ブログ・シリーズ編
S-02:自由に生きるために ~マナー、ルール、モラルについて考える~
S-02-09:「ルール違反」が「ルール違反ではない」に変わった一例 -前編-
「マナー」「ルール」「モラル」は(議論を通じて出来上がった)誰もがよりよく生きるための約束事のはずですが、一方でお互いの自由を奪い合う装置として働きます。
ただし、その3つには明確な違いがありそうです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10400987.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_292569.html
このシリーズ編第2弾(S-02)では、自由に生きることをテーマに、マナーやルール、モラルについて考察します。ぜひ皆さん自身の自由について思いめぐらしながら読み進めてください(Don’t think. Feel!)。
告知(I-030):
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S-02-00(目次):
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「ルール」を守ることはなによりも優先されるべきことなのでしょうか?
もし「ルール」が守れなかった場合、罰を受けさえすればよいのでしょうか?
人の命を奪った人も、その刑期を全うすれば完全に許されるのでしょうか?
では、次のケースで考えてみましょう。
<case12:自分の都合で契約を一方的に破棄した専門職Bの場合>
あるグループ会社があります。その中核的な組織は様々な専門職で構成されています。その中でも特に重要なある専門職は全国的に不足しているため、なかなか人員確保ができません。そこでその組織では、本社勤務の4名に加え、同じ敷地内にある関連会社に勤務する形でさらに専門職Bを1年契約(更新)で雇っています。
ある時、本社勤務の専門職の一人が入院することになり、業務内容にゆとりのある専門職Bにその間の応援をお願いすることになりました。
ところが、専門職Bはこれを拒みます。「本社の手伝いは契約にない」という理由で。
専門職の配置をグループ全体で考えていた本部は、契約内容の見直しを行うことにしました。しかし、専門職Bとの契約更新期限までに準備が間に合わなかったため、次の年に持ち越すことになりました。
ところが、専門職Bは新たな契約期間中にもかかわらず、一方的に退職を申し出て、その1カ月後には姿を見せなくなりました。契約破棄による一方的な退職の翌月、専門職Bがライバル会社で働いていることが判明しました…
このケースは「マナー違反」でしょうか? それとも「ルール違反」でしょうか?
…このケースでは「ルール違反」かどうかは微妙です。
まず、本社で欠員がでたときに「本社の手伝いは契約にない」という理由で応援を断った事例ですが、専門職Bの立場で考えるとこれは正当な主張(クレーム)だといえます。もし強要されたなら“契約違反”を訴えることが可能なはずです。
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困っている側からみるとやり切れないでしょうが、契約内容に改善の余地があることが問題の本質であり、怒りを専門職Bにぶつけることは“八つ当たり”です。
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では、専門職Bが新たな労働契約期間中に転職したことはどうなのでしょうか?
…労働契約解除が労働者からの申し出によるものを「自己都合退職」といいます。他の退職の形態には「定年退職」「会社都合退職」がありますが、中途退職のほとんどは自己都合退職です。
今回のケースは「6カ月以上の期間をもって報酬を定めた雇用契約」に相当するので、民法第627条第3項により3カ月後に退職が成立します。期間の定めのある労働契約については、民法第628条により「原則として契約期間の満了まで退職することはできない」はずです。労働者が一方的に退職した場合には、損害賠償請求の対象になります。
よって、このケースでの専門職Bの退職は、退職を一方的に申し出た時点では「ルール違反」であり、損害賠償の対象です。
しかし、この関連会社は、この一方的な退職を受け入れました。その瞬間、双方が合意したとみなされ、「ルール違反」ではなくなります。それを「合意退職」といいます。
よって、このケースでは「ルール違反」かどうかは微妙といえます。
(S-02-10につづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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シリーズ編第一弾(S-01)「よりよい“議論”のために」
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_254557.html