F-072:「糖尿病リスク予測ツール」に思う vol.2;わかっちゃいるけどやめられない♪

 

 「糖尿病リスク予測ツール」をテーマに、4回に分けてお届けします。

 

 前回(F-071)は、医師の視点で、国立国際医療研究センター(NCGMNational Center for Global Health and Medicine)が開発した予測ツールを御紹介しました。未確認の方は(前回記事の)文末のリンクからアクセスし、予測ツールをぜひお試しください。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15236875.html

 

 残り3回は、コーチの視点で、「糖尿病リスク予測ツール」について考察します。

 

 

 予測ツールが示すものは「3年後の糖尿病発症リスク」です。「このままの状態(生活習慣や体重など)が続くと、3年後のあなたは○○%の確率で糖尿病になっています」というのは時間軸では確かに未来といえますが、コーチングでは(その未来も含めて)現状と考えます。

 

このまま続く延長上の未来はすべて現状(=ステイタスクオ、SQStatus Quo

 

その現状の外にゴールを設定した時に、はじめて本当の未来があらわれ、時間が流れだします。未来から現在、現在から過去へと向かって。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

「糖尿病リスク予測ツール」を否定しているのではありません。「このまま続く延長上の未来」を臨場感高く体感するきっかけとして、予測ツールは確かに有効です。

 

しかし、例えば「糖尿病の私」という自己イメージが予測ツールによってさらに鮮明になってしまったら、I×V=Rのとおり、その「糖尿病の私」という未来予測がますます現実化しやすくなってしまいます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

 イメージというのは諸刃の剣です。

 

実現が信じられないようなことであってもそのイメージの臨場感が高まると本当に現実化してしまう一方で、どんなに「抜けだしたい」「回避したい」と願う状況であっても、その(悪い)イメージの臨場感が高いままであれば、それもやはり現実化してしまいます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15096276.html

 

(古い例えですが)その様子を植木等さんは「わかっちゃいるけどやめられない♪」と歌いました。「わかっちゃいるけどやめられない」「それがよくないことだとわかっているのになかなか変えられない」のは、その状態がホメオスタシス(恒常性維持機能)で強力に維持されるコンフォートゾーンとなっているからです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4831660.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971818.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4971956.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html

 

「わかっちゃいるけどやめられない」といったよくないイメージは、恐怖や不安と結びつきファイト・オア・フライトを誘発します。そうなると扁桃体を含む大脳辺縁系の活動が活発になってしまい、ますますイメージの書き換えは難しくなります。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8164566.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166289.html

 

では、「わかっちゃいるけどやめられない」状態から抜けだすためにはどうすればよいのでしょうか?

 

「糖尿病リスク予測ツール」をうまく活用するためには何を心がければいいのでしょうか?

 

F-073へつづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1

 「わかっちゃいるけどやめられない♪」は、1961年にリリースされた“ハナ肇とクレージキャッツ”の「スーダラ節」中の一節です。この曲によりボーカルの植木等さんは爆発的な人気を得ました。

「スイスイス~ダララッタ スラスラスイスイスイ~」という軽妙なフレーズや「お呼びでない?こりゃまた失礼いたしました!!」などのギャクで想起されるイメージと違って、実際の植木さんはとても真面目な性格だったそうです。初めて「スーダラ節」の歌詞をみた時には、「この曲を歌うと自分の人生が変わってしまう」と真剣に悩んだといいます。ちなみに作詞したのは盟友 青島幸男さん(ドラマ「いじわるばあさん」の主演で有名な第13代東京都知事)です。

 

 そんな植木さんの後押しをしたのが浄土真宗の僧侶でもある実の父親でした。あまりにふざけた歌詞に激怒されると思いきや、父は「すばらしい!」と感動し、息子を励ましたそうです。

親はドリームキラーとなってしまうことが多いのですが、植木さんの父親は見事に息子をサポートしました。その結果、「わかっちゃいるけどやめられない♪」が世にでたのです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6854056.html

 

-追記2

 その時の父親の励ましをWikipediaから引用します。

 「この歌詞は我が浄土真宗の宗祖、親鸞聖人の教えそのものだ。親鸞さまは90歳まで生きられて、あれをやっちゃいけない、これをやっちゃいけない、そういうことを最後までみんなやっちゃった。人類が生きている限り、このわかっちゃいるけどやめられないという生活はなくならない。これこそ親鸞聖人の教えなのだ。そういうものを人類の真理というんだ。上出来だ。がんばってこい!」

 

 まさにNot Normal

もし親鸞が今の時代に生きていたら、「糖尿病リスク予測ツール」についてどんなコメントをするのでしょうか?

 

 

植木等氏(Wikipediaより引用)

植木等氏(1963年 キングレコードの広告)
Wikipediaより引用