Q-078:お変わりありませんか?こちらは変わりなく過ごしております

 

 先日、ある方からお便りをいただきました。

その方はセクハラやパワハラに長年苦しみ、ときどき私も相談に乗っていました。そして昨年、ついに環境を変えること(=コンフォートゾーンを変えること)を決断し、まったく新しい生活を始めたのです。

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新しいゴールに向かい始めてから連絡は途絶えていました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 「無沙汰は無事の便り」といいます。きっと元気にしているのだろうと思っていたところに、久しぶりの便りが届きました。そこには新たな相談事が記されていました。何回かやりとりをしながらコーチとして感じたことをまとめます。

(御本人の同意をいただいて公開していますが、プライバシー保護のため一部変更を加えてあります)

 

 

 新しい土地、新しい仕事に慣れた頃、前の職場の同僚からメールが届いたそうです。そこには「お変わりありませんか? こちらは変わりなく過ごしております」と書かれていました。

 

 相談者はそのメールに心地悪さを感じました。「なにかモヤモヤしているが、それが何か(なぜか)わからない」というのが私への相談の主旨でした。

 

 皆さんは似たような経験はありませんか?

 

 

 モヤモヤの正体は、「かつてのコンフォートゾーンへ引き戻されることへの警告」や「束縛されていた過去に対する嫌悪感」です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12794797.html

 

コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)とは、セルフイメージによって決められる(その人にとって)心地がよい空間のことです。物理空間だけではなく、情報空間にもひろがっています。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516539.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654230.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654316.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4831442.html

 

ポイントは、「過去の記憶でつくられている」ということ、そして「本人にとって本当に“心地がよい”ものとは限らない」ということ。例えば、ダイエット後のリバウンドは、本人の意志に反して、無意識下で設定されているCZに強力に引き戻される代表例です。

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 この相談者にとってセクハラやパワハラに苦しんだ過去というのは、とてもイヤな思い出である一方で、長年“親しんだ”コンフォートゾーン(CZ)でもありました。このケースのように、過去の記憶でつくられたCZは、「現状維持の壁」となって私たちの前に立ちはだかります。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13628746.html

 

 コーチングを実践する相談者は、過去に引き戻すネガティブフィードバックに自ら気がついたようでした(Yes, you are good!)。

 

 

 モヤモヤの原因は他にもありました。メール中の「こちらは変わりなく過ごしております」という一文がとても気になっていたようでした。「何かバカにされている気がする」というのです。

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医療・介護現場で「変わりなく過ごしている」といった表現を使うとき、それはいい意味で使われます。“いのちの現場”で問題となる(重要度が高い)変化は四苦(とくに老病死)だからです。変わらないこと、すなわち「老いないこと」「病まないこと」「死なないこと」はとても望ましいことといえます。

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コーチングの重要なポイントはゴール設定ですが、健康(というカテゴリー)のゴールでも同じことがいえます。健康はシンプルに表現すればバランスであり、状況にふさわしい(いい)状態を維持することが理想です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859675.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859828.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859896.html

 

一方、職業(というカテゴリー)のゴールでは、「いい状態の維持」は「現状の中」を意味することであり、避けなければならないことです。「いい状態を維持」することは過去に囚われることであり、潜在能力を封印し、新たな付加価値を創造するチャンスを奪います。

 

(毎回しつこいほど繰り返していますが)あくまでもゴールは“現状の外”!

 

 コーチングを実践する相談者は、「こちらは変わりなく過ごしております」という言葉に危険な「思考停止」を感じたようでした(Yes, you are very good!)。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14120540.html

 

 

 相談者のコメントには解決するべき課題もありました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12658417.html

 

 「何かバカにされている気がする」と感じたのは、「こちらは変わりなく過ごしております」という言葉から「あなたがいなくても全然困っていない」「そもそもあなたは大した人間ではない」というメッセージを読み取ったからでしょう。

 

 発言者の認識パターンを知っているがゆえに、そのように受け取ってしまったことは理解できます。脳が後天的に獲得した「認識パターン」に基づいて、その人特有の「思考や選択」「行動の傾向」が決まります。その認識のパターンがブリーフシステムです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721531.html

 

しかし、「何かバカにされている気がする」という相談者の感想については、「あなたらしくない!」と思いました。エフィカシーが不当に下げられてしまっているから(It’s not like you!)。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 セルフイメージのコントロールはとても重要です。そのイメージには、セルフトークや実際の言動が双方向的に影響します。もちろん人の集まりである集団(組織、会社、地域、国家)においても。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14401202.html

 

 

今回のケースのように、日常で見聞きする何気ない言動にも気づきのヒントはたくさん隠されています。

 

気になることがありましたら、ぜひ御相談ください。一緒にその意味を考え、スコトーマをはずしあううちに、点がつながり、新たなひらめきを得るかもしれません。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7383761.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13628437.html

 

御連絡をお待ちしております。

連絡先(メール):coachfor.m2@gmail.com

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

今回の相談者がかつて勤めていた会社では、セクハラやパワハラが常態化していました。そのようなブラックな環境に居続けながら「お変わりありませんか? こちらは変わりなく過ごしております」と書くことができるのは、組織への高い帰属意識と忠誠心があるからです。

 

以下、認知科学者 苫米地英人博士の「ビジネス成功脳 スピード構築」(日本文芸社)より引用します。

 

これらは、組織への帰属意識と忠誠心を高め、社員をこき使おうとする会社側の洗脳行為です。洗脳状態で会社にとって都合のいいゴールを達成して感じる幸せは、まさに「奴隷の幸せ」なのです。

 

 「自分は奴隷かもしれない?」と不安に思う方は、今すぐゴールを設定してください。もちろん“現状の外”に。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15395389.html

 


ビジネス成功脳 スピード構築