの間、前日と同じ人物だと気づきませんでした。

 そんな劇的な変化が起きた理由は、「自分で原因に気づいて、その因をコントロールできるようになった」ことでした。裁量、自己決定権、自己コントロール感を取り戻していったことで、ファイト・オア・フライトを克服し、MUPSが解消したのです。

超情報場仮説で解説すると、「まず高次の抽象度の情報を正しく見て、その因果関係を再構築し、下の抽象度に落とし込んだ」といえます。

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痛みがとれたことについて、医学的には「ストレス状態の解消により中脳腹側被蓋野(VTA)からのドーパミン分泌が増え、大脳基底核を構成する腹側線条体の側坐核(NAcc)からμオピオイドが大量に放出され、続いてセロトニンやノルアドレナリンが放出され、痛みの信号を脊髄で抑制した(=スコトーマに隠した)」と説明できます。
 そんな複雑な物理空間(脳内)の変化を引き起こしたのは「ストレス状態の解消」。それを可能としたのが「情報空間の操作(内部表現の書き換え)」です。

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 ところで、PCAという医学用語を御存知でしょうか?

 PCAとはPatient Controlled Analgesiaの略で、患者自己調節鎮痛法と訳される治療法です。電動式PCAポンプを用いてオピオイド(医療用麻薬)の皮下注射を行いますが、医師があらかじめ設定した投与量の範囲内で患者さん自身が調整することができます。自らボタンを押すことで、痛みのコントロールに参加できるのです。

 

 PCAは痛みの緩和にとても効果的なことが分かっており、その理由として「迅速に対応できる」「きめ細かく対応できる」「個人差をカバーできる」「複数の薬剤を使える」「予防的に投与できる」「嘔吐や下痢時も継続できる」などの理由が挙げられています。

 私自身は、苫米地式コーチとして、「裁量、自己決定権、自己コントロール感を得ることで、ストレス状態を解消し、ファイト・オア・フライトを克服できる」ことが大きいと考えています。つまり、情報空間の操作(内部表現の書き換え)が行いやすくなるということ。

 

 ポイントは、「自分で決める」ということです。

このシリーズで取り上げた映画館でのケースでいうと、フォロワーに求められていたのは「自分で決めるという姿勢」だといえます。

 

地震によって映写機の故障がおこり、上映がどうなるのか誰にも分りませんでした。客にも、スタッフにも、リーダー(現場責任者)にも。

それでも(だからこそ)最悪の可能性を提示し、問題解決のプロセスを提示するというのがリーダーの責任です。たとえリーダーが役割を果たせなかった(果たさなかった)としても、その中で各自が「自分ができることを考え、選択する」というのがフォロワーの理想的なブリーフシステムです。

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映画館のせいにするのではなく、客自ら待つか待たないか決める

リーダーのせいにするのではなく、スタッフ自ら客へのベストな対応を考え行動する

 …いつも自分の行動は必ず自分自身で決定する!

 

 …そんな心のあり方(覚悟)が、心の平静さにつながり、創造性を引きだします。サウスウエスト航空の係員のように。

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 「感情労働(Emotional Labor)」について考察した記事(F-043)で取り上げていますが、米ペンシルバニア州立大学の心理学者 アリシア・グランデー氏は「本来の感情を長期間にわたって抑える感情労働の強制は、労働者の精神や肉体に甚大な悪影響を及ぼす。企業はそうした人々をもっとサポートすべきであり、感情労働そのものが不当で禁止されるべきものである」と発言しています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10987351.html

 

 もちろん私も、「感情労働」を禁止するように社会システムを改革していくことに賛成です。しかしながら、本質的な解決策は個人の情報処理システムを改革することであり、それはコーチングの知識とスキルを身につけ、自らゴールを設定することからはじまると思っています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 最後にもう一度。どんな状況でも「自分で決める」ことが重要です。そのためにしっかりとゴール設定をすること。たとえフォロワーの立場であっても、誰もが自分の人生におけるリーダーなのだから。

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1-

 PCAは、特に不安の強い患者さんの場合に、過剰投与につながることが懸念されています。しかし、そこで「ダメ。ゼッタイ。」のような対応を医療従事者がしてしまったら、すべてが台無しになります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_352303.html

 

 

-追記2-

 PCAに関して、ちょうどこの原稿を仕上げるタイミングで、若い看護師さんに教えてもらいました。その御縁に感謝しています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

 

-追記3-

 2019年10月に、鹿児島市と霧島市で、コーチングセミナーを開催します!

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19527371.html

 

 

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http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13959033.html