PMⅠ:The Power of Mind

PM-07:一人ひとりの心の平和から世界の平和へ

PM-07-01:ある特別養護老人ホームでの出来事

 

この章(第七章)は未来についてまとめます。新たな希望であり、新たなゴールです。

“現状の外”へのゴール設定が、強力なコンフォートゾーンを抜けだすエネルギーと創造性を生みだします。ぜひ私の“気”を感じてください。

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ある特別養護老人ホームでの出来事

 

 厚生労働省の雇用動向調査によると、医療・福祉関連の離職率は14.7%H27年)。全産業の平均離職率が15%H29年分では14.9%)ですので、世間で言われているほどは高くないようです。

 

介護事業所に対して毎年行われる公益財団法人 介護労働安定センターの介護労働実態調査(H29年度)においても、離職率は16.2%で全産業比率と比較してめだつものではなく、平成20年以降は連続して20%を下回っています。

平成29年度「介護労働実態調査」の結果:

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h29_chousa_kekka.pdf

 

 一方で、介護事業所への調査では全体の六割が「介護士不足」と回答しており、介護従事者に対しての意識調査でも半数以上が「人手が足りない」と回答しています。

 

 これらの調査より、そもそも介護の職に就きたいと考える人が少ないという事実が浮かびあがります。これは業界にとっても、社会にとっても、とても大きな問題です。

なぜなら、今後ますます高齢者の数は増えていくのだから。

 

 2025年には団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となります。それに備える地域医療構想についてコーチの視点で考察しましたが(PMⅠ第四章)、この人口構造の変化は医療・介護現場を直撃します。

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 厚生労働省の委託でみずほ情報総研が行った調査(20161112月)により、全国の特別養護老人ホームの1/4で空床が生じていることが判明しました。その主たる理由は「職員採用が困難」「離職が多い」でした。職員不足から高齢者を受け入れられないという現状が浮かびあがったといえます。

 

 全国的に報道されたのでご記憶の方も多いと思いますが、鹿児島県鹿屋(かのや)市のある有料老人ホームでは、全介護職員(8名)が退職した後の201810月からの1カ月間に入居者7人が相次いで死亡しました。同11月に問題が発覚した後退去者が相次ぎ事実上の閉鎖状態となった老人ホームは、ついに事業を廃止する届けを県に提出しました。

 

 一施設の介護職員不足が、地域の安心・安全にまで影を落としたといえます。

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社会のニーズにより、今後は職員不足の状況でも満床となるまで受け入れを行うことが求められると予想されます。人手が足りない状況が改善しないままであれば、利用者に対して丁寧なサービスをしてあげたいと思えば思うほど、さらに時間に追われ、ますます身体的に追い込まれることになります。

負担に耐えかねた職員が離職すればさらに人手不足となり、残されたスタッフの負担増大がさらなる離職を加速させるという悪循環に陥るでしょう。鹿屋の施設のように。

 

 そんな業界全体を覆う閉塞感を、かつて関わっていた法人の福祉施設でも感じていました。

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 ところが、そんな重たい雰囲気を吹き飛ばす“ある事例”を経験しました。

 

ある日、施設に入所している母親に会うために、その入所者の娘さんが来訪されました。おそらく80才前後であろうその娘さんは、自身が要介護者で福岡のある施設に入所中だということでした。

 

「鹿児島にいる105才の母に一目会いたい」

 

そんな願いを知った施設職員数名が、自分たちの休みを使ってボランティアで福岡から鹿児島まで連れてきたのです。

 

 なんとその施設では「夢実現プロジェクト」というものがあって、施設入所者の夢をかなえるために職員全員で取り組んでいるということでした。「入所者のゴールをかなえる」というのが、施設職員で共有するゴールとなっていたのです。

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 娘さんと母親の感動的な再会場面やそれを見守る福岡の施設職員の様子を教えてくれた時のスタッフの目は輝いていました。さらにうれしいことに、「私たちにも何かできることがあるのではないか?」と新たな取り組みを模索しはじめました。

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福岡の施設職員との縁起でスコトーマが外れ、感じたものを物理空間に結実しようと思ったのです。

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(つづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)