F-080:ヘンリー・フォードの教え -後編-
あなたができると思おうが思うまいが、どちらにしてもあなたは正しい
Whether you believe you can do a thing or not, you are right.
…これは米フォード・モーターの創設者 ヘンリー・フォード(1863~1947年)の言葉です。T型フォード発売後わずか10年でアメリカで保有される自動車の半分を占めるという大成功をおさめた業界の革命者のこの言葉は、認知科学の研究により紛れもない事実であることが明らかになりました。
しかし、フォード・モーターの成功は長続きしませんでした。「マネジメントは必要ないとの信念がその理由である」というのが経営学者 ピーター・F・ドラッカー(1909~2005年)の分析です(F-078)。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/16240713.html
前回(F-079)は、ドラッカーの分析を踏まえたうえで冒頭のヘンリー・フォードの言葉を考察すると「エフィカシーの重要性」が浮かび上がることを書きました。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/16340845.html
エフィカシーは、夢をかなえる方程式「I×V=R」の「I」を更新し続ける原動力となります。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html
もしも時代の変化に合わせて「I」を変えることができなければ、どんなに大きな成功をおさめた人や組織であっても、やがては必ず衰退していきます。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10829222.html
しかしながら、エフィカシーが十分に高ければ、私たちはその時代の変化さえ「I」として生みだすことができます。
今回は、フォードの言葉とマネジメント無視による失敗から、その秘訣を探っていきます。
…ドラッカーはマネジメントを「組織に成果をあげさせるための道具・機能・機関」と定義しましたが、「経営管理」という意味で使われる現代のマネジメントは「組織の目標を設定し、その達成に向け経営資源を効率的に活用し、同時にリスク管理を行うこと」を意味します。
「組織の目標」とありますが、多くの場合、「目標」とは「現状の最適化」です。その「現状」とは過去の記憶によりつくられるもの。よって、「現状の最適化」とは「過去の延長上にある最も理想的な姿」といえます。
それは過去→未来という時間観に縛られています。そのままでは「時代の変化」を新たにうみだすことはできません。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html
コーチングでは「このまま続く未来」まで含めて「現状(SQ:Status Quo)」と考えます。ゴールはその現状の外側に、「このままでは起こりえない何か」として設定します。
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事実(データ)として、時代の変化はいつも“現状の外”で起きています。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12340209.html
例えば、最近よくGAFA(ガーファ)という言葉を耳にしますが、その主要IT企業の創業はG:Googleが1998年、A:Amazon.comが1994年、F:Facebookが2004年とわずか20年程前のことです。
A:Apple Inc.のみ前身のApple Computer, Inc.が1977年の創業ですが、2000年代に主力事業をうまく変化させ -時代の変化の波にのり- 2007年にApple Inc.に改称しました。
それとは対照的に、1980年代に「Japan as Number One」と称された日本のハイテク企業は同じようなやり方を続け -時代の変化の波に飲み込まれ- 衰退しました。1989年時点で世界の時価総額ランキング トップ50社に日本企業は32社入っていましたが、2018年はトヨタ1社がランクインしているのみです(35位)。
この事実は現状(そのまま続く未来を含む)のままでは進化・発展はないことを強く示しています。さらにいうと、時代の変化(情報宇宙の拡大)はますます加速しています。
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つまり、これからの時代はマネジメント(現状の最適化、物理空間への実装)と同時に、新たな未来(可能世界)を創造し続けるためのコーチングが必要なのです。
“現状の外”にゴールを設定することが変化のはじまりとなります。
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“現状の外”はより高い抽象度次元にあります。縁起として。
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http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html
もしヘンリー・フォードが抽象度を上げることで「自分」の定義をもっと広げていくことができたなら、自分を信じることと同じように、部下たちを信じきることができたでしょう。
そして、偉大な経営者に信頼されていると確信した部下たちは、その潜在能力を十分に発揮し、さらなるイノベーションを次々と起こしたに違いありません。
「私たちはすごい会社だ」というコーポレートイメージ(&コーポレートトーク)が業界や社会を巻き込んで時代の変化を生みだしていくのです。GAFAのように。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14401202.html
経営の本質とは、お金ではなく、マインドの運用です。
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http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14973580.html
経営は「関わる全ての人の潜在能力をどれだけ引き出すことができるか」にかかっています。だからこそ、現代の経営には、“現状の外”へのゴール設定を可能とし、そのゴールの達成の確信(エフィカシー)を高めるコーチングが求められています。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15110477.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14834138.html
あなたができると思おうが思うまいが、どちらにしてもあなたは正しい
ドラッカーの分析を踏まえたうえでヘンリー・フォードの言葉をさらに考察するとわかるのは、ゴールを更新しながら抽象度を上げ続けることの重要性。それが人間形成を可能とし、組織のさらなる進化・向上を実現します。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9963845.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9966391.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10116950.html
その先にはきっと業界や社会へとひろがる“無敵”が待っています。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5446097.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5448151.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615695.html
あなたができると思おうが思うまいが、どちらにしてもあなたは正しい
Whether you believe you can do a thing or not, you are right.
フォード・モーターの創設者 ヘンリー・フォード(1863~1947年)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記1-
前回(F-079)の追記中に、発明王 トーマス・エジソンがヘンリー・フォードのエフィカシーを高めたことを書きました。その続きです。
T型フォードで大成功をおさめた後、ヘンリー・フォードはエジソンに対して何度か経済的援助を行っています。それに関して「エジソンは発明家としては優秀であったが、経営者としては最悪だった」と語っているそうです。
真意はわかりませんが、他人のエフィカシーを引き下げるブリーフシステムのあらわれといえます(ドリームキラー)。このエピソードは、後のフォード・モーターの凋落とも大いに関係しているはずです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html
-追記2-
私がとても気に入っているヘンリー・フォードの言葉をもう一つ御紹介します(笑)。
自分に投資をしなさい
私は40歳になるまで1ドルたりとも貯金をしたことがない
…「自分」の定義を「広げていくこと」が「抽象度を上げること」です。その重要性をフォードの人生が教えてくれています。
フォード初の自作自動車に乗るヘンリー・フォード夫妻
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