苫米地式コーチング認定コーチ CoacH T <タケハラクニオ> ブログ

認知科学者 苫米地英人博士に学び九州で活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

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L-148202111月医療系研修会 -03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33708684.html

 03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 

 

 人は、洗脳による支配から自由になったとき、初めて自分の本当の意思に基づいて未来を選択できるようになる

 そのためには、思考の抽象度を高め物事をより俯瞰して眺めること、スコトーマをずらし見える世界を変えることなどが必要

 

 前頭前野のブリーフシステム同士の矛盾を解決し、心の内の深い葛藤を解消するためには、抽象度を高めることが必須です。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ところが、恐怖や不安が強いと、そもそも抽象度を高めることができません。大脳辺縁系優位の「ファイト・オア・フライト」とは、抽象度が下がる(あえて下げる)遺伝子レベルの反応です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 よって、恐怖や不安への対処が重要といえます。健康な人にとってももちろん、認知症の方(&サポーター)にはなおさら、恐怖と不安のマネジメントが求められます。

 

 

 今回は、「闘争逃走反応」と訳される「ファイト・オア・フライト(Fight or Flight)」について確認しましょう。

 

 文字どおり「闘うか、逃げるか」という心理状態に陥る「ファイト・オア・フライト」は、前頭前野の働きをあえて抑えて“直感的な判断”を行うことといえます。大脳辺縁系が「闘う」と判断すれば、脳内にドーパミンやノルアドレナリンが分泌されて闘う準備が整います。

 (「ドーパミン」について、詳しくはこちらをどうぞ↓)

 Q-281~:ドーパミンの分泌をコントロールまたはその程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 その時はとても“動物的”。怒りっぽく攻撃的で、まわりのことは考えられず、他罰的になっています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10692725.html

 

さらには、時間を超えた推論ができないため、未来を自由に思い描けなくなっているはず。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 米国CDCが公表した「危機に瀕した時の行動(Negative Behavior)」でいうと、1)不必要な対処を求める、2)特別な関係に依存する、3)不必要に商業取引や渡航を制限する、4)MUPS(複数の医学的に説明困難な身体症状)があらわれる といった特徴が認められます。

 F-126~:続・クライシスの本質 ~首相による「一斉休校要請」と社会の反応を読み解く

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21664055.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21664503.html

 

 このような心の状態は、決して特別な状態ではなく、誰もが経験しうるものです。

実際、老病死(+生で四苦)の場である医療現場において、「ファイト・オア・フライト」は日常茶飯事。例えば、東京消防庁の調査によると(R1.12/16R2.12/10)、在宅での看取り予定にもかかわらず救急要請が行われた112件のうち、じつに97件で(救急要請を行った)家族の希望により不搬送になったそう。慌ててしまい救急を要請してしまったが(=大脳辺縁系優位)、救急隊が到着する頃(H28年全国平均:830秒)には冷静になっていた(=前頭前野優位)ということでしょう。

 F-216:激烈な腹痛の最中に得たインスピレーション -真夜中に、一人きりで-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27521647.html

 

 とくに生死にかかわるような危機的状況では、人の心は「拒絶→不安・恐怖→回避→希望の消失→パニック」と変化していきます。

CDCがまとめた「Psychology of a Crisis」には、こうした事態に対処するための4つの基本原則が示されています。それは

F-104:「映写機の故障により上映できるかわかりません」 Vol.4;リーダーの視点で

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19485793.html

 

1)     最初に最悪の可能性を伝え、それが改善していることを数字で伝える

2)     「必ず解決します」などの約束はNG。むしろ状況の不確定性を正確に伝え、その問題を解決するプロセスについてのみ伝える

3)     問題解決のプロセスが進んでいることや状況が改善していることを伝えるために、それを示すデータや数字を継続的に提供し続ける

4)     恐怖を認め、問題に関連する文脈情報を与える

 

 この4つの基本原則は、「レジリエンス(resilience)」においても重要です。

レジリエンスは物理学の用語で、「外力による歪み」を意味するストレスに対して、「ストレスを跳ね返す力」の意味で使われています。そこから心理学の世界にひろがり、「社会的ディスアドバンテージや自分に不利な状況において、そういった状況に自身のライフタスクを対応させる個人の能力」を表す言葉として用いられるようになりました。

シンプルにいうと「自発的治癒力」。それは「脆弱性(vulnerability)」の反対概念であり、「精神的回復力」「抵抗力」「耐久力」とも訳されています。

 F-142:不要不急 vol.3;レジリエンス <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22878502.html

 F-143:不要不急 vol.4;レジリエンスをコーチング理論で考える <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22931091.html

 

苫米地博士は、レジリエンスを「有事の際に迅速にリカバーし、元より強固になることができる性向」といった意味で使われています。それは「転んでもただでは起きぬ」というブリーフシステム(Belief SystemBS)が生みだすアティテュード。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 じつは、これこそが“次世代のリーダー”に求められるブリーフ。「希望を持ち続ける」「決して諦めない」=「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ことを可能にするブリーフです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 その鍵となるのは「〇〇〇〇(←漢字4文字)」。

 以下、苫米地博士の著書「『イヤな気持ち』を消す技術」(フォレスト出版、p185)より引用します。ヒーリングにおいても、コーチングにおいても、とても重要な「〇〇〇〇」をクリアにしてください。Feel

 

 

トラウマをとるには高度な脱洗脳テクニックが必要

 さて、私のクライシスサイコロジーの講座は、そろそろ第2段階に移ろうとしています。今度は、講座の卒業生を対象に、トラウマを抱えてしまった人のトラウマを取り除く方法を伝授することを考えています。

 なぜなら、東日本大震災から間もなく2年がたとうとし、その恐怖体験がトラウマになってしまった人がじっさいに現れるころだからです。

 第1段階の講座の卒業生たちは、多くの被災者の心を救ったとは思いますが、彼らがカバーしきれないほど大勢の人々が心に問題を抱えていることは否定しようがありません。

 

