F-038:「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ ♪」前編

 

 2018516日に、昭和を代表する歌手 西城秀樹さんが亡くなられました。63歳という若さでした。

 

 「ヒデキ」と聞くと、私が思いだすのは「YOUNG MAN」です。さわやかに歌いながら踊る姿をよくまねたものです。

 

 当時の記憶を思いだしながら、「YOUNG MAN」の歌詞を読みあげてみました。すると、サビの部分に少し気になるところがありました。

 

 

 素晴らしい YMCA YMCA

 憂鬱など吹き飛ばして 君も元気だせよ

 素晴らしい YMCA YMCA 

 若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ

 

 

 「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ」とありますが、今の若者たちは「なんでもできる」という言葉を素直に受け入れるのでしょうか?

 

 

 内閣府が公表している「子ども・若者白書」(平成26年度版)によると、日本の若者は諸外国と比べて、自己を肯定的に捉えている者の割合が低く、自分に誇りを持っている者の割合も低いことが明らかになっています(図表2)。

 

内閣府平成26年度版子ども・若者白書 図表2

内閣府HP

平成26年度版 子ども・若者白書より引用


 さらに深刻なのは「自らの将来に対するイメージ」です。

 自分の将来に希望を持っている割合(図表12)は6割強、40歳になったときに幸せになっていると思う割合(図表13)は7割弱で、いずれも諸外国の中で日本が最も低いことが明らかにされています。年代が高くなるほど、その傾向は顕著となります。

 

内閣府平成26年度版子ども・若者白書 図表12

内閣府平成26年度版子ども・若者白書 図表13

内閣府HP

平成26年度版 子ども・若者白書より引用


 これが現代の日本の子どもや若者の実感です。

 

 「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ」と高らかに歌う曲が大ヒットしたことを考えると、当時(1979年)においても「やりたいことがなんでもできる」ということは、決してあたりまえではなかったことが伺い知れます。

 

 おそらくそれは、親や教師などの大人が、あるいは既得権益が、ドリームキラーとなってしまうからです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html

 

 ドリームキラーは、「現状肯定」「現状維持」という人間の情報処理のメカニズムが生みだすものであり、「出る杭は打たれる」等古くから知られている人間(社会)の特性です。

ちなみに、西洋文化においても「Envy is the companion of honor(嫉妬は栄誉の伴侶)」「Tall trees catch much wind(大木は風に折られる)」など、同様の意味を持つことわざがあります。

 

 そんな風潮や“憂鬱”を“吹き飛ばす”ために、西城秀樹さんは「YOUNG MAN」を歌い、当時の若者は熱狂したのだと思います。「やりたいこと」を思い描く自由と能力があることを信じ、「ドリームキラーに対して屈するな!」と心の中で叫びながら。
 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 ところが、現代は「やりたいこと」を自由に思い描くことが困難となり、その能力さえも信じきれない時代になってしまいました。

 

 かつて「YOUNG MAN」を歌い踊った世代は、今、社会の中心的な役割を果たしています。あの当時の「ドリームキラーに立ち向かう気持ち」や「やりたいことを“現状の外”に思い描くワクワク感」を思いだし、次世代の若者たちに伝えてあげるべきではないでしょうか。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 西城秀樹さんの訃報を知り、そんなことを考えました。

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

 ところで、YMCAって何のことか御存知ですか?

 

 …Wikipediaには衝撃の事実が記されています。

 

 「YMCA」は「Young Men’s Christian Association」のことで、キリスト教青年会による若者(主に男性)のための宿泊施設を指しているそうです。

 ユースホステルのようなドミトリー(相部屋)の部屋もあるため「ゲイの巣窟」とされ、「YMCA」はゲイを指すスラングでもあるとのこと。

 

 なんと、「YMCA」のオリジナル楽曲をリリース(1978年)したアメリカ合衆国のディスコグループ ヴィレッジ・ピープル(Village People)自体が、ゲイをコンセプトにメンバーが集められていたそうです。

YMCA」はゲイを題材にした「ゲイソング」であり、歌詞の中には様々なキーワードが隠されているということです。

 

 

 素晴らしい YMCA YMCA 

 若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ

 

 

 YMCA」を「性の多様性」「性のアイデンティティ」を訴える先駆的な歌と捉えると、また印象が変わってきませんか?

 

 印象が変わるのは、「IImageImagination)」が変化したからであり、新たな知識が加わることでゲシュタルトが再構築されたからです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6193912.html

 

 すべてが情報であり、その情報処理により世界(宇宙)がどんどん書き換わっていくということが理解できると、「やりたいこと なんでもできるのさ ♪」という歌詞は紛れもない事実であることが実感できます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html