F-065:水木しげるさんの「幸福の七か条」 -前編-
<幸福の七か条>
第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない
第二条 しないではいられないことをし続けなさい
第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし
第四条 好きの力を信じる
第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ
第六条 怠け者になりなさい
第七条 目に見えない世界を信じる
「水木さんの幸福論」(日本経済新聞社)
最近読んだ雑誌記事で「日本では49.8歳が最も幸福度が低い」という事実を知りました。
(プレジデントオンライン「格差目の当たり『同窓会』という残酷物語」、2018.12.17配信)
まさに私の世代の話。高い臨場感を感じながら記事を読みました。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721658.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html
記事によると、この世代の幸福度が低いのは日本だけでないとのこと。世界中で40代から50代世代の幸福度が低いことを、英米の大学教授が立証したそうです。英ウォリック大学のアンドルー・オズワルド教授と米ダートマス大学のデービッド・ブランチフラワー教授です。
二人は「幸福度と年齢に相関関係がある」という研究結果を発表しました。80カ国200万人以上を対象に調査し、「40歳から50歳までの人は、20代、30代の若年層や60代以上の高齢層と比べ、幸福度が低い」ということを突き止めています。
研究によると、この傾向は日本、英国、米国など先進国から発展途上国までほとんど変わらなかったそうです。
記事ではその理由を「40代から50代のミドル世代は経済的な制約が多いせいで、他の世代と比較して幸せそうな人が少ないように感じる」と分析していましたが、決して経済的制約を主因とは考えていないようでした。事実、社会・経済的地位、子供や離婚経験の有無などは影響がなかったようです。
「40代に入ると男たちは仕事に脂が乗り、以前に増して仕事に注力する人が増える。それが50代になると今いる会社で先が見えてしまった人とそうでない人とに分化し、前者の背中には哀愁が漂うようになってくる」と記事中にありましたが、その文面からはアルバート・バンデューラ博士(スタンフォード大学)が唱える「エフィカシー」の低下が感じられます。
エフィカシーとは「ゴール達成能力の自己評価」のことで、コーチング成功の鍵となるものです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html
以前のブログ記事(F-026:最近の研究・調査で明らかになった日本の課題とその解決法)で御紹介したとおり、米パデュー大学の研究により「収入が一定額以上に達した場合、それ以上増えたとしても人生の満足度(life evaluation)や感情面での幸福度(emotional well-being)が増すことはなく、むしろ低下する」ことが明らかにされています。
WHO(世界保健機関)の定義では「健康=well being」ですので、収入と健康が相関しないばかりか、「たくさんのお金が、むしろ、人を不健康にする」ともいえます。
満足や幸福の秘訣はお金とは別のところにありそうです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8430748.html
では、私たちは幸福を実現するためにどのように心がけ、何に取り組めばよいのでしょうか?
…ところで、「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの漫画家 水木しげるさん(1922~2015年)を御存知でしょうか?
水木さんは、太平洋戦争時にニューギニア戦線・ラバウルに出征。敵機の爆撃で左腕に重傷を負い、無麻酔下で左上肢切断術を受けました。戦後、波乱万丈の日々を過ごされましたが、大好きな妖怪話から生まれた「ゲゲゲの鬼太郎」のヒットなどで人気作家へとなっていきます(しかし、その後もマイペースぶりを発揮し「Not Normal」な日々を過ごされたようです)。
そんな水木さんは、片腕を失ったことに対して「私は片腕がなくても他人の3倍は仕事をしてきた。もし両腕があったら、他人の6倍は働けただろう」と語っています。
このコメントからは、エフィカシーの高さが読み取れます。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html
さらに「左腕を失ったことを悲しいと思ったことはありますか?」という問いには、「思ったことはない。命を失うより片腕をなくしても生きている方が価値がある」と答えています。
過去にこだわらず、未来にフォーカスするマインドです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html
水木さんの言葉には100% want toのゴールに向かうエネルギーとクリエイティビティ(創造性)があふれています。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html
…次回、コーチングマインドを持っていたに違いない漫画家 水木しげるさんの「幸福の七か条」を、コーチの視点で読み解きます。お楽しみに。
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
「…50代になると今いる会社で先が見えてしまった人とそうでない人とに分化し、前者の背中には哀愁が漂うようになってくる」のは心理学者 アブラハム・マズローの欲求階層説(自己実現理論)でいうところの第四の階層「承認(尊重)の欲求」にとどまっているからです。
承認(尊重)のレベルは低い承認のレベルと高い承認のレベルの二つがあります。
マズローは低い承認のレベル(他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などで満たされる)にとどまり続けることは危険だとしていました。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9963845.html
高い承認のレベルとは、自己尊重感、技術や能力の開発、自己信頼感、自立性などが満たされること。それはコーチングで重要視するエフィカシーのことです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html
マズローの述べた五層目、六層目に到達するためにコーチングがとても有効です。コーチングは「50代で背中に哀愁が漂うかどうか」を決める鍵といえます。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9966391.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10116950.html
しかしながら、コーチングにはもっともっと大きな役割があります。
本当は思春期から潜在的に抱えている「スピリチュアルペイン」を克服し、真の意味で健康に生きるためにコーチングの知識とスキルが必要!
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8293317.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11301259.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11386276.html
コーチングは個人の成長や健康、幸福にとどまらず、社会そして未来の幸福を実現する大切な縁起となるはずです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html
【お知らせ】
2019年1月26日(土)、鹿児島市でコーチングセミナーを開催します!
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14188687.html
水木しげる氏
Wikipediaより引用(文化功労者選出に際して公表された肖像写真)
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