 これは心に直接働きかける心理操作手法のため、ここで紹介することはできませんが、少しだけさわりを述べましょう。

 トラウマは、特殊な変性意識の状態です。

 変性意識というのは、たとえばトランス状態など、日常的な意識状態ではない意識の状態のことを意味しています。トラウマに囚われ、突然かっとなったり、みるみる鬼のような形相になったり、相手を襲ったりするときが、この変性意識状態に当たります。

 強い恐怖や恐怖体験は、それそのものが日常的な意識ではなく変性意識なのです。

 

 実は、変性意識が生まれる状態というのは、高度な催眠を受けている状態のようなものです。そして、変性意識下では、特定の記憶にアクセスしやすくなり、逆にアクセスしにくくしたりということができます。

 

 たとえば、相手に催眠をかけ、お父さんやお母さんの名前や、離婚した相手のことや、うれしかった思い出など、秘密をたくさん聞き出します。その後、催眠から起こす前に「いま、私が訊いたことは忘れましょう」といって、それから目覚めさせるわけです。

 そうやって、占師はたくさん聞き出した相手の秘密を「あなたは、何年前にこういう経験をしたでしょう?」と的中させます。

 相手に「この占師は本物だ」と感激させる仕掛けです。

 その逆に、特定の記憶にアクセスしやすくする方法として有名なのは、退行催眠です。半覚せい状態で記憶をさかのぼっていくと、昔の忘れていた記憶をたくさん引っぱり出すことができます。

 

 さて、たとえば交通事故に遭ったというような恐怖体験がトラウマになり、それが一生消えないというような場合があります。

 それは、事故の体験そのものが強烈な変性意識であり、変性意識は脳の記憶回路に直接的に強烈に働きかけます。

 それそのものが、あっという間に長期記憶化してしまうような強烈な体感をつくるわけです。

 そんな強烈な恐怖の記憶をどうすれば取り除くことができるかといえば、それは一種の脱洗脳のテクニックによって可能なのです。

 

 わかりやすくいえば、たとえば大震災や原子力の過酷事故を含む強烈な恐怖体験は、それそのものが特殊な催眠術です。

 それは、心を1つの臨場感世界に釘づけにする技術とみなすことができ、広い意味での催眠術なのです。

 とすれば、その催眠術を一気に解く、脱洗脳の方法があるのです。

 それは、長期記憶化した恐怖、つまり変性意識体験を一度引っぱり出して、その変性意識そのものをぶち壊すという方法です。

 それは「思い出せませんよ」と洗脳して思い出せなくするのではなく、変性意識そのものを解いてしまう脱洗脳なのです。

 これは、少々高度な介入技術を必要とするため、いま私は、精神科医や臨床心理士などの資格を持つ医療関係者だけに伝授しています。

 私がなぜ、守秘義務のもとで、専門家にしか教えていない第2段階の講座の話を紹介したかといえば、トラウマを抱える人に、それを取り除く技術があるということを知ってほしかったからです。

 トラウマがあり、それが元でやるべきことができない。

 あるいは、それが障害になって、進みたい方向に人生を向かわせられない。

 そういう悩みを持つ人は、ひとりあれこれ悩まないで、専門家のもとを訪ねることを私はお勧めします。

 自分で解決不可能な心の問題に戦いを挑むことほど、愚かなことはありません。

 戦えば戦うほど、傷口が開くということになりかねません。

 トラウマにいくら刃を向けても、傷つくのは自分自身です。

 肝心なのは、クライシスサイコロジーを理解して、まずは恐怖体験を長期記憶化させないこと。それでも、あっというまに長期記憶化されてしまうような恐怖体験をしてしまったときは、私が脱洗脳のテクニックを伝授しているような専門家たちに頼んで、トラウマを解いてもらうことです。

 それが、強烈な恐怖体験から逃れ、人生の質を高める、一番の方法でしょう。

 引用終わり

 

 

 長期記憶化した恐怖、つまり変性意識体験を一度引っぱり出して、その変性意識そのものをぶち壊す

 

 

 「希望を持ち続ける」「決して諦めない」=「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵も「変性意識」です。

 F-304~6:映画のおもしろさって何だろう? <vol.1~3;臨場感>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html

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 次回(L-149)、誰にでもできる(じつは行っている)「『変性意識』の活用法」を紹介します。

 

 *「変性意識」について、こちらもどうぞ↓

 F-284~:気楽 ver.2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424593.html

 

L-149につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-告知1

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 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

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F-048Before ACT-FAST

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F-187~8:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」との縁で気づいたこと -04~5;“心の災害”にはレジリエンスで! レジリエンスにはコーチングを !!

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F-294~:苫米地式次世代リーダーシップ

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Q-204~:「縁起」と「因果」

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イヤな気持ちを消す技術

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F-336:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.1;コーチングにプロファイリングは必要?>

 

 コーチングにおいて重要なプリンシプルのひとつが、「過去は一切関係ない!」。

 時間は未来から現在へと流れており、過去はどんどん遠ざかっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 だから、コーチとしてクライアントさんに関わるとき、私は“未来”に集中しています。“未来”とは、もちろん、クライアントさん自身がゴール設定で生みだすものです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 過去は一切関係ない!

