F-104:「映写機の故障により上映できるかわかりません」 Vol.4;リーダーの視点で

 

 このブログシリーズでは、目的の映画を観ることができると信じて待ちながら感じたこと、そして、日本語吹き替え版さえ観ることができないまま帰途につき思ったことをまとめます。

 

 Vol.1;映画館での出来事

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19153107.html

 Vol.2;期待が失望に変わるときの注意点

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19263292.html

 Vol.3;不安や怒りへの対処法

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19417065.html

 Vol.4;リーダーの視点で

 Vol.5;フォロワーの立場で

 

 

 …今回は「リーダーの視点」がテーマです。

 

 私の師である認知科学者 苫米地英人博士の著書に、「リーダー」をテーマとしたものがあります。「すごいリーダーは『脳』がちがう」(三才ブックス)です。

 その本の中で、リーダーとは「ゴールをリアルに認識し、それをすべてのメンバーと強く共有できる人」と定義されています。さらに、リーダーになるためには「最低条件として、自分が得意としている分野、やりたいと思っている分野を見つけることが大切」とあり、ゴールの重要性が強調されています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 止められても成し遂げたいゴールがあることを大前提に、博士が述べるリーダーの条件が「情報収集能力」「同調能力」「責任能力」です。

 

 情報収集能力とは、「高い視点から判断する能力」のこと。重要なのは情報をたくさん集めることではなく、選別することです。そのために情報を統括して高い視点から見る力、つまり抽象度を上げて判断する能力が求められます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html

 

 同調能力とは、「何も話さずとも、自分の考えを相手に共有させて伝える力」。その同調能力の理解に必要な「臨場感」「ホメオスタシス」「Rゆらぎ」が詳しく解説されています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4831660.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971818.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971956.html

 

 責任能力については、「リーダーとして責任を取る覚悟があるかどうか」と書かれています。覚悟 …そしてそれは一番難しいものだとした上で、責任能力の真の意味について解説されています。詳しくは同書をお読みください。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10987549.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13958864.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19033189.html

 

 

…映画館での出来事は、正直、すごく残念でした。しかし、一方で「仕方ない」とも思いました。地震という誰のせいでもない突発的な出来事が原因だったからです。実際、10人以上いた同じ映画を待つ方々も、誰も感情的にはなっていませんでした。

 

もしも天災ではなく人災だったら、例えば「スタッフが遅刻した」とか、「コーヒーをこぼして故障した」とかだったら、どうだったでしょうか?

 「納得できない」という理不尽感が怒りとなり、ファイト・オア・フライトを誘発し、バカな行動につながったかもしれません。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8164566.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166289.html

 

 理不尽感が低いことでストレスは小さいはずでしたが、私の情動は動きました。のんびり待ちながらその訳を考えていると、リーダーの姿勢に思い至りました。映画館のリーダー(その時の現場責任者)が、情報収集能力(高い抽象度で判断する能力)も、同調能力も、責任能力も何ら発揮していないように感じたのです。

 その結果、「状況がわからず(認識や理解ができず)、自らの行動を選択することができない(評価・判断ができない)」という状態が生まれました。客はもちろん、接客するスタッフにとっても。

 

 実際、誰かが上映の見込みなどについて質問するたびに、スタッフさんは電話で責任者とおぼしき人と連絡を取っていました。その表情から読み取れるのは“板挟み”。「苦しい」「辛い」といった心の声が聞こえるようでした。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10987351.html

 

 では、リーダー(その時の現場責任者)はどのような行動をとるべきだったのでしょうか?

 

…リーダーがとるべき行動について、米国CDCのガイドラインが参考になります。CDCの正式名称はCenters for Disease Control and Preventionで、疾病予防管理センターと訳される米国厚生省管轄の保健衛生機関です。CDCがまとめた「Psychology of a Crisis」によると、クライシス(危機)時は、拒絶→不安・恐怖→回避→希望の消失→パニックと進行するとされ、こうした事態に対処するための4つの基本原則が示されています。

 

1)     最初に最悪の可能性を伝え、それが改善していることを数字で伝える

2)     「必ず解決します」などの約束はNG。むしろ状況の不確定性を正確に伝え、その問題を解決するプロセスについてのみ伝える

3)     問題解決のプロセスが進んでいることや状況が改善していることを伝えるために、それを示すデータや数字を継続的に提供し続ける

4)     恐怖を認め、問題に関連する文脈情報を与える

 

 今回のケースに当てはめると、1)故障の概要を説明し、最悪の場合は上映ができない可能性をしっかり伝え、2)故障に対してどんな対処を行うか(上映できない場合にどんな補償を行うか)を説明し、3)経過と見込を逐次報告しながら、4)故障した特殊な設備(BESTIAという「次世代映画館フォーマット」)の情報や映画館やショッピングモールに関する話題などを紹介する といった感じです。

 

 そのようなガイドラインに沿った対応を心がけることで、場の雰囲気が「拒絶→不安・恐怖→回避→希望の消失→パニック」と変化することを防ぐことができます。また、リーダー自身の「拒絶→→パニック」を防ぐことにもなり、(映写機にだけフォーカスするのではなく)抽象度を上げてお客や対応するスタッフの状況まで俯瞰することができ(情報収集能力)、映画上映/鑑賞というゴールを共有し(同調能力)、自らの役割を果たすこと(責任能力)ができるようになります。

 

 このようなケースにおいても、コーチングのエッセンスはとても役に立ちます。

 

F-105につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1

本文中に「映画館での出来事は、正直、すごく残念でした。しかし、一方で『仕方ない』とも思いました。地震という誰のせいでもない突発的な出来事が原因だったからです。実際、10人以上いた同じ映画を待つ方々も、誰も感情的にはなっていませんでした」と書きました。

しかし、それは危険なことでもあります。もしも誰かに「仕方ない」と思い込まされてしまったら、状況を改善するためのエネルギー(怒り)を失うからです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14107083.html

 

 

-追記2

 201910月に、鹿児島市と霧島市で、コーチングセミナーを開催します!

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/19130955.html

 

 

すごいリーダーは「脳」がちがう

すごいリーダーは「脳」が違う

苫米地英人博士のブログから引用

http://tomabechi.jp/archives/50839421.html