F-071:「糖尿病リスク予測ツール」に思う vol.13年後のリスクを予測する

 

 「糖尿病リスク予測ツール」をテーマに、4回に分けてお届けします。

 

 今回(F-071)は、国立国際医療研究センター(NCGMNational Center for Global Health and Medicine)が開発したリスク予測ツールの紹介です。文末にリンクをはっていますので、ぜひ御自身の糖尿病リスクをチェックされてください。

 

 

 世界で最初に日本が経験することになる少子・高齢化社会に備えて、平成19年に改正医療法が施行されました。医療計画制度のもと、いわゆる4疾病5事業ごとに医療連携体制を構築することが決まりました。平成25年度からは「5疾病5事業および在宅医療」とされています。

 

 5疾病とは「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」「精神疾患」で、5事業とは「救急医療」「災害時における医療」「へき地の医療」「周産期医療」「小児救急医療を含む小児医療」です。

 

 5疾病の中でも糖尿病は、強く疑われる人が約1000万人、可能性を否定できない人が約1000万人と推計されており、その対策は国民的な課題となっています。

 

 糖尿病の多くを占める2型糖尿病(糖尿病全体の約95%)は、遺伝的素因を背景に生活習慣などの環境要因や加齢の影響が加わることで発症します。初期段階では自覚症状が乏しく早期発見が難しいのが特徴です。

 

 その一方で、いったん糖尿病が発症してしまうと、3大合併症と呼ばれる網膜症、腎症、神経障害という重大な合併症も加わり、日常生活に大きな支障が生じてしまいます。最近の研究では、同じく5疾病である脳卒中や急性心筋梗塞、さらにはがんや認知症のリスクまでも(糖尿病があると)高くなることが明らかになってきました。

 糖尿病情報センター・ホームページ>一般の方へ>合併症:

 http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/index.html

 

 そんな状況の中、国立国際医療研究センター(NCGM)は、主に働く世代における糖尿病の予防対策を支援するために、「糖尿病リスク予測ツール」を開発しました。健康診断等で得た自分のデータを入力することで、3年後の糖尿病発症リスクを予測することができます。対象は「糖尿病と診断されたことのない3059歳の人」です。

 

 職域多施設研究「J-ECOHスタディ」で収集した約3万人の健康診断データをもとに人工知能(AIArtificial Intelligence)の機械学習の技術により開発されたこのツールによって、自身の糖尿病発症リスクを把握し、食事や運動といった生活習慣改善のきっかけにすることが期待されています。

 

 糖尿病リスクの予測は、「糖尿病の既往」「性別」「年齢」「身長」「体重」「腹囲」「タバコを吸っている(いいえ/はい)」「最高(収縮期)血圧」「最低(拡張期)血圧」「高血圧の薬(なし/あり)」「脂質異常症の薬(なし/あり)」の入力だけでできます(1.基本項目)。

 

 さらに「空腹時血糖」「ヘモグロビンA1c」「LDLコレステロール」といった血液データを入力すると、より正確なリスク予測を知ることができます(2.追加項目)。

 

 健診結果等を使って簡単に3年後の糖尿病発症リスクを知ることができますので、ぜひ御確認ください。

 国立国際医療研究センター 糖尿病リスク予測ツール:

 https://www.ncgm.go.jp/riskscore/

 

F-072へつづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 もちろん私も、医師として、誰もが健康に暮らしてほしいと願っています。

しかし、「健康でいるべき」「肥満はだめ」「糖尿病はいけない」といった風潮は、とても危険だと思っています。バイオパワーだからです。詳細は下記ブログ記事にまとめています。

 

F-056~「不摂生が理由で病気になった人の医療費を健康のために努力している人が負担するのは『あほらしい』ことなのだろうか?」:

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_277070.html


F-061~
「バイオパワー(生権力)」:

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_292569.html

 

 

糖尿病リスク予測ツール

国立国際医療研究センター HPより引用