F-046:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから学んだこと 後編:ミラーニューロン

 

 この世は無常です。

 

 生じたものには、必ず滅するときがやってきます。

 生あるものには、必ず死が訪れます。

 

 その死までの道程に深く関わる医療・介護現場では、辛いことですが、老病死がとても身近に感じられます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8045953.html

 

 医師としての本音でいえば患者さんにはいつまでも元気でいてもらいたいのですが、自然な(そして楽な)最期を迎えられるようにお手伝いすることも、私の大切な機能・役割だと思っています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 

先日、穏やかな看取りに立ち会いました。

 

患者さんは70代の男性でした。詳しくは書けませんが、アルコール依存が原因で家族とは疎遠だったようです。

 

その患者さんは、肺炎を繰り返すたびに老衰が進行していきました。血液中の酸素量を示す酸素飽和度(SpO2)の低下があり、酸素吸入を必要とする時間がどんどん増えていきました。

 

でも、そんな状況にもかかわらず、私が診察に伺ったときはいつも、とびきりの笑顔で迎えてくださいました。

 

死の2週間前からは、とてもとても辛そうな呼吸をされていました。

しかし、スタッフには必ず笑顔で応えてくださいました。死のほんの直前まで。

 

そんなあたたかい看取りに携わりながら学び考えたことを、3回に分けてまとめます。前編(F-044)は「布施」、中編(F-045)は「ブラインドサイト」がテーマでした。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11142143.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11294790.html

 

 今回は「ミラーニューロン」です。

 

 

 人間の脳にはミラーニューロンというものがあります。人間が認識や理解を共有することができるのも、言語を獲得することができたのも、このミラーニューロンのおかげです。

 

以下、Wikipediaから引用します。

ミラーニューロン(英:Mirror neuron)は霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動するときと、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞である。他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように“鏡”のような反応をすることから名付けられた。他人がしていることを見て、我がことのように感じる共感(エンパシー)能力を司っていると考えられている。このようなニューロンは、マカクザルで直接観察され、ヒトやいくつかの鳥類においてその存在が信じられている。

(中略)

ミラーニューロンの機能については多くの説がある。このようなニューロンは、他人の行動を理解したり、模倣によって新たな技能を修得する際に重要であるといえるかもしれない。この鏡のようなシステムによって観察した行動をシミュレートすることが、私たちの持つ心の理論の能力に寄与していると考える研究者も存在する。また、ミラーニューロンが言語能力と関連しているとする研究者も存在する。さらに、ミラーニューロンの障害が、特に自閉症などの認知障害を引き起こすという研究も存在する。しかし、ミラーニューロンの障害と自閉症との関係は憶測の域を出ておらず、ミラーニューロンが自閉症の持つ重要な特徴の多くと関連しているとは考えにくい。

 

ミラーニューロン(マカクザル、from Wiki)

マカクザルの新生児が相手の表情を真似ている


 引用終わり

 

 

シンプルにまとめると、相手の行動と同じ行動をするための神経回路網がミラーニューロンです。

例えば、目の前の人が右手を上げたのを見た場合、視覚野が発火するだけでなく、運動野も発火していると考えられています。まるで、自分が右手を上げているかのように。

 

つまり、何かの行動を見たとき、あたかも自分がそれを行っているように、人の脳は神経活動をしているのです。

例えば、勇敢な行動をとる人を見た場合は自分もその勇敢な行動をとったように脳は情報処理を行います。逆に、口汚く罵る人を見てしまった場合、まるで自分自身が口汚く罵っているように情報処理が行われてしまいます。

 

「仁義なき戦い」などの任侠映画を観終わった大人達が、肩で風を切るように歩く様子をおもしろいと思いながら見ていた子供の頃の記憶があります。歩容の変化は(変性意識と臨場感で説明することも可能ですが)ミラーニューロンによるミラーリングにより起こっていたと考えられます。もちろん、その様子を観察していた私の脳でもミラーニューロンが発火していたはずです。

 

以前のブログ記事で、「観測者(認識主体)の知識・知能が上がれば上がるほど観測(認識)される宇宙は『たいしたことがある』ものになるという可能性」についてまとめました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9672202.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9963314.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10400813.html

 

その「『たいしたことがある』ものになるという可能性」は、ミラーニューロンによって周囲の人々に広がります。

そして、その広がりをきっかけとした周囲の人々のそれぞれの知識・知能の向上を、今度は“私”がミラーリングすることで(自分の)知識・知能がさらに向上し、観測される宇宙がさらに「たいしたことがある」ものになっていきます。

 

周囲を「宇宙」と表現すると、「自分」をアップデートすることで「宇宙」をアップデートすることができ、アップデートした「宇宙」から(ミラーニューロンにより)影響を受けることで「自分」をさらにアップデートできる

 …それがミラーニューロンを持つ人間と宇宙の理のようです。まさに縁起です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

人間は、ミラーニューロンを持つ

 

ミラーニューロンを進化・向上の方向にどう導くか? 

その鍵がコーチングにあると、私は確信しています。

 

 

 ゴールに向かい生きる充実感が自然に笑顔となってあらわれる

 その笑顔が関わる人たちへ伝わり(ブラインドサイト)、あたたかい働きかけとなり(布施)、まわりを徐々に笑顔に変えていく

 まわりが笑顔にあふれ、ますます自身も笑顔になる(ミラーニューロン)

 その笑顔の輪の広がりの先に、各人の心の平和があり、世界の平和がある

 

 

 以上が、笑顔のままお亡くなりになった患者さんの看取りに携わりながら学び考えたことです。

 

 

笑顔は万国共通のパスポート

by 斎藤茂太

(精神科医、19162006年)

 

 

 笑顔とは、平和な世界(未来)へ“入国”するための、誰もが持つことができる、大切なパスポートなのかもしれません。

 

 

Peace begins with a smile

by Mother Teresa

(カトリック教会の修道女、19101997年)

 

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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