ブログ・シリーズ編

S-01:よりよい“議論”のために

S-01-15ディベートを制する4つのポイント-2 <インヘレンシー>

 

このシリーズでは、 “議論”について、そして“議論”をよりよくすることについて考察します。

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15:ディベートを制する4つのポイント-2 <インヘレンシー>

 

インヘレンシーというのは、ハームの内因性の論理です。

 

否定する側から見た場合、そもそもハームが「現状(Status Quo)」に内因的であるのかどうか、したがってそもそも論題を採択することでのみハームは解決するのかということを指します。

 

「現状」が肯定側のプランなしでもハーム(問題)を解決することができるのであれば、肯定側のプランはいらないという論理でもあります。もしくは、「現状」を維持すれば問題が修復されるのであれば、そんなものはハームではないという論理です。

 

逆に、肯定側から見れば、「現状」に内因的であるならば、これは放っておいても直らない。それなら肯定側のプランを採択しなければならないという論理です。

 

よって、インヘレンシーは、ハームの本質的な原因は何かという議論といえます。

 

今回のケースでは、「学生のモチベーションを高めるために副賞(多機能ペン)が必要なのか?」「副賞を贈ったら看護師不足は防ぐことが(改善することが)できるのか?」という議論です。

 

「多機能ペンを贈る贈らないではなく、マインドについての知識が不足しているためにモチベーションがコントロールできていないことが問題の本質」かもしれません。あるいは、「マインドについて学び実践するコーチングを導入することで、より効率的に地域の医療を改善できる」かもしれません。

 

 

具体的には、「構造性インヘレンシー」「行動性インヘレンシー」「実存性インヘレンシー」の3種類があります。以下、参考としている苫米地博士の「ディベートで超論理思考を手に入れる」(CYZO)から引用します。

 

 

「構造性インヘレンシー(Structural Inherency)」とは、法律、条約、判例、閣議決定、省令その他の法もしくは法に順ずる「障害(Barrier)」があり、現状では肯定側のプランを採択しようがないという論理です。サブタイプとして、「構造ギャップインヘレンシー(Structural gap Inherency)」があります。これは法的な阻害要因ではないのだけど、過去の立法の不備などで、そのままでは現状の中で肯定側のプランを採用しようがない場合の例です。

 

「行動性インヘレンシー(Attitudinal Inherency)」とは、政権の思想や主義などにより、現状では肯定側のプランは採択されることはないという論理です。Attitudeは「態度」ですが行動性と訳すほうが五感としてあっています。

 

「実存性インヘレンシー(Existential Inherency)」とは、なんらかの問題(ハーム)が現実問題として現状に継続しているというハームの実存性から、放っておいても問題解決は現状ではあり得ないという論理です。

つまり、もしハームが実際に存在しているのに、現状で肯定側のプランがすでに実行されていないということは、何か見えない要因が肯定側のプランの採択を阻害しているに違いないという論理といえます。

 

 

このように肯定側のプランを採択する以外の方法では、ハームを解決することができないという論理がインヘレンシーの論理です。

 

今回のケースでは、肯定側はプラン(多機能ペンを贈る)のみが唯一ハームを解決することができるのであり、現状には解決能力がないと示す義務があります。

 

これに対して否定側は、現状に阻害要因があるかを問う、インヘレンシーそのものを攻撃するのでなく、肯定側の提案した方法以外にもハームを解決する方法はあるのだと積極的に提案することもできます。これをカウンタープランといいます。

例えば、「これを機会にディベートやコーチングをみんなで学んでいけば、よりよい解決策をどんどん見つけることで、もっと進化・向上できる」です。

 

その場合、否定側のプランのほうが優れていれば、肯定側の敗北になります。

 

-参考-

苫米地英人博士著「ディベートで超論理思考を手に入れる」(CYZO

 

(つづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)