Q-077180804医療講演会レポート vol.5:とても心配していましたが、お元気そうでよかった

 

 201884日(土)に、鹿児島県霧島市で開催された「市民健康教育公開講座」にて講演をさせていただきました。全体のテーマは「がんの総合ケアと疼痛マネジメント」。私のパートは「がんはもう痛くない!? ~全人的苦痛に対する認知科学的対処法(ワーク付き)~」というタイトルでした。

 その講演について、当日の内容に補足を加えながら御紹介します。

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最終回である今回は講演直後に会場で伺った驚きの情報をもとに、「全人的苦痛に対する認知科学的対処法」について再度考察します。

 

 

 講演ではノーベル平和賞受賞作家 エリ・ヴィーゼルの言葉を引用しながら、「生と死の間にあるもの」に関心を持つことの重要性を、スピリチュアルペインと関連づけてお話ししました。

 

 その講演を最前列で熱心に聞いている御夫婦がいらっしゃいました。

 

 お二人は私がかつて院長を務めていた病院をときどき受診されていた方です。その年(2018年)の2月で定期通院していた霧島リハビリテーションセンターが閉院することになり、春から私の外来を受診する予定になっていました。

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 しかし、私は「だまし討ち」により突然追いだされてしまったので、お二人を外来で担当させていただくことはありませんでした。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13628437.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_124527.html

 

 講演が終わった後、私を招いたくださった病院長や先生方へのご挨拶を終えると、そのご夫婦が笑顔で声をかけてくださいました。

 

 「とても心配していましたが、お元気そうでよかった」

 

 言葉の意味が理解できず困惑している私の様子に気づいたのか、お二人は状況を詳しく教えてくださいました。

 (意味が理解できなかったのは、ゲシュタルトができていなかったからです)

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簡単にまとめると、

 ・病院のスタッフは先生が突然来なくなった理由を一切教えてくれない

 ・だから、急病で倒れたんじゃないかと心配していた

 ・実際に「緊急の手術を受けて、今もまだ入院しているらしい」という噂を聞いていた

 ・深刻な状況だと思っていたので、とても元気そうで安心した       

 ということでした。 

 

 苦笑いを我慢しながらお二人にどのように説明しようかと考えていると、衝撃的な質問をされました。

 

「先生、いつから外来診療に復帰されますか?」

 

 本当に何も知らないことに驚きながら、「病院の顧問弁護士からの突然の通知で働けない状況に追い込まれたこと」「病院が申し立てた調停の結果、20186月末で正式に退職となったこと」などをお伝えしました。

 

すると、お二人はとても混乱した御様子で、「病院の外来担当表には今でも(20188月時点)先生の名前が記載されていますけど」「(スタッフは)『復帰はまだわかりません』と繰り返すばかりで、退職のことなど一切口にしませんけど」と絶句されていました。

 

 

御夫婦と別れた後、今度はそのやりとりを近くで聞いていた別の方に「先生はなんでそんなに前向きなのですか?」と質問されました。その時、私は、まだ院長として働いていた頃に大先輩の医師(鹿児島での苫米地博士の講演中に絵を描かれた先生)から、「いつもこんな目にあわされているのに、なんで明るく振る舞えるのか?」と質問されたことを思いだしました。

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 答えは「ゴールがあるから」です。そして、「ゴールを達成できると確信しているから」。

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 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 ゴールを設定すると、未来から流れ始める時間を感じながら日々をフルに生きることができるようになります。そして、すべてがゴール実現のための大切な縁起であると感じることができるようになります。

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 それは「何事も自分に都合よく統合している」状態です。「自分に都合よく」というのは、「自分勝手」とは違います。むしろその逆で、「自分が100%正しいという考えを手放すこと」で可能となります。

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 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6194669.html

 

 いずれにせよ大切なのは、「すべて自分の力で自由に行える」とはっきり自覚すること。

 すべてが自身のマインド(脳と心)で行うことであり、そのはじまりがゴール設定です。

それをコーチングの元祖 ルー・タイス氏は「すべての意味のある、永続的な変化は、まず心の内側に始まり、それから外に広がっていく」と表現しました。

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 反対に、“現状の外”にゴールを設定しないことは、とても危険なことです。

過去のブログ記事に「コーチングを全否定するのは経営サイドの自由だと今でも思っています」と書きましたが、経営に携わる者やリーダーは必ずゴールを設定し、そして更新し続ける存在であるべきです。さらに関わる方々にその術を教え広げる存在であるべきです。

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なぜなら、ゴールがないとスコトーマが外せず、「生と死の間にあるもの」をいつまでたっても見つけることができないから。ヴィーゼルの言葉を突き詰めれば、それは生きていないことと同義です。

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思考停止している間はそんなに苦しくないかもしれません。しかし、いつか必ずスコトーマが外れ、苦を実感する時がやってきます。

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 それが人生の終盤(End of Life Stage)であったとしても、緩和ケアの取り組みにコーチングを活かすことで解決できると私は信じていますが、なるべく早く自分自身の「生と死の間にあるもの」に気づくにこしたことはありません。命は有限なのだから。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11301259.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11386276.html

 

 

 私がかつて在籍した病院の経営陣と同様に、事実を隠蔽し、記録を改ざんし、嘘を重ねごまかし続けようとする人たちは少なからず存在します。国家レベルにおいても。

しかし、そのような人たちに未来はありません。そのような人たちがリーダーのままだと組織(集団)にも未来はありません。

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“自分”という存在に対する責任、今回のテーマでいうと「生と死の間にあるもの」への関心と自覚がないため、現状を決して抜けだせないからです。

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成功の反対は失敗ではありません。無関心です。

幸福の反対は不幸ではありません。無関心です。 

 

人の本当の苦しみは、「生と死の間にあるもの」に対する無関心から生じています。コーチングでいうとゴール設定ができておらず(あるいは失敗していて)、エフィカシーが低いままの状態。

 

「もうどうでもいいです」

「別にどうなったってかまいません」

 

そんな思いを感じている方は、ぜひコーチングを学んでください。そして今すぐ(できることからでいいので)実践しはじめてください。

 

ゴールを設定(更新)しエフィカシーを取り戻しながら挑んでいくうちに、「生と死の間にあるもの」を見つけ、無関心の反対、すなわち「生きている」状態に戻ることができます。

 

そして、それは「全人的苦痛に対する認知科学的対処法」の根底にあるべき“スピリチュアルペイン克服”の第一歩であるはずです。

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間にあるものへの無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

エリ・ヴィーゼル(19282016年) 
1986
年にノーベル平和賞を受賞したハンガリー(当時)出身のユダヤ人作家

 

 

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

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The Power of Mind Ⅰ」第四章:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ

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第四章目次

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13076878.html

 

 

エリ・ヴィーゼル(Wikiより引用)

エリ・ヴィーゼル

Wikipediaより引用