 

 

 先日(2024226日)、「バラいろダンディ」(TOKYO MX)に出演された苫米地博士は、初対面で「直前まで男性だと思っていた」というキンタロー。さんに対して“プロファイリング”をされていました↓

 今一番「顔芸」がバズる!キンタロー。を分析! Dr.苫米地 (2024年2月26日) (youtube.com)

 

 Wikipediaによると、プロファイリング(offender profilingcriminal profiling)とは、「犯罪捜査において犯罪の性質や特徴から行動科学的に分析し、犯人の特徴を推論する」こと。「基本的な構造は、『こういう犯罪の犯人はこういう人間が多い』という統計学である」「日本語で正確に表現するのであれば『犯罪者プロファイリング』が正しい」とあります。

 

 もちろん、番組内で行われたのは、「犯罪者プロファイリング」ではなく、キンタロー。さんの「性質や特徴」の分析。苫米地博士をコーチと認識している方の中には、きっと博士が“プロファイリング”をされたことに驚いた方もいらっしゃるはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 「コーチングには『過去は一切関係ない!』」から。純粋なコーチング関係ではないにしても、コーチはそもそも過去に興味を持ちません。コーチのブリーフはいつも「過去は一切関係ない!」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 さらにいうと、「コーチングは『行動科学的』ではない」から。苫米地式コーチングの基礎となるのは苫米地理論です。

 

 *苫米地理論の第1世代はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 *第2世代はこちら↓

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306445.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5445932.html

 

 *第3世代はこちら↓

 Q-349:認知科学の次のパラダイムとは?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32909282.html

 

 もっというと、「コーチングは『統計学』ではない」から。一人ひとり違う“一宇宙(w0)”を“まったく新しい宇宙(w1)”に書き換えていくのがコーチングです。その新しい宇宙(w1)は、統計処理では絶対に見いだせません。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 *「一人一宇宙」はこちら↓

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といったvol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

 過去は一切関係ない!

 

 

 コーチは、じつは、クライアントの過去を完全にスコトーマに隠しているわけではありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

  

 ゴール設定によって新しい宇宙(w1)を創造するためには、過去の記憶でつくられた現状(Status QuoSQ)という“殻(w0)”を壊さないといけないから。“殻(w0)”を壊してゴールを現状の外に設定するために、まずはその“殻(w0)”をしっかり把握する必要があります。

 Q-137:問題が生じたゴールへの向き合い方 -02

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22312817.html

 

 私たちは現状に縛られ、“殻(w0)”に閉じ込められたまま生きています。そうとは知らずに。

 そして、その呪縛は、いろいろな形で日々強化されていきます。その仕掛けの一つが教育です。

 

以下、苫米地博士の著書「洗脳論語」(三才ブックス、p66)より引用します。「自由のための教育が自由を奪っていないか?」と問いながら読み進めてください。Feel

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 

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奴隷を過去に縛り付けるための提言

 

 子曰く、故(ふる)きを温(あたた)めて新しきを知れば、以て師と為るべし、と

(為政第二の十一)

 

 誰もが知っている成句「温故知新」の出典となる文です。

 「先人の教えを学べば(研究すれば)、現代に通じる新しい発見や応用できるものがあり、人の師となることができる」というのが、広く知られている意味だと思います。

 温故知新の「温故」は、「古いことを学んで」、あるいは「古いことを研究して」と訳されることが多いですが、「学」という字はこの文のどこにも書かれていません。もし、孔子が「学ぶ」という意味を持たせたかったのなら、ストレートに「学」という文字を使っていたでしょう。これは後世の人が、勝手に「学ぶ」「研究する」と解釈しただけのことです。

 もしくは、「温故」は「故(ふる)きを温(たず)ねて」と解釈されることもあるので、「尋ねる」から「質問する」などを連想し、「学ぶ」や「研究する」に結び付けたのでしょう。

 中国では、「温」という漢字は「価値観を高める」という意味です。「アイデアを温める」と同じ。重要視する、大切にするということです。

 古いものを大切にする。そうすることで、新しいことを知ることができる。

 これが、温故知新の本来の意味だと言えるでしょう。決して、古いことを学ぶわけではありません。

 「学ぶこと」と「大切にすること」では、意味合いが大きく変わってきます。学ぶことは、古いもの、つまり歴史などを研究し、理解することに繋がりますが、大切にすることには研究も理解もありません。ただ、大切にするだけです。古いものを盲目的に大切にすれば、新しいものを知ることができると、孔子は言っているのです。

 おかしいと思いませんか。古いものを大切にしたところで、新しいものを理解することなどできるはずがありません。

 この文は、孔子が巧妙に仕組んだスコトーマ洗脳です。スコトーマとは、重要と感じているものしか見ることができないという人間の心理的盲目状態のことを言います。

 孔子は、弟子達に古いもの、つまり詩経を重要視させることで、弟子達が心の内に抱いている現体制への違和感を見ないように導いています。要するに、スコトーマを仕向けているのです。

 「何も考えずに古いものを大切にしなさい。そうすれば新しいものが見えますよ」と説くことで、実は新しいものを見えなくさせているわけです。

 日本の政治で例えると、「自民党が政権与党、社会党が野党第一党という立場で維持されていた55年体制を重要視しなさい。そうすれば、新しいものが見えますよ」と言うといいでしょう。

 この場合、新しいものとは、民主党のアラです。

 このように言われると、長期に渡って政権を担っていた自民党は古きよき党となり、民主党は未熟な党に見えてくるはずです。そして、結果的には自民党がいいという風潮になります。

 実際には、50年以上政権政党であった自民党の政権運用脳力も、政権政党になってわずか数年に過ぎない民主党の政権運用脳力も五十歩百歩です。民主党が今現在漏出させているものと同様のアラは、過去の自民党も随分と露見させていました。政治家の違法献金疑惑や消費税引き上げの問題、事故や災害に対する対応のまずさなど、いつの時代にも噴出するもので、新しいシステムだから生成されるアラではありません。

 また他の例では、「新しいことを知っていても、古いことを知らなければ話にならない」と言い放つ人が挙げられます。「偉そうなことを言っているが、日本の歴史を知らない者に言われたくない」という主張です。しかし、これは「権威側」の反芻に過ぎません。

