F-084:「ダメ。ゼッタイ。」を超える! -1/5-
過去2回のブログ記事(フリーテーマ)で、医療目的で大麻が用いられるケースがあることに触れました。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/16660575.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/16800020.html
日本では大麻を医療目的で使用することはできません。大麻どころか、すでに認められている医療用麻薬(オピオイド)の消費量も国際比で圧倒的に少ないことが明らかになっており、人権の観点で問題視されています。
日本の医療用麻薬消費量が極端に少ないのは、「医療文化の違い」や「麻薬に対する(ネガティブな)先入観」があるからとされています。それは「文化」や「先入観」「常識」といったものが「生権力(バイオパワー)」として機能していると解釈することができます。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_292569.html
その一方で、麻薬の規制が緩く「生権力」という束縛から解放されているはずの国々では、「オピオイドクライシス」と呼ばれる過剰摂取や中毒死の問題が生じています。
では、どうすればよいのでしょうか?
…その具体的解決法について、コーチとして提言します。
前回までの2回の記事(F-082、083)は、ディベートでいえばケースサイドに相当します。さらにケースを検証し(F-084、F-085)、その後ケースに対するプランを提案します(F-086、F-087)。最後(F-088)はワークです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12658417.html
キーワードは「内部表現の書き換え(情報場の移動)」。
そして、その「内部表現の書き換え」のポイントは…
…このシリーズの最後で。
アメリカ合衆国(以下、米国)ではオピオイド鎮痛剤が蔓延状態で、米国政府の試算によれば、2013年にはおよそ190万人の米国人が鎮痛剤依存の状態だったそうです。対策としてアメリカ疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)は鎮痛剤処方を管理するための新しいガイドラインを公開しました(2016年3月)。
オピオイド鎮痛剤は植物のケシ(芥子、opium poppy)に由来します。オピオイドとは「中枢神経や末梢神経に存在する特異的受容体(オピオイド受容体)への結合を介してモルヒネに類似した作用を示す物質の総称」です。ケシ由来の天然オピオイド、化学的に合成・半合成されたオピオイド、体内で産生される内因性オピオイドに分類されます。
ケシの実から採取されるアヘン(opium)は古くから麻薬として使われていました。紀元前3400年頃にはすでに栽培をしていたとされるシュメールの人々は、ケシのことを「喜びをもたらす植物」と呼んでいたそうです。
アヘンからは様々なオピオイドが開発されていきました。1804年にモルヒネ、1832年にコデインが作成され、1874年にはモルヒネからヘロインがつくられました。
同じ頃におきた米国南北戦争(1861~1865年)をきっかけに、オピオイドは軍人や兵役経験者の鎮痛剤として大量に使われるようになりました。その時が米国での最初の「オピオイドクライシス」です。20世紀初頭の米国では、なんと、400人に一人がアヘン中毒だったそうです。
1914年にアヘン規制法がつくられ、その後も数回にわたって他の麻薬も含む規制強化が行われました。その一方で、アヘンに含まれるアルカロイド(窒素原子を含み、ほとんどの場合塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称)からオキシコドンなどの合成・半合成オピオイド鎮痛剤がつくられていきました。
厳しい規制の下、麻薬に慎重になった米国では、20世紀終盤までオピオイド鎮痛剤はあまり利用されていなかったそうです。現在の日本のように。
ところが、1980年に「麻薬類の治療による中毒者はまれにしか発生しない」という論文が医学誌「New England Journal of Medicine」に掲載され、さらに1990年に「不必要な痛みによる悲劇(The Tragedy of Needless Pain)」という記事が「Scientific American」に掲載されたことで状況が一変しました。
医薬品の大量生産技術が向上したこともあり、とくに慢性疼痛に対してオピオイド鎮痛剤が爆発的に処方されるようになりました。2000年代の米国では10人に1人が慢性疼痛の治療をうけていたといわれ、1999年から2014年までの間に16万5000人が鎮痛剤のせいで亡くなったとされています。最近ではミュージシャンのプリンス(1958~2016年)が合成オピオイド フェンタニルの過剰投与で中毒死しています。
そんな中、米国政府はついに「オピオイドクライシスのために国家が非常事態である」と発表しました(2017年10月)。翌年3月には米国事故防止センターが、2016年7月~2017年9月の15カ月間のオピオイド鎮痛剤の過剰摂取による救急科受診患者が全米で14万人を超えたこと(前年度に比べて約30%増)を報告し、警鐘を鳴らしました。
しかし、危機を脱するための有効な対策が実行できていないのが現状のようです。
今の日本はまだ「オピオイドクライシス」とは無縁です。「ダメ。ゼッタイ。」に代表されるような活動が功を奏しているからです。
(悪く言うと、「生権力(バイオパワー)」として機能しているから)
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_292569.html
しかし、米国でのオピオイド蔓延の引き金になったとされる非がん性慢性疼痛に対してのオピオイド処方は、(条件付きではありますが)2010年から日本でも解禁されています。
つまり、ここ日本でも「オピオイドクライシス」は起こりえるのです。
(F-085につづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
Wikipediaより引用
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