F-075Preventable Trauma Death

 

Preventable Trauma DeathPTD)」という言葉を御存知でしょうか?

 

 これは外傷診療に関連する医学用語。文字どおり「防ぎうる外傷死」を減らすことを目的(ゴール)に、救急医療の現場で使われています。

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 その一つ上の抽象度には、公衆衛生上の概念である「防ぎうる死(preventable deathsavoidable deaths)」が存在します。「うまく対処していれば死なずにすんだであろう症例で発生した死」の外傷版が「Preventable Trauma DeathPTD)」です。

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 日本におけるPTDの割合が高いことが明らかになったのが2000年頃。当時はPTDが外傷死亡総数の30%を超えていたとされています。

その後、外傷診療システム(病院前救護、救急病院の診療体制、病院内での医療チーム、適切な紹介転送と安全な搬送)の構築や関わる医療スタッフの診療技術向上の取り組みが進められ、PTD18%台に減少していることが報告されています。

 

今回はそんな「Preventable Trauma DeathPTD)」について、コーチの視点で考察します。

 

 

 外傷治療はPrimary survey Secondary survey Tertiary surveyと行われます。

Primary surveyとは「生理学的評価で生命の危機を把握し、蘇生する」こと。Secondary surveyは「解剖学的評価で全身を系統的に検索し損傷を把握し、根本治療の必要性を決定する」こと。そして、Tertiary surveyが「根本治療や経過観察を行う過程で損傷の見落としがないか確認する」ことです。

 

これは、まずは「全体を把握」し、「重要性・緊急性を判断」した後に、「部分(個別)に対応」していくという流れです。

 

「全体を把握」というのは「ゲシュタルトをつくる」ということ。

ゲシュタルト(Gestalt)とは、形態を意味するドイツ語で、「全体性を持ったまとまりのある構造」のことを指します。全体と部分の双方向性で成り立ち、一つの統合的意味を持つまとまりです。部分を積み重ねたから全体がわかるのではなく、全体がわかったから部分の意味が決まることともいえます。

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PTDは、情報量でみると、「最小の情報量で全体を把握した後、情報量を多くして部分に対応する」ということです。よって、抽象度の高いところから低いところへの移動といえます。その対処は、もちろん、最も情報量の多い物理空間が主となります。

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物理空間にフォーカスするこの考え方は、西洋的な哲学や価値観に基づく西洋医学ではスタンダードですが、本来は避けるべきものです。

なぜなら、生命(現象)とは、多次元の情報空間にまたがる情報処理だから。

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しかしながら、外傷は物理空間上の身体での問題であり、かつ急いで対処するべき課題であるため、「物理空間」にフォーカスし対処することは適切であるといえます。

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では、それを理解したうえで、あえて「Preventable Trauma DeathPTD)」を高次の情報空間にまで拡張すると、どのように考えられるでしょうか?

 

 

コーチとして日々の出来事を観察していると、「トラウマは日常のあらゆる場面で生じている」ことに気がつきます。

 

 がっかりすること、残念なこと、エフィカシーが下がること、ドリームキラーの言葉すべてがトラウマになりえます。

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それどころか、一般的には「よいこと」と思われるようなこと 例えば昇進や結婚などもトラウマになりえます。過去の記憶でつくられたコンフォートゾーンから外れることになるからです。

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 それが社会的に「よいこと」にせよ、「悪いこと」にせよ、強烈な情動体験はブリーフシステムに影響を与えます。ブリーフシステムとは、前頭前野の認識のパターンのことです。このパターンに影響を与えるような長期記憶化された何らかの情動体験の記憶がトラウマの正体です。

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トラウマやストレスは放置したままだと心の傷になってしまいます。そして、その心の傷(情報空間のバグ)はやがて病となって物理空間にあらわれ、人を死に導きます。
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まさに「Trauma Death

でも、心配はいりません。

 

様々な物理法則の制約を受ける物理空間と違って、情報空間でのトラウマやストレスはすべてpreventableなものです。なぜなら、物理空間と違って制約が少ないので、情報処理の工夫によってしっかりと書き換えることができるから。

(念のためですが、物理空間も情報空間の一部です)

 

人は生きている間にたくさんの悲しい体験や辛い出来事を経験します。その記憶に囚われてしまう人がいる一方で、過酷な経験をしっかりと克服していく人もいます。

 

その違いは情報処理の差、すなわちマインド(脳と心)の使い方の差により生じます。

 

認知科学者 苫米地英人博士は著書「『イヤな気持ち』を消す技術」(フォレスト出版)の中で、過酷な体験のトラウマ化を防ぎ、人格(ブリーフシステム)への悪影響を回避する方法を紹介されています。簡単にまとめると「その体験を繰り返し、慣れること」「前頭前野側から介入して、恐怖をなくしパターンを変えること」です。

 

もちろん、この世が縁起である以上、起こる事象そのものを思いどおりにコントロールできるわけではありません。しかし、その事象をどのように認識し、理解し、そして評価・判断するかは自分で完全にコントロールすることができます。それが自己責任という言葉の本当の意味です。

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大切なのは、「自分のマインド(脳と心)は、自分自身の自由と責任でコントロールする」という意志。そして、「自分自身の心の力(The Power of Mind)で未来を創造する」という覚悟。

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マインドでの情報処理を、過去の記憶でつくられたブリーフシステムではなく、未来の記憶によってつくりあげたブリーフシステムで行うことができるようになると、未来から流れる時間を生きれるようになり、(本来の)“死”までの“生”を存分に生きることができるようになります

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 それはノーベル平和賞を受賞したユダヤ人作家 エリ・ヴィーゼル(19282016年)のいう「生と死の間にあるもの」を見いだすことでもあります。

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未来の記憶をつくりだすことを可能とし、「生と死の間にあるもの」を見いだすことを可能とするのは、“現状の外”へのゴール設定です。そして、その新たな未来を「達成できる」という確信(エフィカシー)が“現実”を生みだします。

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よって、私は、Preventable Trauma DeathPTD)対策としてもコーチングがとても重要であると考えます。

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 “現状の外”にゴールを設定し高いエフィカシーで生きている人は「タイムトラベラー」! 未来の皆さん自身がトラウマ克服の強力なサポーターになります。

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イヤな気持ちを消す技術(青)