 古いものというのは、いつの時代も権威側が優位になります。なぜなら、古いものを提供するのは、権威側だからです。権威側の歴史を知らないことは、対等とは言えないというのが、彼らの論理なのです。

 新しいものは、未来を見ることで知ることができます。過去を見ることで知るのではありません。過去を見ても、新しいことを知った気になるだけで、知ることなどできないのです。

 もちろん、過去を見ることで新しいものを知ることも中にはあります。ただし、それは新しい視点で見るべきです。「古いものは重要だ」という盲信でしかない従来の視点で見ても、何も知ることはできません。

 例えば、ある土地からレアアースが発見されたとします。これはその土地を昔から重要視していたために発見されたわけではありません。レアアースという物質についての知識を得た上で、その土地を調査したから発見されたのです。新しい視点だからこそ、これまでは何の変哲もなかった土地から新たな発見ができたのです。

 「古いものを大切にしろ」というのは、「何も考えずにただ大切にしろ」という意味です。古いものが本当に重要なものかどうかなど、関係ありません。また、新しい視点を全く必要としていません。これは、「奴隷の論理」に他ならないのではないでしょうか。

 引用終わり

 

 

 過去を見ることで新しいものを知ることも中にはあります。ただし、それは新しい視点で見るべきです。「古いものは重要だ」という盲信でしかない従来の視点で見ても、何も知ることはできません

 

 私が苫米地博士に情報的に出会ったのは2009年。

 それ以来、ずっと教えを受け続けていますが、いまだにスコトーマがガツンと外れる体験をします。それは世界が一変するような感覚です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 学び初めの頃、とくに衝撃的だったのが、この「洗脳論語」。今までの自分がいかに「奴隷の論理」に支配されていたかを思い知りました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 大切なのは「新しい視点で見る」こと。

 

 ところが、それは簡単ではありません。なぜでしょうか(case-side)?

 「新しい視点で見る」ために、どうすればいいのでしょう(plan-side)?

 

F-337につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

私たちは現状に縛られ、“殻(w0)”に閉じ込められたまま生きています。そうとは知らずに。そして、その呪縛は、いろいろな形で日々強化されています。その仕掛けの一つが教育です

 

 “教育”について考察しました↓

 PM-05~:苫米地理論で見える教育現場のスコトーマ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_124525.html

 

 

-追記2

学び初めの頃、とくに衝撃的だったのが、この「洗脳論語」。今までの自分がいかに「奴隷の論理」に支配されていたかを思い知りました

 

 もう一つ挙げると、「一生幸福になる超訳 般若心経」(学研プラス)。般若心経の問題点が明らかにされ(case)、なんと添削が行われています(plan)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

「般若心経は間違っている」なんて思いもしなかった私は、読書中に猛烈な衝撃を体感しました。それはまさに「世界がひっくり返った」感じ。強烈な「Rゆらぎ」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23645730.html

 

と同時に、「観測者(認識主体)の知識や知能が上がれば上がるほど、観測(認識)される宇宙は『たいしたことがある』ものになるという可能性」に震えました。

F-034~:「何もないところからレンブラントを発見」は正しい?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268332.html

 

 

一生幸福になる 超訳 般若心経

 

 

-告知1

2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

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 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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-関連記事-

F-158~:無我夢中

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_405002.html

L-05220207月シークレットレクチャー -02;縁により「呪縛」は「希望」にかわる

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27587288.html

Q-121:過去にこだわる人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20932824.html

Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 

 

L-147202111月医療系研修会 -02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 

 

 前回(L-146)は「認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの」について確認しました。それは“ストレス”。シンプルにまとめると、ストレス →認知機能低下 →さらなるストレス →BPSD悪化 という感じです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とは、認知症に伴う行動・心理症状のこと。具体的には「情緒が不安定になる」「妄想で人を責める」「声を荒げる」「暴言・暴力がみられる」「無気力になる」「睡眠リズムが乱れる」などの症状をいいます。

 

実際には、認知機能がまったく低下していなくても、“BPSDのような言動”を認めるケースがあります。様々な「ハラスメント」はその一例でしょう。

S-04-02~4:軋轢が生じる理由

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22463773.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22527815.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22599317.html

 

 では、“BPSDのような言動”には、何が影響するのでしょうか?

 

 

 苫米地博士に学ぶ前の私であれば、おそらく「性格」と答えたでしょう。もちろん、その答えは正確ではありません。

 

 人が「これが自分の性格だ」と思っているものは、他人との比較や過去の記憶に基づいて勝手に抱いたイメージに過ぎません。

 そして、その「自分は〇〇な性格」「自分は△△な人間」という自己イメージは、ブリーフ化しながら、ブリーフシステム(Belief SystemBS)やコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)を形成していきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 私たちは無意識的に自己イメージ=BSCZに沿った行動や思考をしています。それが前回取り上げたハビット&アティテュード。

 L-09620217… -08BSとハビット&アティテュードと抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html

 

そのハビット&アティテュードにより、自己イメージ=BSCZはますます強化されていきます。それは「現状維持の壁」が分厚くなっていくということであり、ますます世界が固定化していくということです。

PM-06-06:仮説01)変わらないCZが生みだす「現状維持の壁」

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

 そんな現状や世界が“差別”と紐付いている というのが、「認知機能がまったく低下していなくても、“BPSDのような言動”を認める」ことの主因であるはず。
 私は「差別が“BPSDのような言動”の根底にある」と思っています。

 PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

人の特性はBSで決まる

 

 

じつは、人が持つブリーフシステム(BS)は1つではありません。

私の経験をお話しすると、かつて対峙した“既得権益”は、「いつも差別全開」という感じではありませんでした。

Q-329:最近「記憶が抜ける」ようなvol.4;自己イメージと臨場感世界は双方向性を持った縁起>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31941786.html

