PMⅠ:The Power of Mind

PM-06:職場への苫米地式コーチング導入挑戦と明らかになった課題

PM-06-06:仮説01)変わらないコンフォートゾーン(CZ)が生みだす「現状維持の壁」

 

この章(第六章)では、「院長を務めていた病院へのコーチング導入“失敗”」という事例について、仮説を立て、トゥイーキングを行っていきます。その目的(ゴール)は、「失敗から学び、“いのちの現場”にコーチングをしっかり届けること」です。

告知:http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13216030.html

“失敗”を解決する方法:http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13397552.html

 

 

仮説01)変わらないコンフォートゾーン(CZ)が生みだす「現状維持の壁」

 

 象徴的なエピソードを御紹介します。

 

前述のとおり、私は2007年に病院長に就任しました。

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病院の代表としてたくさんの方々と交流する機会がありましたが、「ホームページでは違う人が院長になっているが、本当にあなたは院長なのか?」という質問をされることが少なくありませんでした。確かに病院の公式ホームページは先代の院長のままでした。

 

当初は指摘されるたびに経営陣に訂正をお願いしましたが、結局退職するまでの11年間、ホームページ上の病院長は亡くなられた先代院長のままでした。まるで時が止まってしまったかのように。

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いつしか私の持ちネタとなったこの事実は、経営陣のコンフォートゾーンがまったく変化しておらず、私がその外に存在していたことを表しています。

 

コンフォートゾーン(CZ)とは、「心地よい空間」のことです。

それは物理的な空間の話だけではなく、心の中での情報的な空間のことも含んでいます。

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私たちは常にCZの中に居続けようとしますが、ここで重要なことはCZは必ずしも自分の意識上のイメージ(目標、ゴール)とは一致していない」ということです。

 

例としてダイエットで考えてみましょう。

何かをきっかけにダイエットに取り組み一時的に痩せることができても、また元に戻ってしまうことって多いですよね。

それを「リバウンド」といいますが、これは(無意識下の)CZが「太っている私」のままで変わっていないことが原因です。

 

意識の上では「痩せたい」と願っていても、CZが「太っている私」のままでは、いくら頑張っても自然に元に戻ってしまいます。「太っている私」を維持するようにホメオスタシス(恒常性維持機能)が強力に働くからです。

 

ホメオスタシスは、脳が進化した人間においては、物理空間だけではなく情報空間にも働きます(注:物理空間も情報空間の一部です)。

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よって、CZを先に動かしてしまう」ということが、変化のための重要なポイントになります。先に動かすCZとは物理的な外部環境のことではなく、心の内側に広がる情報空間(あるいはIRinternal representation、内部表現)での話です。

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PM-06-03で取り上げた内科医師の例でいえば、(自分の内側ではなく)外側を変えようとする態度(&その態度を生みだす価値観=ブリーフシステム)が問題の原因であり、解決するべきポイントだったといえます。

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自分は薄い術衣のまま、外(環境)の温度を極端に変えることで快適な状態を保とうとする習慣はその象徴です。暑ければ(それ以上は脱ぎようがないので)汗をかく、寒ければ厚着をするといったような「まず自分を変えていく」という姿勢が欠けていました。

 

自分を変えることなく外を変えようとすることは、自身の心(情報)はそのままで(情報の写像である)物理だけを無理に変えてしまおうとすることです。情報空間と物理空間は抽象度が違いますが、生命(現象)はそのすべてにまたがって連続的に存在しています。

それを認知科学者 苫米地英人博士が理論化したものが「超情報場仮説(理論)」です。

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自分を変えることなく外を変えようとすることは、現状のCZを変えることなく未来を変えようとすることにもつながります。

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そのような発想でうまくいくはずがありません。

すべては双方向の縁起であり、その縁起に向き合う自分の心(マインド)がすべてを生みだしているからです。

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常に変化は自分の内側(心)から始まります。

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嫌なことや二度と繰り返したくないことでもそのイメージから抜け出すことは簡単ではありませんが、現状が意識上でも心地よい場合は、その状態から抜け出すこと、つまりそこからさらに進化・向上していくことは限りなく困難です。

成功の記憶が、さらなる成功を遠ざけてしまうのです。

 

成功し一時代を築いた人や会社がやがて信じられないほど凋落していくのは、CZを動かせなかったからです。成功の記憶に縛られ、スコトーマを外せなくなったからです。

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「どうしてこの病院を選んだのですか?」という私の質問に対して、「とにかく人間関係のいい職場を探してくれと頼んだらここを紹介された」と中途採用の職員が答えてくれたことがありました。

 

実際に人間関係がよかったかは別として、意識上でもすでに心地よい空間(CZ)であればあるほど、それを変えようとすることには強い抵抗が生まれます。職員が現状の職場を「いい職場」と認識していればいるほど、現状を変えようとする出来事は、たとえそれがより望ましいことであっても、無意識が激しく抵抗します。

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多くの職員にとって現状は「いい職場」という強力なCZであり、それを揺さぶる私は「心地よい現状をぶち壊し、居心地を悪くするイヤな奴」だったのでしょう。職員の思いについては、経営陣が裁判所に提出した(調停の主旨とはまったく関係のない)“証拠”のおかげで知ることができました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html

 

リーダーとは、「ゴールの更新により『もっといい未来』を生みだし続け、どんどん現実化していく存在」です。よって、ゴールを共有しラポールが強力なのは大前提ですが、(少しばかり)「イヤな奴」や「困った人」と思われるくらいがちょうどいいのです。

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しかしながら、真面目なリーダーほど、この「現状維持の壁」に苦労することになります。「イヤな奴」「困った人」と思われることに痛みを感じるからです。

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現状のCZに居座ることは「退化の始まり」です。その発想のままでは、日本のいくつかの大企業と同じように、いつか必ず破綻します。

 

I-022で経営学者 ピーター・F・ドラッカー(19092005年)の言葉を紹介しました。そのドラッカーが繰り返し引用していたヨーゼフ・シュンペーター(18831950年)の「創造的破壊」という言葉は、現状のコンフォートゾーンを克服することの重要性を言い表しています。

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<仮説01:変わらないコンフォートゾーン(CZ)が「現状維持の壁」を生みだし、組織を破滅に向かわせる>

 

<トゥイーキング01:コンフォートゾーンをチーム全員で破壊する>

 

    「創造的破壊」において、破壊するものとは「現状のコンフォートゾーン(CZ)」。創造するものとは「ゴール側、すなわち未来のコンフォートゾーン(CZ)」

    そのことを組織全体でしっかり認識し、共有することが組織改革の第一歩

 

 

(つづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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