F-040:「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ ♪」中編

 

 2018516日に、昭和を代表する歌手 西城秀樹さんが亡くなられました。63歳という若さでした。

 

 「ヒデキ」と聞くと、私が思いだすのは「YOUNG MAN」です。さわやかに歌いながら踊る姿をよくまねたものです。

 

 当時の記憶を思いだしながら、「YOUNG MAN」の歌詞を読みあげてみました。すると、サビの部分に少し気になるところがありました。

 

 

 素晴らしい YMCA YMCA

 憂鬱など吹き飛ばして 君も元気だせよ

 素晴らしい YMCA YMCA 

 若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ

 

 

「今の若者たちは『なんでもできる』という言葉を素直に受け入れるのだろうか?」という視点で、前回(F-038)の記事を書きました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10256356.html

 

 

 歌詞をイメージすることは、コーチングで重要視するセルフトークの実践といえます。セルフトークにより、ゴール側のコンフォートゾーンやイメージ(ビジョン)を強化することができます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

よって、どのような歌を好むかは、人生を創造する上でとても重要な要素となります。

 ちなみに、この件(くだり)を書いている今、私の頭の中に流れている歌は「アンパンマンのマーチ」です(笑)。作者のやなせたかしさんの思いがあふれるすばらしい歌詞について、いつか取り上げたいと思います。

 

「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ」をセルフトークとして考えると、少し注意が必要になります。

 

「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ」という言葉の裏に、「老いていくとやりたいことはできなくなっていく」というエフィカシーを下げるネガティブなメッセージが潜んでいるからです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 

 やりたいことがなんでもできるのは、本当に“若いうち”だけなのでしょうか?

 

 

私の答えは、半分はYes、半分はNoです。

 

今回はYesの理由について、医療・介護現場が抱える課題を紹介しながら考察します。

課題とは、「転倒・転落予防のために高齢者に何もさせない問題」です。

 

 

「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ ♪」の反対は、「老いていくとやりたくても 徐々にできなくなるさ ♪」といった感じでしょうか。

 

 人間の物理空間でのピークは20代前半です。

 自覚はしていなくても、20代後半から静かに老いは進行していきます。「老眼」はその代表で、社会的にはバリバリ活躍している40代にして「老」の烙印が押されてしまいます。

 (細かいことをいうと、もっともっと早い段階から老いは始まっています)

 

 では、ここで問題です。直感で答えてください。

 

 

 Q20歳の時点での片足立ちの能力を100とした場合、60歳では? 80歳では?

 

 

 皆さん、どのくらいだと思いますか?

 答えは過去のブログ記事に記してあります。ぜひ確認してください。きっとビックリされますよ。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8045953.html

 

 ふだんは老いの変化はスコトーマに隠れ、なかなか認識できません。

しかし、気がつかないうちに、私たちの身体機能は確実に低下していきます。歩きなれたはずの道で転ぶようになり、家の中での動作にも支障がでてくるようになります。

いわゆるADLActivities of Daily Living、日常生活動作)が徐々に低下していくのです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

 さらに年をとっていくと、老いの変化に次々と病が重なるようになります。例えば、徐々に足の筋力が衰えていたところに骨折や肺炎がおこり、“寝たきり”の状態やそれに近い状態になってしまうという感じです。

 もちろんそうならないようにリハビリなどの医療があるのですが、どんなに頑張ったとしても、残念ながら、老いは確実に進行していきます。年々病にかかりやすく(治りにくく)なっていきます。

 

 病院や介護施設には、生活動作に介助を必要とする方々がたくさんいらっしゃいます。しっかりされているようでも、ちょっとしたことで転倒してしまったり、ベッドから転落してしまいます。

 

 転倒・転落の防止を目的とするならば、何もせず(させず)じっとしていてもらうことが一番です。しかし、それでは下肢筋力などの身体機能がますます低下してしまいますし、精神機能にも悪影響が生じます(認知機能低下など)。

 その一方で、自立を促すほど転倒・転落の危険は増します。太ももの付け根を骨折してしまえば(大腿骨頸部骨折)、車椅子生活となってしまう可能性がグンと高まります。

 

 転倒は怖いが、動かないとますます転倒しやすくなる

転倒予防にどんなに取り組んでも、老いは確実に進行していく

何もしない(させない)方がよいかもしれないが、何もしないとますます衰えていく

 

 これが医療・介護現場が抱えるジレンマです。

 

 残念ですが、年をとるごとに確実に身体機能は衰えていきます。

よって、「老いていくとやりたくても 徐々にできなくなるさ ♪」と現実をしっかりと受け入れつつ、「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ 」と次世代の背中をやさしく押してあげられるように生きることが望ましいのではないでしょうか。

 

 私たちが存在する(と感じる)物理空間には物理的制約が働いています。1日生きると、1日分残された生命時間(寿命)は短くなり、その分身体が死に向かって老いていきます。

 

 若いうちは無限にあるように感じられる時間がじつは有限であること、そしてその時間制約の中で体力や身体機能は衰える一方であることを知ったとき、「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ ♪」という歌詞は、「若くてもやりたいこと以外 やってる場合じゃないのさ ♪」という叫びに変わります。

 

 そんなメッセージを、コーチングや苫米地理論とともに、若者に伝え続けたいと思っています。

 

 

 次回(F-042)は、このような生き方を“超越”します。お楽しみに。

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 「若くてもやりたいこと以外 やってる場合じゃないのさ ♪」をNHK的に表現すると、「ボーッと生きてんじゃねぇよ!」になります(笑)。