 

前頭前野にはその人がつくりあげたいくつものBSが収められており、それが人間の複雑かつ不安定な内面の動きをつくりだします。

つまり、人間の内面で深い葛藤が起こるのは、前頭前野のBS同士が互いに矛盾を起こすから

L-09420217月シークレット… -06;ブリーフシステムと人格や未来との関係

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30598161.html

 

 さらに、前回お伝えした「これまでの私と今の私」「理想(期待)と現実」といったギャップが加わると、ますますイライラしたり落ち着かなくなったりしていきます(「ファイト・オア・フライト」)。その場合、言動はもっとBPSD的になってしまうでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 では、どうすればいいのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「『性格』のカラクリ “イヤな他人”も“ダメな自分”も一瞬で変えられる」(誠文堂新光社、p188)より引用します。前頭前野優位を余裕で維持し、さらに磨きあげている自身の姿をイメージしながら読み進めてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 

人はさまざまな幻想に支配されている

 私たちを束縛したり振り回したりしている幻想は、他にもたくさんあります。

 

 「いい学校に進み、いい会社に入ってこそ幸せである」「家庭を持ってこそ幸せである」「自分の家を建ててこそ幸せである」といった幸福感。

 「社会人はこうあるべき」「家族はこうあるべき」といった暗黙のルール。

 「会社を辞めたら食べていけなくなる」「結婚しなければ孤独で寂しい人生になる」といった恐怖。

 

 日々の生活の中で、親や兄弟、教師、友人、メディアなどによって摺り込まれたこうした価値観は、情動と結びつき、ブリーフシステムとして前頭前野に蓄積されていきます。

 いずれも実体はなく、幻想にすぎません。

 

 いい学校に進み、いい会社に入ったから、家庭を持ったから、家を建てたからといって、幸せになれるとは限らず、むしろ苦しみを抱えることも多いでしょう。

 「~はこうあるべき」といった価値観やルールは決して絶対的なものではなく、場所や時代が違えば簡単に変わってしまいます。

 恐怖という感情の無意味さについても、PART3でお伝えした通りです。

 

 しかし、私たちはそれらを盲目的に信じ込まされています。

 「自分の意思で選んだ」「自分の意思で行った」と思っている選択や行為のほとんどは、誰かに選ばされていたり、やらされたりしていることであり、多くの人が、こうした過去の記憶、他者の価値観をもとに、自分の未来を決めてしまっているのです。

 

 もっとも、私は、ブリーフシステムの存在自体を否定しているわけではありません。

 ブリーフシステムは、社会による教育の成果でもあります。

 教育が行われ、ブリーフシステムによって行動が制御されなければ、人間はもっと本能のおもむくままに、利己的に生きることになってしまうでしょう。

 

 ただ、過去に摺り込まれた他者の価値観に振り回され、縛られて生きるのは、やはり「幸せ」ではありません。

 それは、他者によって洗脳され、支配され、奴隷化して生きることだからです。

 自分の本当の意思、自分の本当の望みに気づくことなく、他者の欲望を満たすために踊らされ続けて一生を終えるのは、とてもむなしいことだと思いませんか?

 

 なお、現代の日本において、もっとも強力な洗脳装置として機能しているのが、テレビです。

 

 映像や音が生み出す臨場感は、人の脳に強いインパクトを与えます。

 近年、多少はテレビ離れが進んだとはいえ、テレビが流す情報を鵜呑みにしてしまう人は、まだまだたくさんいますし、テレビで活躍した人、テレビで人気のある人が選挙で選ばれ、政治家になることも少なくありません。

 テレビからの情報は、現代の日本人のブリーフシステムに、かなり色濃く反映されているはずです。

 これは、異常かつ危険な状態であるといえるでしょう。

 

 また、多くの人は何も気づかずに、大手広告代理店やテレビ局、芸能プロダクションなどが提示する価値観を受け入れ、彼らが次々と与える欲望にとらわれています。

 洋服、旅行、グルメ、人にうらやましがられるような生活……

 たまに欲しいものを手に入れても、すぐにまた欲しいものが現れるため、本当に満足できることはありません。

 まさに、仏教でいうところの、「餓鬼」の状態に陥ってしまっているのです。

 人は、洗脳による支配から自由になったとき、初めて自分の本当の意思に基づいて未来を選択できるようになります。

 そのためには、思考の抽象度を高め、物事をより俯瞰して眺めること、スコトーマをずらし、見える世界を変えることなどが必要です。

 

 PART2PART3でご紹介したのは、単なる「『性格』を変える方法」ではありません。

 さまざまな洗脳から解放され、他者からの摺り込みによるものではない、自分自身の価値観に基づいて、本当の意味で自由に生きていくための方法なのです。

 

 人はさまざまな幻想に支配されている

 Point

 ・人々が信じる価値観やルールは、時代や場所で簡単に変わる。

 ・現代の日本におけるもっとも強力な洗脳装置はテレビ。

 ・テレビから流れる情報は、日本人のブリーフシステムに大きく影響を与えている。

 引用終わり

 

 

 人は、洗脳による支配から自由になったとき、初めて自分の本当の意思に基づいて未来を選択できるようになる

 そのためには、思考の抽象度を高め物事をより俯瞰して眺めること、スコトーマをずらし見える世界を変えることなどが必要

 

 前頭前野のBS同士の矛盾を解決し、心の内の深い葛藤を解消するためには、抽象度を高めることが必須です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ところが、恐怖や不安が強いと、そもそも抽象度を高めることができません。大脳辺縁系優位の「ファイト・オア・フライト」とは、抽象度が下がる(あえて下げる)遺伝子レベルの反応です。

 

 よって、恐怖や不安への対処が重要といえます。健康な人にとってももちろん、認知症の方(&サポーター)にはなおさら、恐怖と不安のマネジメントが求められます。

 

