ブログ・シリーズ編
S-01:よりよい“議論”のために
S-01-19:コーチング的視点で考えるバイオパワーの問題
このシリーズでは、 “議論”について、そして“議論”をよりよくすることについて考察します。
PMⅠ-02-13:http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6194585.html
I-017(告知):http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11594310.html
S-01-00(目次):http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11613757.html
19:コーチング的視点で考えるバイオパワーの問題
前回、K戦略の技術として有名なものにバイオパワー(BP=生権力)という論理があることを御紹介しました。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13076426.html
「相手側の論理の背景には、直接的な抑圧ではなくても、生活に組み込まれた目に見えない順応を強いるバイオパワーがあり、これが人々を戦争に駆りだしたり、市民間での生活破壊の元凶となっている」といった論理のことです。
ディベートでは、「肯定側の論理はバイオパワーを生み出している。したがって、そのような論理は有効とされるべきではない」という主張を行いますが、正しい議論が行われないとチームの潜在意識にバイオパワーが生みだされることになります。
バイオパワーに関しては、ミシェル・フーコー著「監獄の誕生」(新潮社)を御参照ください。
バイオパワーに支配された強制的・強迫的文化(coercive culture)の下では、ほとんどのスタッフのマインドは「~ねばならない(have to)」となってしまうため、その豊かな潜在能力を発揮することはできず、その結果として、組織も廃れていくことになります。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html
ブログ記事や講演会でよく引用する話ですが、ハーバード大ビジネススクール名誉教授のジョン・P・コッター氏がフォーチュン500社の200社以上を10年以上追跡し分析した研究によると、「~したい(want to)」が文化の会社と「~ねばならない(have to)」が文化の会社の間では、生産性(利益率)で756倍の違いが生じていたことが明らかになっています(「CORPORATE CULTURE AND PERFORMANCE」…残念ながら日本語訳は出版されていません)。
ちなみにコッター教授は「want to」を「Adaptive Culture」、「have to」を「Non-Adaptive Culture」と表現しています。
Adaptive Culture:協調性が高く、社員が自発的で、クリエイティブな発想の下で働ける文化
Non-Adaptive Culture:競争相手の会社に負けないために常に攻撃的。社内的にはちょっとしたミスでも給料を下げ、クビになる不安や恐怖で社員を押さえつける文化
間違った議論や議論そのものが封殺されてしまうことで生じるバイオパワーは、じわじわとスタッフの心を蝕みます。そして、各人の豊かな潜在能力を潰していきます。それは「人を大切にする」という多くの会社や組織が標榜する理念とは正反対の姿です。
そして、その悪影響は、やがて社会全体に広がっていきます。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10691562.html
バイオパワーにより組織や社会を荒廃させないためにも、よりよい“議論”の実現が必要です。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11995099.html
-参考-
苫米地英人博士著「ディベートで超論理思考を手に入れる」(CYZO)
(つづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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