L-148につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

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「性格」のカラクリ


 

L-146202111月医療系研修会 -01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 

 

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされているBPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia認知症に伴う行動・心理症状

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

 認知症の症状の中心は「認知機能の低下」です。

具体的には「記憶するのが苦手になる」「時間・場所・人の認識があいまいになる」「物事の手順に戸惑う」「会計や計算が苦手になる」など。それらを「中核症状」と呼びます。

 

 そんな中核症状に対して、BPSDは「周辺症状」とも呼ばれています。

 BPSDの「B」はBehavioralで、「物理空間での行動(症状)」のこと。そして、「P」はPsychologicalで、「情報空間での行動(心理症状)」のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 具体的にはこんな感じ↓

【行動症状】暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為(例:便を壁にこすりつける)等

【心理症状】抑うつ、興奮、不安、幻覚、妄想、睡眠障害 等

 

 いずれも「環境への反応」だと考えられています。苫米地理論でいうと第1世代。情報空間に拡張したホメオスタシス活動のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 コーチングのゲシュタルトで考えると、【行動症状】はハビット(habit)、【心理症状】はアティテュード(attitude)に相当するはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 ハビットとは「無意識の行動」のことで、抽象度を軸にとった場合の情報空間の底面、すなわち物理空間におけるパフォーマンスのこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 アティテュードは「無意識の判断」であり、「行動の性向」のこと。それは思考の一部であり、高次の情報空間(知識宇宙)におけるパフォーマンスのことです。

F-311:デジタル自傷行為 <case-side -1;ブリーフシステム・RAS&スコトーマ>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32477117.html

 

 じつは、認知機能低下(中核症状)の程度とBPSD(周辺症状)は、必ずしも相関しません。著しい認知機能低下があるのに落ち着いているケースもあれば、認知機能低下は軽度なのにとても大変なケースもあります。

その違いはどこにあるのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「脳に免疫力をつければ病気にならない!」(徳間書店、p93)より引用します。

 

 

ストレスが認知症を引き起こす

 医学的にはっきりしているのは、「ストレスが認知症を引き起こす」ということです。アルツハイマー病の場合はある遺伝子と老化の2つの要素が発症にかかわっていますが、認知症はストレスでも発症するということが分かっています。

 一般的に「ボケ」と呼ばれているケースの多くは認知症です。

 認知症では、「新しい記憶を長期記憶化できない」「短期記憶を保てない」という症状が出ます。通常、短期記憶は3~4日の間は保たれますが、認知症の人では1~2時間で消えてしまいます。短期記憶は眠っている間のレム睡眠中に長期記憶に保存されますから、短期記憶が1~2時間で消えてしまうということは、レム睡眠までに消えてしまい長期記憶に保存されない、つまり新しい記憶を長期記憶化できないということになります

 このような症状を呈する要因は、脳の海馬と呼ばれる部位の損傷です。そして、海馬の損傷の原因は、副腎皮質から出るコルチゾールと呼ばれるホルモンです。この因果関係は、脳トレと違って、医学的にはっきりとしています。強いストレスを感じる出来事があって、コルチゾールが出て、海馬が損傷して、ボケる。認知症はこのようなプロセスで発症します。

 

 認知症は脳の老化だけが原因だと思っている人が多いようですが、このように認知症の重要な原因のひとつはストレスです。最近話題になることの多い若年性認知症などは、まさにストレスが引き金となっています。

 もちろん、脳の神経細胞は加齢とともに減っていき、それにともない脳機能も低下していきますが、それは徐々に進みます。一方、認知症では急速に記憶障害が進みます。脳機能の低下が急速に進む場合は、脳の老化が原因ではなく、ストレスが原因です。この理由からも、「脳の老化を防ぐ〇〇」や「脳トレ」に認知症の予防効果を期待することが難しいことがお分かりいただけると思います。それよりはストレスがない生活がはるかに重要です。

 引用終わり

 

 

 脳機能の低下が急速に進む場合は、脳の老化が原因ではなく、ストレスが原因

 

 そして、そのストレスがBPSDをさらに悪化させます。

 BPSDでみられる「情緒が不安定になる」「妄想で人を責める」「声を荒げる」「暴言・暴力がみられる」「無気力になる」「睡眠リズムが乱れる」などの症状は、「認知機能の低下で苦手なことが増えた」ことにより「精神的に追い込まれる」ことで起こると考えられているそう。

 

 「苦手が増えた」はセルフイメージの低下を引き起こします。「これまでの私と今の私」、あるいは「理想(期待)と現実」との間に生じたギャップは、大きなエネルギーを生みだします。そのエネルギーは、多くの場合、いわゆる“ストレス”になってしまいがちです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 コーチングに寄せていうと、セルフイメージの低下はコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)から下向きに外れた状態と同じ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

CZを外れると、気持ちが落ち着かなくなり、人間的な思考を司る前頭葉前頭前野よりも動物的な大脳辺縁系の方が優位になりやすくなります。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

大脳辺縁系優位になると、生じたエネルギーが攻撃(暴言・暴力、他罰)や逃避(閉じこもり、治療・介護の拒否、自罰)に使われます。その状態が「ファイト・オア・フライト」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 ここまでをまとめると、ストレス →認知機能低下 →さらなるストレス →BPSD悪化。

 

  

 ところで、「ファイト・オア・フライト」は認知症の方に限った話ではありません。それは誰もが持つ「恐怖により引き起こされる“危機回避のためのシステム”」です。
 その本質は「迅速に危機を回避するために、『前頭前野での評価』をショートカットする」というもの。高次の認知機能(認識・理解・評価・判断など)よりも、根源的な反応(闘争or逃走)が優先されます。

L-07320211月シークレットレクチャー -02;情報が書き換わると現実が変わる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29431450.html

 

 繰り返しますが、「ファイト・オア・フライト」は認知症の方に限った話ではありません。

実際、認知機能がまったく低下していなくても、“BPSDのような言動”を認めるケースがあります。様々な「ハラスメント」はその一例でしょう。

S-04-02~4:軋轢が生じる理由

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22463773.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22527815.html

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 では、“BPSDのような言動”には、何が影響するのでしょうか?

 

L-147につづく)

 

 

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 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

認知症の症状の中心は「認知機能の低下」です。具体的には「記憶するのが苦手になる」「時間・場所・人の認識があいまいになる」「物事の手順に戸惑う」「会計や計算が苦手になる」など。それらを「中核症状」といいます

 

 補足すると、認知症は下記の4つのタイプに大別されます。

 

 □アルツハイマー型認知症(ADAlzheimer disease

・認知症全体の6割で最多

 ・記憶を司る海馬(かいば)を中心に脳が萎縮

 ・「記憶があいまい」「同じことを何度も言う」「もの忘れ」など

 

 □血管性認知症(VaDvascular dementia

 ・脳出血や脳梗塞により脳の神経細胞がダメージを受ける

 ・認知機能低下+「歩行が不安定」「呂律が回らない」「むせる」

 ・リハビリや会話・歩行が効果的

 

 □レビー小体型認知症(DLBdementia with Lewy bodies

 ・「レビー小体」が脳の広範囲に溜まる

 ・認知機能が変動する(オン/オフ)

 ・認知機能低下+「幻視」「ひどい寝ぼけ」「筋肉がこわばる」「手足が震える」

 

 □前頭側頭型認知症(FTDfrontotemporal dementia

 ・「理性的な行動ができない」「人への配慮ができない」「ルールを守れない」

 ・同じ行動を繰り返し、万引きなどの反社会的な行動があらわれる

 ・家族だけでは対処が難しいため、早めの公的介入が重要

 

 

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 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

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F-335:分断緩和のための処方箋 vol.6;「内部表現から頭を突き出し、真の自由意思を獲得する」というゴール

 

 対立を克服し補完しあうためには「ゲシュタルトの統合」が欠かせません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 統合することで対立する(ように思える)概念を“同じ”とみられるからこそ、各概念(ゲシュタルト)を補完しあうことができるようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

その補完により“苦しみ”を克服することができます。理解が深まるから

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

vol.1;サーフィンvsウインドサーフィン

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33414117.html

 vol.2;本当は今までずっと苦しかった

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33464142.html

 vol.3;「未来のビジョンによる引力の極大化」と「過去からの引力の最小化」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33515591.html

 vol.4;「ワークライフバランス」の落とし穴 <case-side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33566734.html

 vol.5;「ワークライフバランス」の落とし穴 <plan-side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33619443.html

 vol.6;「内部表現から頭を突き出し、真の自由意思を獲得する」というゴール

 

 

 前回(F-334/vol.6)まで、「ワークライフバランス」という言葉が抱える本質的な問題(case-side)とその解決(plan-side)について考察しました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 あらためて感じたのは、「バランスホイール(balance wheel)」の重要性。

 F-273:冗長性と多様性 <vol.5;抽象度×バランスホイール>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30452009.html

 

 「ゴールを人生のあらゆる領域に設定する」ということを考えたとき、絶対に外せないのが「健康」のカテゴリ。そのゴール(側のCZ)のイメージは、きっと「いつまでも若々しく、元気いっぱい」という感じでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 ところが、現実はそんなわけにはいきません。人は確実に老い、ときに病み、そして必ず死んでいくのだから。

 F-038~:「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ♪」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268333.html

 

その事実を受け入れることができないと、“理不尽”はますます大きくなるばかり。もちろん、苦しみもどんどん大きくなっていきます。

 Q-353:傷つくような他人の言動に出くわした場合、どのような態度で接することが

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33148921.html

 

 ただし、老病死(+生で四苦)をただ受け入れるだけでは、まだまだ十分とはいえません。何が足りないのでしょうか?

 

 そう、答えは「抽象度」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 医療や介護の現場では、よく「年には勝てない」という表現を見聞きします。それは半分正解で、半分間違い。いえ正確には、ごく一部に限って正解で、ほぼ間違いというべきでしょう。

 Q-140:若かったら挑戦しますけど、もう年なのでガマンします

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22528302.html

 

 正解なのは、「物理空間においては『年には勝てない』は事実」だから。その事実を受け入れるからこそ、理不尽度を下げることができ、“今”を生ききることができるようになります。

 Q-205:「縁起」と「因果」 vol.2;縁起と因果の違いを理解する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26507222.html

 

 ほぼ間違いなのは、「物理空間は情報空間のほんの一部に過ぎない」から。抽象度を軸にとった場合、物理空間は広大な情報空間の底面です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 「熱力学および統計力学において定義される示量性の状態量」であるエントロピー(entropy)を用いると、物理空間ではエントロピーが増大しカオス化していき、情報空間ではエントロピーが縮小しシンプル化していきます。時間の経過とともに。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 苫米地博士が神奈川大学での講義(2023年)で解説されていますが、なんと生命現象はエントロピー縮小系です。

 Q-338:エンドステートに対する臨場感の問題?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32350876.html

 

 

DrT神奈川大講演-12

神奈川大学情報学部開設記念シンポジウム(2023523日)より引用

基礎科学としての情報〜エントロピーと生命、超次元複雑性と生成AIの未来と私達 Dr.苫米地 (2023年5月20日) - YouTube

 

 

つまり、私たちは時間の経過とともに抽象度の次元を上がっていく存在だということ。その頂点が「空(くう)」です。

F-318:観自在 <理論編-1観自在菩薩行深般若波羅蜜多時

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32825990.html

 

 ただし、抽象度の次元を上がっていく間も、物理空間上の身体は変化していきます。エントロピーが増大しながら。

確実に老い、ときに病み、必ず死ぬという物理宇宙の因果律から、私たちは決して逃れることができません。それが“生きる”ということです。

 F-243:人は、生きている時は自分の心の中、亡くなると親しい人の心の中にいる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28791954.html

 

 まとめると、「生きるとは、心の次元と身体の次元のギャップが拡大していくこと」。

 

 それが、私が今一番感じている「分断」です。

では、その分断を緩和するためにはどうすればいいのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「ドクター苫米地の新福音書 禁断の自己改造プログラム」(講談社、p182)より引用します。

 

 

本当の「自由意思」って何?

 次に、本当の意味での「自由意思」とは何なのかを考えてみましょう。もちろん、定義上は、「不完全性定理」の宇宙の外側で発効される意思のことですが、現実問題として、それだけでは、言葉遊びにしか聞こえないかもしれません。

 そこでもう一度、物理宇宙と情報宇宙の関係を考えてみましょう。もともと、情報宇宙というものがあります。そして、その宇宙の自由度が低い空間を物理宇宙と呼びます。ここで自由度が下がるということは、抽象度が下がるということです。

 前項でお話ししたように、「未来の縁起に働きかけて、現在の選択を行う」ことは、一見自由意思のなせるわざに見えます。ただし、厳密に言うとそれは、「時空を包含した内部表現という系の内側において自由に見える意思」に過ぎず、本来の意味での自由意思であるか否かは、判断が難しいところです。

 そもそも、我々が働きかけることのできる未来は、現在もしくは過去の経験で得た知識をもとに想定したもの。自由意思によって未来を知りえたわけではありません。知識というのはすべて、過去の認識の結果です。それゆえにどうしても、現在および過去の因果から自由にはなれないのです。

 つまり、本当の自由意思とは、内部表現の外側から未来に関する何らかの知識を手に入れて、それを現在の行動に反映させることでしか得られないはずです。

 では、どうすれば内部表現の外側に飛び出せるのでしょう? それはやはり、物理の因果から離れてどんどん抽象度を上げていくしかありません。そして、「ここが限界」というところまで到達して、さらにもうひとつ上げられたら、そこが内部表現の外側であり、仏教で言う「空」です。

 内部表現が神の創った宇宙だとするなら、ここから「空」なる宇宙に頭を出した瞬間、「神を超えた」ことになります。悟りの世界は神を超えたところにあるということです。ただそれがどこにあるのかと言うと、内部表現世界のいたるところにあるということです。内部表現の抽象度をどんどん上げた内部表現の内側に、神を超える外側があるということです。

 そこに至る準備ステップとして、まさにゲーデルとチャイティンの証明のインパクトをしっかりと考えてみましょう。宇宙そのものが全抽象度にわたってランダム性を内包しているとはどういうことか。それは、我々はもともと何物からも、「神」からさえも自由であるということです。まず、ここを認識していないと、我々はわざわざ自分自身を自分の記憶で縛ってしまいます。その閉じた記憶の内部表現世界でさえももともとランダム性が内包されているのにもかかわらず、です。まずは、自分は本来自由であるということをしっかり認識してください。

 そして、自分自身を自分の記憶から解放する「止観」をしっかりと行い、そのうえで抽象度をどんどん上げていくのです。自由度をどんどん上げていくと言ってもいいです。そうするとごくたまにだと思いますが、これだという体感を得られるときがあるはずです。理性を超越する瞬間です。

 もちろん、そんな本当の意味での自由意思に動かされるような体感は、そうしょっちゅうあるものではないでしょう。それがやりたければ、お釈迦様のように、山にこもって「空」の世界まで臨場感を上げるトレーニングを積むしかありません。

 私たちはそこまで狙う必要はなく、内部表現の外側から叡智を得るのは数年に一度がいいところだと思います。

 私自身がそういう瞬間を感じるのは5年に一度くらい。「何かが降りてきた」としか思えないひらめきから、科学の世界を変えるような(と自分では思える)何かを発見したときです。前に述べた、トマベチ・アルゴリズムを発見したときなどは、まさにそういう瞬間でした。

 科学者や芸術家などは、誰も気づかないことを発想するのが仕事ですから、天から何かが降りてくるような瞬間に、数年に一度くらいは遭遇するようです。

 そんなふうに考えると、これまでの歴史には世界を一変させる数々の発見がちりばめられていますが、それらはみな、自由意思の賜物なのだとわかります。天才とは、高いレベルで抽象思考をし、ときどき内部表現宇宙から「空」へ頭を出せる人なのかもしれません。

 もちろん、誰にだってチャンスはあります。ふだんから高い抽象度で思考する習慣をつけていれば、いずれは内部表現の外側に飛び出す瞬間を体験できるはずです。

 かなりハードルは高いけれど、本当の自由意思とはそういうものだということを心に留めておいてください。目標はあくまでも、

 「何事も、社会や他人、過去のしがらみ、つまり自分自身の記憶から自由になって判断する自分になる」

 ことで、その先にもうひとつ、最終ゴールとして、

 「内部表現から頭を突き出し、真の自由意思を獲得する」

 ことを掲げておくのがベストでしょう。

 いずれにせよ、大切なのは、ふだんから抽象度を上げて思考することです。

 引用終わり

 

 

 内部表現から頭を突き出し、真の自由意思を獲得する

 

 それが分断緩和のための処方箋。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 つまり、中観で生きるということ。

そのためにコーチングを学び実践し続けるということ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 「内部表現から頭を突き出し、真の自由意思を獲得する」というゴールこそが、人類の進化を促し、社会を幸福(well-being)にする。その時、個の人生においても、心の次元と身体の次元のギャップを解消している

 

そのようなイメージを私は抱いています。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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